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11月末開講。対話と「答えを急がず立ち止まる力」を探究・実践へと繋げる - 「対話とネガティブ・ケイパビリティ探究ラボ 第2期」募集開始!


noteを開いてくださってありがとうございます。合同会社&anteです。

対話とネガティブ・ケイパビリティ探究ラボとは?

対話とネガティブ・ケイパビリティ探究ラボは、対話と「答えを急がず立ち止まる力」であるネガティブ・ケイパビリティという概念を探究し、実践へと繋げることを目指すゼミ形式の企画(オンライン開催)です。

「ネガティブ・ケイパビリティ」とは

ネガティブ・ケイパビリティは、一言では「答えを急がず立ち止まる力」と言えます。(「ネガティヴ・ケイパビリティで生きる ―答えを急がず立ち止まる力」 谷川嘉浩 (著), 朱喜哲 (著), 杉谷和哉 (著)より)

「ネガティブ・ケイパビリティ」という言葉は、19世紀に生き、25歳という若さでこの世を去ったイギリスの詩人ジョン・キーツが私たちの心を捉える形で表現したものです。

ジョン・キーツは、生まれつき身体が弱く、また早くに父母を亡くしました。若くして死を目前にし、答えの見つからない状況に直面し続けた彼にとって、救いとした概念なのかもしれません。

キーツの死後、イギリスの精神科医ウィルフレッド・ビオンは、「ネガティブ・ケイパビリティ」の概念を重視し、心理臨床の現場に持ち込み広めたとされています。それは、事実や理由が明らかでない状況に苛立つことなく、不確かさや神秘、疑念の中に身を置くことができる力を指しています。

また、ネガティブ・ケイパビリティについての著書を持つ精神科医の帚木さんは、この概念は頭の片隅に置いておく程度でよく、「きちんと身につけなければ」と力むのは難しいとおっしゃっています。

なぜ対話と「ネガティブ・ケイパビリティ」か?


本企画立ち上げ人の一人である私、大滝は、今対話を通した学びについての研究をしていますが、もともと相手とじっくり向き合うようなコミュニケーションが苦手でした。

小さな頃は負けん気が強く、友達とカードゲームで負ける度に怒って泣いていました。その度に周りはどうしたものか、と困った雰囲気になり、段々と、遊びに誘われなくなっていきました。

「感情的になると、人が離れていくんだ」と、子どもながら強烈な学習をしました。それから周りの目を気にするようになり、感情を抑えたコミュニケーションをするようになりました。特に、ネガティブな感情を極力コントロールするようになりました。

長い間演じていると、それはいつの間にか時間をかけて自分の一部になり、だんだんと「本当の自分」になっていきます。

気づけばこういう風に動いたら正解かな? とか、相手が気に入ってくれるかな? と、無意識に答えを探りながら行動する打算的な人間になっていました。

「いつも冷静な自分」を手に入れた時、いつしか気づけば斜に構えて、何事にも簡単に感動しない人間になっていました。当時お付き合いしていた方に、「なんだか、ロボットみたい」と言われたこともありました。

そんな振る舞いは、いざ社会人として働き始め、様々な人と共に正解のない問題に取り組まなければいけない状況になるとまったく上手く行かず、自分の行動を無理矢理にでも変えざるを得ないような状況に追い込まれることになります。

とはいえそれまでの自分を変えることは簡単ではありません。藁にもすがるような状況の自分を大きく変えることになったのが、人や自分との対話でした。時間はかかりましたが、ゆっくりと自分の中にあった氷が溶けていくような瞬間がありました。

「対話の力を信じたい」という想いから、友人と共同で会社を立ち上げ、今に至ります。

明確な「正解」が見えにくくなった今、より深くお互いを理解し、本質的な課題と向き合うために「対話」が注目されています。

このnoteを読んでくださっているあなたも、こんな思いを抱いたことはありませんか?

「対話の重要性はわかっているが、職場や家庭で実践するのは難しい」
「表面的には和やかなコミュニケーションを取れるが、本当にお互い言いたいことを伝えられているのか不安になる」
「ネガティブなことを伝えづらく、ついそのままにしてしまう。自分が我慢したり、相手に我慢させてしまう」
「ネガティブなことを伝えても、相手に受け入れてもらえない」
「答えが出ないことに向き合うことが苦手」

対話はきっと、単に「じっくりといい話をする」ことではありません。楽しく心地よいものばかりでもないのです。

それは、海へと漕ぎ出すようなものかもしれません。晴れた、穏やかな波を楽しめるときもあれば、雨が降ってきたり、海が荒れた時には自分たちでコントロールできることは僅かです。

不確実性の中でどうしたらよいかわからなくなる時があるでしょう。そんな時に諦めず、対話を続けるために、「ネガティブ・ケイパビリティ」という概念が大切なのではないでしょうか。

