初めて救急車に運ばれた話その2

次の日、お医者さんが巡回しに来た。
「具合はどうですか?」
「・・・・悪いです・・」
「ちょっと足上げるよーー痛かったら言ってねーー」
「痛い痛い痛ーーい!」

もうこの時は痛みで一睡もしていない状態&病院で提供するご飯すらも起き上がれずに食べてないという最悪のスタンス。

「あの、これ・・・ホントにぎっくり腰なんですか?」
思わず医者に聞いてみる。
「そうですねーーー症状的にはぎっくり腰なんですけどもねえーー」
とはいえ、あまりにも痛がる自分に、実は看護婦も医者も「??」と思ってる感じは前々から伝わってはきていた。

「ちょっとあまりにも痛みが治まらないのでレントゲンだけじゃなくて他の病院でMRIとかCTスキャンで精密な検査をしたいです!」
「え?あ、そーなの?」
「はい!!!」
「うーーん、希望は?」
「○○病院です!」
それを聞いた医者は笑って「いやいや、そこはもっとひどい状態じゃなきゃ受け入れてくれないよ、転院か・・・・あそこがいいかな・・ブツブツ・・・」
と、希望を聞いたのはそっちじゃないか!と思う自分を知ってか知らずか、勝手に話を進めていく医者。そしてそのまま病室を出て行った・・・。

もうとにかく、ここにいれば殺される!(>_<)とまで思ってた自分は、かなり必死に転院を希望した。

そして1時間後、また医者が戻ってきて「転院先が決まったよ、○○病院にしたよ、でも今日は空きがないから明日になるよ」と一言言ってまたさっさと出て行こうとする。そんな行ってしまう医者に付き添っていた看護婦をなんとか呼び止め「そこの病院はMRIとかCTスキャン出来ますか?」と聞いた所、「総合病院なのでほぼ全部の設備が整ってます」と言って、颯爽と行ってしまった。

(よかったああああ~~~!これで精密検査が受けられる~~~!)

心の中でホッと安堵の声がアタマの中で歓声をあげる。
その後、母が見舞いに来て明日転院することを伝えた。

その前から母もどうもおかしいと思って、先生に転院のことを進言した方がいいと言っていたので、母も「それでいいんじゃない?それで何も変なところが見つからなかったらそれでよし。今そんなに疑ってるならちゃんと精密な検査を受けた方がいい」

良かった・・・・ちゃんと調べて一刻も早くこの痛みから解放されたい・・・

その日の夜・・・入院してる所は大部屋だったので、お向かいにいるおばあちゃんが初めて話しかけてきた。

「よかったねえ。あそこの病院ならなんでもあるからちゃんと調べてくれるよ、私の知ってる人もあそこで治してもらったからね」

自分がいた大部屋にはこのおばあちゃんしかいなかったのだけど、このおばあちゃん、初めはよろしくね。と挨拶程度でそれからはあんまし関わらないようにしてくれてたんだけど、なんとなくそれがこの人の気遣いだというこという事は知ってた。もう一緒の部屋だから自分はどんだけ悶絶してたとか看護婦のやりとりとか筒抜けだったからな・・・・www

そして次の日の朝早くから慌ただしく医者と看護婦数名がやってきて
「○○さーん、今から救急車に乗ってそのまま医療センターに向かいますからねーーー」

・・・・・て、え??また救急車に乗るの??

「だってあなた、歩けないでしょ?」
まあ、そりゃそうですけど・・・・

そしてしばらくしてピーポーピーポーと救急車のサイレンが聞こえ、また担架に乗せられ救急車に乗せられていく・・・・・


なんだろね・・・・二回目ともなるとあんなに恥ずかしかったのがあんまりなくなり、なんだかVIP待遇の人。。みたいな気持ちになってそのまま救急車に乗った。

無料だし、周りの車は皆道空けてくれるし・・・・・
こりゃ確かにタクシー代わりに使う人がいるって聞いても、なんとなく納得しちゃうわ。

んで総合病院について早速点滴をつけられて血を抜き取られて「○○さん、痛みはどうですか?」とお医者さんと看護婦に囲まれて心電図やら質問攻めやらで何が何だかわからないままにどんどんと事は進んでいき、そのまま担架に乗せられたままガラガラと看護婦に、廊下で待っている普通の患者さんたちを横目で通り過ぎ、誰よりもいち早くMRI室に連れて行かれる・・。

