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いまだいびつに歪んだ防波堤や欄干の残る場所に、均整の取れたラインの巨大な構造物の姿はおおよそ不釣り合いと呼ぶにふさわしいものだった。あるいは、そこがかつて集落があった場所でなければ、ただ、海岸線に沿って太平洋の水平線とだけが延々と続く場所であったなら、すこしばかり丸みを帯びた細い三本の羽が回転する「それ」は、新しい時代の訪れを告げる未来的な絵姿と感じられたのかもしれない。 定点観測のように、毎年、同じ時期に同じ道路を同じように車を走らせた。風景は時間とともに移り変わって行っ
2019年2月、福島第一原発事故の後の経験をまとめたエッセイを出版しました。 ※論文や発表などについては、researchermap にまとめました。https://researchmap.jp/Ryoko_ANDO 私は忘れまい。今日見た景色を、聞いた話を、忘却の向こう側へ押しやられようとしていることたちを、あなたが忘れるのなら、消し去ろうとするならば、私は、記憶に、記録にとどめよう。 版元のみすず書房紹介ページへは こちら 。注文も可能です。 「紀伊國屋じんぶん大