安東量子

作家・NPO福島ダイアログ理事長 『海を撃つ -福島・広島・ベラルーシにて』(みすず書房) 『スティーブ&ボニー ー砂漠のゲンシリョクムラ・イン・アメリカ』(晶文社) 朝日新聞「福島季評」連載中

安東量子

作家・NPO福島ダイアログ理事長 『海を撃つ -福島・広島・ベラルーシにて』(みすず書房) 『スティーブ&ボニー ー砂漠のゲンシリョクムラ・イン・アメリカ』(晶文社) 朝日新聞「福島季評」連載中

マガジン

  • 本の感想・紹介

    記憶に留めたい本をときおり紹介します。

  • 雑感

    日記のようにその時々の感じたことを書きます。予告なく削除することがあります。

  • Twitter✖️福島 12年の私的戦記

    日本でTwitterの利用が大きく広がったのは、東日本大震災と福島事故がきっかけでした。私もそのなかの1人です。その後、良くも悪くもTwitterは、私個人のみならず、福島の復興シーンへも影響を与えてきました。Twitter が X になったのをきっかけに、原発事故からの12年間のTwitterでの経験を振り返りました。全5回。無料です。

  • 随筆・エッセイ

最近の記事

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自己紹介:安東量子

概略 福島県いわき市在住 2011年の原発事故後、「福島のエートス」「NPO福島ダイアログ」で対話をベースとした被災地の復興支援活動を行うほか、作家活動を行う。現在、博士課程後期在学中。研究テーマは原子力災害後の復興プロセスにおけるローカルプロジェクトの果たす役割。 note には、その時々考えたことや、福島復興関係について思うことなど雑多に書いています。(大学院等が忙しく、更新少なめです) 著書・連載◾️2019年 『海を撃つ』(みすず書房) 書評など ◾️2022

    • 「ほんとうの言葉」と環境省の変質

       5月1日、水俣病公式確認から68周年の慰霊式典が、熊本県知事・環境大臣も列席して開催された。その式典ののちに開かれた懇談会の模様を、RKK熊本放送が報じている。  なにが起きたのかは、文章よりも動画を見てもらった方がいいだろう。  「この懇談会は水俣病慰霊式の後に、環境大臣が被害者団体の話を聞く場として毎年開かれています」とのことだそうだが、これまで、話を途中で遮った上に、マイクの電源を切るなどということは行われていなかったようだ、というのは、記すまでもない当たり前のこと

      • いただきもの書籍ご紹介

         ご紹介が遅れてしまいましたが、以下、ご恵投いただきました。ありがとうございます。 どうするALPS処理水? 科学と社会の両面からの提言著者・編者:岩井孝、大森真、児玉一八、小松理虔、 鈴木達治郎、野口邦和、濱田武士、半杭真一(著/文)  私も企画の時にお声がけをいただいたのですが、非常に立て込んでいた時期のため、ご協力できず恐縮でした。(著者が男性ばかりなので、一応、女性の私にもお声がけはいただいていた、という証言代わりに書いておきます。)  海洋放出は、現在も進んでい

        • 復興と子供 (2月10日追記あり)

           ソーシャルメディアでは断続的に言ってきたのだけれど、復興と子供についてまとまった文章を書いたことはない。少し前の話ではあるけれど、私以外には書けないだろうと思う話をいくつか聞いたこともあって、少し書いてみることとする。  率直に言って、福島の復興政策に関連する子供の扱いは、私のまわりの親世代の間では、かなり評判が悪い。「評判が悪い」程度で済めばいいのだが、「激怒している」と言ってもいいかもしれない。かくいう私もその一人だ。私の場合は、2017年から怒り続けているので、「遷

