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日本を代表するアーティスト:名和晃平 ーその魅力と制作の裏側に迫る
今回、日本を代表するアーティスト・名和晃平さんの版画作品「Element - Black シリーズ」を3月22日(月)から、YOUANDARTでお取扱いさせていただくことになりました!
自前の版画工房を持ち、アーティストと二人三脚で作品制作を行うギャラリー、「ギャラリーノマル」さんからご出品いただきました。
作品のお取扱いにあたり、ギャラリーノマルのディレクター・林さんと刷り師・吉田さんに今回の作品の魅力や制作秘話をお伺いできましたので、ご紹介いたします。
作品の魅力
①洗練された黒
本作品のベースは、黒い紙の上に黒のマットなインクを刷っており、それを黒いパネルに貼るという、全て黒で統一された作品です。
そうして創られた黒一色の上に、光沢のあるカラーインクを用いてさまざまなレイヤーで印刷することで、複雑なコントラストが表現されています。
一見すると黒単色に見える画面の奥底から、光の反射によって抽象的な像と多様な色が立ち現れる印象的な作品です。
何もないようで無限に存在するような独特の雰囲気を感じることができます。
②鑑賞者の手元で発揮するオリジナリティ
本作品の最大の特徴は、飾り方が鑑賞者に委ねられている点です。
作品には上下左右が存在せず、好きな方向で展示することができます。
留め具が作品背面の4方向についているため、簡単に、ご自身の気分に合わせて掛け替えることが可能です。
また、①でお伝えしたこだわりの印刷によって、展示する場所、光の当たり方によって無限の見え方があります。
エディション作品でありながら、鑑賞者の環境によってオリジナルな作品が完成するともいえます。
このような複雑な作品はどのようにして生まれたのでしょうか。
制作秘話
非常にスタイリッシュ且つ奥行きのある本作ですが、完成までには紆余曲折があったそう。
制作初期は、様々な色彩のドローイングイメージをたくさん重ねることで黒に近づけていくような制作方法でした。赤などの派手なビジュアルへの一新も検討していた中、アーティストのアイデアで急遽黒い紙への印刷にチャレンジしたそうです。
通常であれば、黒い紙にカラーインクでの印刷は発色が難しく、基本的には行わない手法ながら、版画技師の柔軟性がこのチャレンジを可能にしました。
版画工房を持つギャラリーノマルだからこそ制作できたともいえる作品です。
このように、アーティストと二人三脚で制作するのがギャラリーノマルのスタイル。
本作品制作プロジェクトの為にチームアップし、アーティストを徹底的にサポート。試作品をアーティストのスタジオに運び、一緒に試行錯誤しながら制作を進めました。わざわざ大阪から東京に持っていくこともあったそう。
Sandwichにて、名和晃平個展「Element - Black」前の最終チェック
(左前:ディレクター・林、左奥:刷り師・吉田、右:名和晃平)
ときには、太陽光の下で見比べたいというアーティストのリクエストで、1枚ずつ試作品を持ったスタッフを屋外に並んでもらって確認し、作品を完成形のイメージへと近づけていったそうです。
足掛け2年の大掛かりなプロジェクトでしたが、アーティストのこだわりとギャラリーの献身的なサポートにより、今回の作品が完成しました。
アーティストとギャラリーの関係性
現在大注目のアーティスト・名和晃平さんですが、彼の版画作品は全てギャラリーノマルで印刷し、発表しています。
ディレクターである林さんが、学生時代(当時25歳)の名和晃平さんに出会い、ギャラリーにある工房で版画作品を作ってみないか?と提案したのが始まり。
作品を作るための素材には、髪の毛、お菓子のかけら、牛タンなど、普通では想像もしないようなものも含まれていたそう。アーティストとギャラリーがタッグを組んで、自由な発想で作品を制作して続けていきました。
余談ですが、髪の毛を使った作品を印刷した際には、近所のヘアサロンで髪の毛を分けてもらったそうです。
実は名和さんの代表作とも言える「PixCell」のデビュー展(2002年)もギャラリーノマルで、その際に名和さんの2シリーズ目の版画作品も展示されたそうです。その時の「Elementシリーズ」の展開が、この「Element - Black シリーズ」へと繋がっています。
2018年8月19日, グループ展「COMPLEX - edition & multiple」初日、ギャラリーノマルにて
(左:名和晃平、右:ディレクター・林)
出会いから20年、信頼関係を築き、お互いに深く理解しあった良いチームだからこそ制作できた自信作「Element - Black シリーズ」。
YOUANDARTでのお取り扱いは22日(月)開始です。
ぜひご自宅に飾りながらじっくりと鑑賞してみてはいかがでしょうか?