夜のさんぽで
4月に入ってずいぶん暖かい日があったので、季節がゆく早さに少し焦っていましたが、今夜は肌寒さにほっとしながら、月明かりの下を歩きました。
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歩いていると、さまざまな思考がポンポンと
生まれては消えていきます。
風の音と、農免道路をたまに走る車の音しか聞こえない、山あいの村の夜。
音楽を聞くでもなく誰かとおしゃべりするでもなく、ただひとり黙々と歩を進めるこの時間は、自分の内面と向き合う時間でもあります。
一歩に意識を注いで歩くと、大地に根を張る感覚がよみがえります。
自分の足で立てることの有り難さ。
さんぽ道の途中に立つ葉桜を眺めてふと思ったのは、歩くという行為は書くという行為に似ているな、ということでした。
わたしは話すことが苦手なのですが、書くことは好きなのです。それはたぶん、書くことで、自分に根っこをおろそうとしているからなのではないかと思います。
さんぽにスマホは連れて行かないので、今書いたことを思いついた時、この気持ちが消える前に綴らねば、あるいは覚えおかねばと、
葉桜を見送って足早に帰ってきました。
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こんなふうにゆったりと文章をつづっている、ように見せかけて、パタパタとせわしなく生きているわたしです。
でも、不思議なことに、ゆったりもパタパタも、どちらも本当のわたしです。
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