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        自己紹介:安東量子

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        記事

          災害対応、復興支援にあたる人におすすめの書籍

           能登の震災は、まだ緊急対応の状況ですが、災害対応は、次におこることを予測して、先手先手を打って様々なことを同時並行で進めていく必要があります。  災害直後の対応が、その後の被災地の運命を決定づけることも少なくありません。それぞれの災害の起きた条件によって、個別の事情は異なってきますが、人間心理の動きであったり、大枠で問題になるところは共通している箇所は多く、過去の知見を踏まえれば、一定程度、なにがこの先課題になるのかは予測することは可能です。  これから災害対応や復興支援

          災害対応、復興支援にあたる人におすすめの書籍

          2024年頭所感:漂泊の時代のはじまりに

           年明けに年頭所感を書くことを恒例にしていたが、年越し直前に風邪をひいてぐずぐずとしているうちに、能登の大地震が起き、正月という雰囲気でもなくなってしまった。それでも、節目ということで書いておくことにしたい。  2023年の後半は、修士論文の追い込みに加えて、OECD/NEAのワークショップ参加、ダイアログの開催、ICRP2023への参加と札幌のリスク学会でのセッション準備に、細々と締め切りや大学院の単位取得授業もあり、正直、自分でも乗り切れるかどうか不安だった。  それで

          2024年頭所感:漂泊の時代のはじまりに

          2023年 お送りいただいた本

          ご送付いただいた御本をお送りいただくたびにご紹介できればよかったのですが、年の瀬もまとめてのご紹介で失礼致します。 まだすべて読みきれていませんが、とてもよい本ばかりですので、手に取っていただく参考にしていただけたら幸いです。 『開かれたかご』 キャシー・ジェニトル=キジナー『山上徹也と日本の「失われた30年」』 五野井郁夫/池田香代子『所有とは何か』 岸政彦/梶谷懐『黙殺された被曝者の声』 トリシャ・T・プリティキン 黙殺された被曝者の声 - 株式会社 明石書店黙殺された

          2023年 お送りいただいた本

          雑記:「デブリに触れた水」を広めたのが私であるという風評に対する反論

           「デブリに触れた水」という言い方を私が広めたものであるかのような主張がXを中心に広げられているようです。中心となっている方のnoteを引用し、私が掲載した反論をnoteにも掲載しておきます。  私の反論を受けて、一部、記事を修正していただきましたが、それでも、私へのレピュテーション・ダメージ(風評被害)を与える効果はある、と認識しています。  まずは、当該となっている朝日新聞のインタビュー記事を全文読んだ上で、ご判断いただきたく存じます。  こちらが、中心となっている方

          雑記:「デブリに触れた水」を広めたのが私であるという風評に対する反論

          エッセイ: Twitterのおもいで(5)・了

           2016年6月、福島民友新聞がひとつの記事を掲載した。  福岡を拠点とするグリーンコープの震災応援販売企画が「東北5県」となっており(東北は6県)、福島県を意図的に外した「福島外し」、つまり福島を差別している、との内容だった。この記事は、社会に大きな反響を呼び、その後の福島のイメージや、報じられ方、復興政策へも多大な影響を与えることになった。  ただ、それだけ大きな影響を与えたにもかかわらず、結論からいえば、この記事は、控えめに言って福島民友の「勇み足」、中立的に言えば「確

          エッセイ: Twitterのおもいで(5)・了

          エッセイ:Twitterのおもいで(4)

           2018年だったか、もしかすると2019年だったかもしれない。とにかく、刑事告訴からずいぶん時間が経って、反原発活動家のことを思い出すこともなくなり、私の記憶からも消え去ろうとしていた頃だった。  私の活動を最初の時期からよく知っている友人から、不思議なダイレクトメールが舞い込んだ。「エートスの活動には〇〇さんがかかわっているんですよね?」と、とある専門家の関与を確認する内容だった。名前のあげられたその人は、私が刑事告訴した活動家が、Twitter上で事実無根の関与を言い

          エッセイ:Twitterのおもいで(4)

          エッセイ:Twitterのおもいで(3)