対話の探究と実践を続けてきた私たちは、ネガティブ・ケイパビリティは「わからなさ」と共にあり、対話を続ける上での重要な概念だと考えています。

対話とネガティブ・ケイパビリティを共に探究・実践する

私たちは2021年8月に対話を深め実践するコミュニティをスタートさせました。対話やキャリア、チームについてなど、様々なテーマでこれまで延べ約200名以上のメンバーと毎期約3ヶ月間、対話を探究してきたゲストの方と共にインプットとアウトプットを繰り返しながら、学びの場をつくってきました。

2024年5月に開講した本企画の第1期では、「対話とネガティブ・ケイパビリティ」を探究する企画、特に「ネガティブ・ケイパビリティ」という一般には聞き馴染みのない概念の探究に魅力を感じる方がどれくらいいらっしゃるだろうと、ドキドキしていました。結果、定員を上回るお申し込みを頂き、大変ありがたかったです。

第1期はまさに「手探り」状態でしたが、素敵な参加者の方々と共に探究することができました。
以下、対話とネガティブ・ケイパビリティ探究ラボ1期にご参加いただいた方の感想を一部ご紹介します。

実験的な内容もあり、参加者も運営も手探りしながら場自体を探究してる感が楽しかったです。ネガティブ・ケイパビリティというテーマだからこその良さが随所に感じられ、当初はなんとなくの参加でしたが終わってみれば自分の核心部が再構成されているという驚きの結果に。そしてまた新たに探究は続く、という終わりなき感じがとても好きです。参加者がたくさんいて、いろいろな方と交流を持てたのもとてもとても良かったです。

「対話とネガティブ・ケイパビリティ探究ラボ 」1期に参加頂いた50代会社員の方

参加した皆様とは初対面の方が多く、初めは緊張していたのですが、回を重ねる毎にいつの間にか、仲間意識が芽生え、話しやすく、暖かい気持ちになれたことを今でも鮮明に思い出せます。このような貴重な機会をいただけたことで、自身の人生にも少し、向き合うことへの恐怖より「楽しさ」というワクワクな感覚がプラスされたと感じました。今回出逢うことのできた経験や皆様からのお言葉を胸に、少しでも、日常の中でネガティブ・ケイパビリティと手を繋ぎ歩んでいけるようにしていきたいです。本当にありがとうございました。すべてのご縁に感謝いたします!

「対話とネガティブ・ケイパビリティ探究ラボ 」1期に参加頂いた20代学生の方

ネガティブケイパビリティは、生きていく上ではなくてはならないものだと理解できた。こんなに面白い企画はありません。また機会がありましたら参加します、応援しています!

「対話とネガティブ・ケイパビリティ探究ラボ 」1期に参加頂いた40代教員の方

僕は、1期の探究を経て、いい意味でネガティブ・ケイパビリティがより分からなくなった感覚がありました。それは分かるようになったことが増えた分、見える範囲が広がったからなのですが。

参加者の方々からも素敵な感想を頂き、とてもとても嬉しかったのですが、もっと深められたな、と思う場面もあり、ここで満足してはいけないなと思い、第2期の開講を決めました。

第2期では、第1期の内容を更にアップデートさせ、より探究した内容の「日常での実践」を共に目指したいと考えています。そして、この度の「対話とネガティブ・ケイパビリティ」探究ラボ2期においても、心強いゲスト講師の方々にご協力頂いています。

「ネガティブ・ケイパビリティで生きる」の共著者であり、哲学者である谷川嘉浩さん。

日本で「オープンダイアローグ」を実践する、精神科医である森川すいめいさん。

オープンダイアローグ(開かれた対話)とはフィンランドで生まれた地域精神科医療における対話実践の考え方であり、「医療機関に限らず、福祉や教育など、あらゆる対人支援の現場で応用することが可能(オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン「対話実践のガイドライン」より)」です。オープンダイアローグの7つの原則の中の一つに「不確実性に耐える(Tolerance of uncertainty/)」があります。

対話とネガティブ・ケイパビリティの探究、実践をされてきた実践者の方々と共に、それぞれの解像度を上げ、生活での対話とネガティブケイパビリティ実践のための知を一緒に積み上げる場になればいいなと考えています。

企画で大切にしたいこと


〈目指すところ〉
・対話を通してネガティブケイパビリティの理解を深める
・対話とネガティブケイパビリティの関係性を探究する
・対話とネガティブケイパビリティの概念を自身の実践と結びつける
・健全な批判的精神を元に、ラボ期間中も不確実性にとどまるケイパビリティをもつ

