(読書メモ)『災害の襲うとき』 自主独立への欲求を阻むもの
自分が経験したことを、自分の経験よりもはるか以前に書かれた書物を通じて後方視的に振り返ることは、奇妙な経験だ。予言書を破局が訪れたのちの未来から読み直すようなものだ。これからふたたび予言書を書くことがあったとしても、かつての予言書の焼き直しに過ぎず、予言書改訂版第二版に需要があるとも思えない。それでもなお読み直すのは、弔いの儀式のようなものなのかもしれない。叶うことのなかった未来に対して、そのとき抱いた、果たされることのなかった願いに、そのために空費した情熱と時間に対する。な