           私の刑事告訴について、告訴対象となった側の悪行だけを書いておくのはフェアではないだろう。いわゆる自称「エートス支持者」であった人たちのことについても触れておきたい。  原発事故が起きた後、放射能の安全性をめぐって大きな論争が起きたことは、その当時成人していたならば、まだ記憶にある人も多いだろう。あらゆるメディア媒体を巻き込んで起きた論争は、原発事故の動揺が大きかった東日本では、パンデミック同様に、生活レベルでも大混乱を巻き起こした。  放射能リスクに対する危険派、安全派に

          エッセイ:Twitterのおもいで(3)

          エッセイ:Twitterのおもいで(2)

           2014年、反原発活動家の女性を侮辱罪で刑事告訴した。先に、首都圏反原発連合のエートス支持表明によってデマの拡散は勢いを失った、と書いたが、燃え広がる速度が沈静化したというだけであって、いちど広がったデマは消え去らなかったし、それを信じる人も多く残されたままだった。なかでも、沖縄に在住していた反原発活動家による事実無根の発信は数年にわたってしつこく続き、その過激な発言によってフォロワー数も増やしていたため、影響も大きかった。  誹謗中傷に対する、私の態度は一貫して無視だっ

          エッセイ:Twitterのおもいで(2)

          エッセイ: Twitter のおもいで

           もう正式名称が「X」に変わってしまったということなので、タイトルを「おもいで」にしても気が早い、ということにはならないだろう。  Twitterのアカウントを作ったのは、東日本大震災のちょうど1年前、2010年3月だった。(多くのトラウマサバイバーがそうであるように、私もあらゆる出来事の時間基準が東日本大震災以前と以後とで区分される。)  安東量子という名前は、その時期に考えついたものだ。今もそうだけれど、オンラインではハンドルネームを使うことが当時も主流であり、私もそ

          エッセイ: Twitter のおもいで

          雑感: 喪失を悼む

           すっかりnoteに記事を上げる頻度が減ってしまいました。  大学院の単位取得や修論のこともあって、時間的にも心理的にも余裕がない、というのが大きな理由ですが、世の中全般、あまりに事象が複雑になりすぎていて、なにかについて意見をいうことがためらわれる、ということも理由としては大きいです。  いま、福島原発事故に関連していえば、処理水の海洋放出の問題でしょうし、それ以外にも、ウクライナ戦争だったり、米中関係(日中関係)、気候変動などなど、日々の生活で直接触れる出来事に、大きな

          雑感: 喪失を悼む

          福島復興あれこれ:復興の主体は誰なのか

           毎日新聞に避難8町村の自治体職員へのアンケート調査をまとめた論文の内容を紹介する記事が掲載されていました。  記事の末尾に、引用元の論文J-Stageへのダイレクトリンクが載っている!  地味に画期的です。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/reportscpij/21/4/21_439/_pdf/-char/ja  福島大学の学生さんがまとめられたとのことで、とてもわかりやすい調査です。  ただ、もと論文を見ると、回答率が18

          福島復興あれこれ:復興の主体は誰なのか

          福島復興あれこれ:「福島復興長期政策研究会」での質疑応答から- どうすれば、よりマシになるのか?

           先日、NHKの「日曜討論」でご一緒させていただいたご縁でお知り合いになった福島大学の川﨑興太さんの「福島長期復興政策研究会」でお話をさせてもらいました。  末続地区の地元の方が粘り強く交渉して、地域の人たちが使えるスペースとしてJRから借り受けた末続駅の駅舎の旧駅員室をお借りしての集まりになりました。  そのときの内容は、発表スライド、議事録ともに上記のサイトにアップしていただいているので、ご興味のある方はご覧ください。  これまでのほかの方の議事録などをちらほらと拝

          福島復興あれこれ:「福島復興長期政策研究会」での質疑応答から- どうすれば、よりマシになるのか?