こんな方にオススメ

・変化激しい現代社会で「分からなさ」と共にありたい方
・他者とのコミュニケーションに課題感を感じている方
・仕事や場づくり、対話で表面的には和やかに進められるが、より深い所での気づきや学びを得られる場を目指している方
・ネガティブな状態や気持ちを抑えるのでもなく、爆発させるのでもなく付き合えるようになりたい方
・対話とネガティブケイパビリティの哲学者や実践者と共に、対話を通して探究する力を身につけたい方
・対人支援や教育関係など、ネガティブ・ケイパビリティが仕事やご自身の活動において重要だと思われる方

プログラム日程

・全7回の定例ゼミ形式(全回オンライン、Zoomでの実施)
 11月28日からスタート、原則 毎週木曜日20:00-22:00で実施
 (※第2回、12月4日のみ水曜開催となります)

第1回  2024年11月28日(木)20:00-22:00
自分の対話とネガティブケイパビリティの現在地の確認
・顔合わせ、お互いのことを知る
・自分の対話とネガティブ・ケイパビリティの現在地の確認
・ご自身の問い、探究テーマを設定する

第2回 2024年12月4日(水)20:00-22:00 ※第2回のみ水曜開催
ネガティブ・ケイパビリティを探究する 講師:谷川嘉浩さん
・ネガティブ・ケイパビリティとは、結局何なのか? 
・結論ではなく問いとしての「ネガティブ・ケイパビリティ」
・それでも、ネガティブ・ケイパビリティを目指すには

第3回 2024年12月12日(木)20:00-22:00
ネガティブ・ケイパビリティについての対話 
・谷川さんの回の振り返りと気づきと学びの言語化
・ネガティブ・ケイパビリティについて対話する
・自身の探究テーマを共に深める

第4回 2024年12月19日(木)20:00-22:00 
対話の原則とネガティブ・ケイパビリティ 講師:森川すいめいさん
・開かれた対話 - オープンダイアローグとは何か?
・対話の原則 - 不確実性に耐えるということ
・ネガティブ・ケイパビリティの実践に向けて

第5回 2024年12月26日(木)20:00-22:00
ネガティブ・ケイパビリティの実践
・森川さんの回の振り返りと気づきの学びの言語化
・ネガティブ・ケイパビリティを実践する
・自分のネガティブ・ケイパビリティに対する価値観を客観視する

第6回 2025年1月9日(木)20:00-22:00
ネガティブケイパビリティ 探究と実践の共有
・探究成果をまとめ、共有し合う
・振り返りと気づきと学びの言語化
・コミュニティとしての実践知を高める

第7回 2025年1月16日(木)20:00-22:00
対話とネガティブケイパビリティ探究 振り返りとその先へ
・自分の対話とネガティブケイパビリティ探究を振り返る
・探究をこれからに繋げるための対話

※各回の進行内容はより良い場をつくるために改定する場合があります。

オンラインでも、こんな風にコミュニケーションや対話を繰り返すことで関係性を築いていくことができるということを、この探究ラボを通して体感していただけたら嬉しいです。

何より「対話とネガティブ・ケイパビリティ」という、正解が見えない時代を生きていく上で大切な概念について、一緒に学びを深め実践に繋げる仲間が欲しい。

場を開くことは「祈り」に近いです。一緒に探究したい方々と共に初めて探究の場が創られます。

「対話とネガティブ・ケイパビリティ」を真ん中のテーマに置き、一緒に探究・実践を模索してみたい!という方と共に場を創れることを心より楽しみにしています。

講師


谷川 嘉浩(Yoshihiro Tanigawa)
1990年生まれ。京都市在住の哲学者。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。現在、京都市立芸術大学美術学部デザイン科講師。著書に『人生のレールを外れる衝動のみつけかた』(ちくまプリマー)、『スマホ時代の哲学――失われた孤独をめぐる冒険』(ディスカバートゥエンティワン)、『鶴見俊輔の言葉と倫理――想像力、大衆文化、プラグマティズム』(人文書院)、『ネガティヴ・ケイパビリティで生きる ―答えを急がず立ち止まる力』(さくら舎)など。


撮影:鈴木江実子

森川すいめい(Suimei Morikawa)

1973年、東京都豊島区要町生まれ。精神科医。鍼灸師。オープンダイアローグトレーナ。2003年にホームレス状態にあるひとを支援する団体「TENOHASI(てのはし)を立ち上げ現在も支援活動を続ける。
現在は、東京都豊島区にある「ゆうりんクリニック」に勤務。
著書に、障がいをもつホームレス者の現実『漂流老人ホームレス社会』(朝日文庫、2015)、自殺希少地域での旅の記録『その島のひとたちは、ひとの話をきかない』(青土社、2016)、オープンダイアローグの心が癒されるプロセス『感じるオープンダイアローグ』(講談社現代新書、2021)、オープンダイアローグ実践案『オープンダイアローグ私たちはこうしている』(医学書院、2021)等がある。