そしてはじめてのMRI検査。。
なんだかでっかい丸い機械の中に入ってヘッドホンをつけられて(音がすごいらしい)寝かされた状態でそのまま20分。
「はい終わりましたーーー、次はCTスキャン室へどうぞーーーー。」
と、また担架に乗せられて、これまた普通に来ている何人もの患者さんをすっ飛ばしてCTスキャン室へGO。(どうやら救急車で運ばれてきた人は他の
普通の患者さんよりも優先されるらしい・・・・)

これまた、似たようなでっかい丸い機械の中へ吸い込まれて行く。

その後はレントゲン、尿検査とすべてが終わるのに2時間くらいかかった・・・・。(でも普通に来てたらもっと時間かかるのだろな)

そして入院手続きをして、そのままこちらの病院に入院することになった。

その日の夜は全然まだまだ腰が痛くて、やっぱり眠れない夜を過ごす。
そして次の日、やっと痛みが少し引いてきて起き上がってご飯が食べれた。

そして主治医の先生がやってきて結果を教えてくれた。
「まあ、いわゆる椎間板ヘルニアですね」
「え・・・あ、他になんかの病気とかはないですか?」
「うーーん、MRIとCT撮ってレントゲン撮ったけど、それ以外の病気はとくに隠れてませんでした」

ほ~~~~~・・・・それを聞いてやっと気持ちが安堵する。

なんにもなかったんだああああ~~~まあ・・・とりあえず良かった。。。

その日から徐々に痛みが引いてきて、ちゃんと起き上がってご飯も食べれるようになったし病院の周りをウロウロ探検できるようにも回復してきた。


そして、そうなってくるとやはり人というモノは暇になってくる・・・・。
何にもしないで一日中ベットにいると退屈で退屈でしょうがなく、病院の食堂にあった漫画本をひたすら読み漁る。

二ノ宮知子先生の「天才ファミリーカンパニー」がむっっっっちゃくちゃおもしろくて、多分全巻出て終わった後に総集編として発売されたのか結構分厚い文庫本として全部で6冊あったので退院するまでひたすらこれを読んでました。

関係ないけど、これむちゃくちゃ面白いよ。
途中から会社の話やら株の話やら超難しくはなっていくんだけど、
それでもとても勉強になるし、二ノ宮先生って「のだめカンタービレ」の作風のイメージが強すぎて、今回この漫画を読んで「二ノ宮先生ってこんなことまで描けるんだ!」と、素直に感嘆してしまった・・・・。

そしてこの病院に入院したから2日目・・・・

夜中の3時半、
いきなりお向かいさんで寝ているベッドから「ひいいいいいいやあああああ!!!!」とこの世のものとは思えないくらいの叫び声が聞こえて超絶びっくりして体が固まってしまった・・・・・。

ーーーーーーーな、なんだ??お向かいさんの人、妖怪にでも取り殺されたのか??

よくはわからないけども、その後ゴソゴソとベッドから起き出す気配がしてそのままどっか行ってしまった・・・。
そして15分くらいして帰った来たけど、それ以降はとくに変な奇声をあげることもなく、朝を迎えた。(あれは一体何だったんだろう・・・)

なんだかよくわからないまま主治医が来るのを待つ。

「○○さん、どんな感じですか?」
「足のしびれはまだ残ってるけどももうそんなに痛くないし、起き上がってご飯も食べれています」
「ソレはよかったですね」
「・・・・・・あの~~~~、すいませんけど退院って出来ますでしょーーか?」と、恐る恐る聞いてみる。
「あ、退院ですか?別に問題ないですよ」
(やった!これでお風呂には入れる!)
この時点ですでに5間日風呂に入ってなかった・・・・・・
「その前に腰の所に注射をしていただいて、そっちの方が今後痛みも和らぐし、是非ともやってから退院したほうがいいですよ」
「ええ!そりゃもう退院できるなら注射の一本でもなんでも喜んで!!」
と心の中で叫んだ。。。

その日の昼、相変わらず漫画本を読んでいたらカーテンの向こうから一緒に入院してるおばあちゃんたちの会話が聞こえてきた。
「今日は雨でどうにもこうにも痛みが強くなるねえ」
「そうだねえ、・・・そういえばあんた、今朝方すごい大きな声出してたけど、なんかあったの?」
「ああ、怖い夢を見たさね。それでついおっきな声出しちゃったね」
(ああ、それで・・・・)