主催者



大滝文一(Bunichi Otaki)

合同会社&ante 
認定キャリアコンサルタント・コーチ

1992年生まれ。北海道旭川市出身。University of Gothenburg 修士課程修了(教育科学)。20歳頃、自分との対話を通して気づきを生み出し課題解決に繋げるコーチングに出逢い、学びを深める。米国発の世界的な表現教育を手がけるNPOで5年間プログラムの企画運営を行い、全国20都府県で述べ5万人以上と場作りをする。地元にUターン後、世代を超えて英語で学ぶアフタースクールを立ち上げ。また、教育大生と共に哲学対話会を地域で実施。様々な機会を通して「世界に対話が足りていない」ことを実感し、本企画の前進である「対話・実践ラボ」の共同立ち上げに至る。現在は博士課程に所属し、対話と学びの研究を続けながら、豊かな学びを実践的にどう創っていくか模索中。


木村 希 (Nozomi Kimura)
合同会社&ante 
「普通」や「正解」への抗いの気持ちを持ちながら、大学で芸術理論(記号論・美学・哲学など)を学ぶ。「分からないもの」の可能性を信じて、心が自由になる瞬間を日常の舞台であるまちに染み込ませたいと考え大学院で都市計画を専攻し、新卒で鉄道会社に就職。都市開発や沿線の土地資産活用に携わり、その後アルバイトやボランティア、設計事務所でのコンセプト立案の経験を積み、独立。現在は社会福祉・文化・場・言葉をキーワードに活動中。


原田優香(Yuka Harada)
合同会社&ante代表 
産業カウンセラー/組織開発コンサルタント
イベント企画運営、場づくり、コミュニティづくり、プロジェクトマネジメント等の経験を経て、独立。独立後は、学びや対話の場づくりを中心に、組織開発、プロジェクトマネジメント、新規事業立ち上げ等を行う。組織で働いていてうまくいかなかった経験から、「人が組織やチームで活き活きと働くために必要なことは何か」という問いを探求するために、2023年4月より立教大学大学院リーダーシップ開発コースに入学。人材開発・組織開発について勉強中。研究テーマは「上司と部下の関係性の向上について」

企画パートナー


ひで|対話屋さん (Hide| Taiwa-yasan)

千葉県出身。大学卒業後、人材業界の会社に勤め、2020年に独立。現在は「対話屋さん」という肩書きで活動している個人事業主。他にも、あらゆる哲学的なテーマで即興的に対話していくYouTubeチャンネルを運営したり、自己受容をコンセプトにした対話会を開催したり、対話を軸にさまざまな活動を展開中。

お申し込み

【価格】
全講座参加:¥49,500-(税込)
・参加者限定の探究グループへご招待いたします。
・全7回の録画アーカイブが共有されます。
・分割払いも受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
・共に探究・実践に繋げていくためにできるかぎり全回参加を推奨していますが、お仕事や学業の都合で出られない回がある場合は事前にご連絡ください。

【定員】
15名(先着順)

【申込フォーム】※下記フォームからお申し込みください。

11/11(木)開催!ネガティブ・ケイパビリティについて対話しませんか?


今回の対話会では、ネガティブ・ケイパビリティの概念を基に、実際の場面や状況を振り返りながら、「この時のことかな?」「あれもそうだったのかな?」とネガティブ・ケイパビリティとは何かについて対話していきます。

「ネガティブ・ケイパビリティ」の概念に興味のある方、対話やコミュニケーションについて考えたい方、不確実性のなかにとどまる力をつけたい方はぜひお気軽にご参加ください!

11/4 ネガティブ・ケイパビリティって何? というテーマでラジオトークしました!

11/4(月)に企画パートナーの対話屋さん ヒデくんのラジオチャンネルにて「ネガティブ・ケイパビリティってなに?」をテーマにラジオトークを行いました。企画者の人柄も伝わる内容となっていますのでよろしければぜひお聴きください。


参考

ネガティヴ・ケイパビリティで生きる ―答えを急がず立ち止まる力 - 谷川嘉浩 (著), 朱喜哲 (著), 杉谷和哉 (著)

ネガティブケイパビリティとは。即レスしないコミュニケーション方法をあえて選ぶこと|谷川嘉浩

感じるオープンダイアローグ (講談社現代新書 2614) | 森川 すいめい 

こころの悩みを抱える人が、ゆっくりと対話できる場をー精神科医・森川すいめいさんが取り組むオープンダイアローグと、精神科訪問看護への期待 - コモレビ

苦しい人生が「対話」で一変 不登校だった精神科医が伝える経験:朝日新聞デジタル


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