よくよく考えてみると、なんかそのおばあちゃん、行動が少しおかしかった気がするな。なんかひたすら病院からもらった薬を30分くらいかけて整理してたり、言動もなんかちょっと的を得ない会話を何度もしてたり、ちょっとこう常にセカセカしとるというか・・・・いつも不安気で、ひょっとしたら不安症か何かを発症してたのかも・・・・。

人間というのはやっぱり健康だったのが突然病気やけがで思うように体を使えなくなると。どうしてもやっぱりこの先とかを考えて不安になる。

その気持ちはなんとなくわかった。

さてその次の日、早速別の部屋に連れて行かれて半ケツにされて仰向けの状態で主治医の先生が何かやってる。
てっきり針の鍼灸か体の上にお香みたいなのを乗っけるのをやるのかと思っていたら、突然クソぶっとくてクッソ長い注射針を持ってきやがった。

針の長さは人の腕の上腕くらいあったような気がする。
(メガネしてなかったから気のせいかも・・・)


え?ちょ、待て。ソレ腰にぶっさすの??
そんな長い針を???

途端に顔面蒼白で怖くなってガタガタと震え始める。

「あ、あの看護婦さん。」
自分が入院してからというもの、ずっと自分を担当していた看護婦さんに話しかける。

「こ、これって、ひょっとしてかなり痛いですか??」
「え、あ、まあ・・・・多分痛くないということはないです」

ガアアアーーン!

甘く見すぎてた・・・・まさかこんなことになるとは・・・

看護婦さんの言葉を聞いてますます縮こまってプルプル震えてる自分に
「大丈夫だから!頑張って!一瞬で終わるから」
「・・・ホ、ホント?」
「うん、私もついてるから!ね!」
「・・・・ホントのホント??」
「大丈夫!大丈夫だから!」
「・・・・・うん」
と、(おそらく)一回りも年下であろう看護婦さんにに手をぎゅっと握られて、いざ腰に長い針が差し込まれる。


ーーーーー結果、

そんなに痛くなかった。。刺された瞬間は痛かったけど、まあ筋肉注射ぐらいの痛みで終わり、無事に終了してその個室から出て行く。。

(うわあああ・・・・年下の看護婦にあそこまで醜態をさらして、それをしかも主治医にも見られてたあ・・・・)主治医もまだ若くて、おそらく自分よりも年下。

年下だらけの中であそこまで醜態さらしたのは多分自分ぐらいではなかろーーか・・・

その後、別の看護婦さんが自分のカルテを見るたびに「あ、痛いの苦手なんですね」とちょくちょく言われるハメになる・・・(;_;)

まあ・・・それは別にいいのだ。たいしたことではない。
とにかくこれで無事にこっから退院出来るのだ!

どーせもう会うこともそうそうなかろう。(主治医は会うけど)

てな訳で、入院してから全部合わせて6日目、
晴れて娑婆から出てこれた時のうれしさといったら・・・・

久しぶりの外の空気、気持ちいいくらいの天気の良さとこの日差し!

ああ、きっと刑務所から出てきた人って、きっとこんな気持ちなんだあ。
とすがすがしい気分で空を仰ぎ、

やっとこさ退院した訳です。


今、振り返って思うことはやっぱり看護婦さんにはすごく救われた!
人が弱って不安になってるとき、すごく励ましてくれたりとか、男の人が病院の看護婦に惚れるってこーゆーことかあ!と身をもって体験してその気持ちがつくづくわかった。(悪魔のような看護婦もいたが・・・・)

あとは・・・・病院食が最初味が薄くてまずかっけど、慣れるとそうでもないという事がわかった。自分らって、娑婆の世界にいるときはポテチだの唐揚げだの、どんだけ味の濃いものばっかり暴飲暴食してたってのが判明。

そして、病院食のいいところは腹八分目で抑えてくれて、ちゃんとカロリー配分がなされてる食事だから太らない!(^_^)/

あの病院食を脂肪が気になってる人とかダイエットをしたい人にはすごくいい食事だなと思った。。
あれを毎度デリバリーで一日3食で毎日家に届けてくれるサービスとかあったら迷わず契約する!ダイエットした人たち向けに商売を始めても全然いいと感じたな。。(もうどっかでやってそうだけどね)

どっちにしろ、

救急車に乗るのはもうご勘弁・・・・。。

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