👂聞き取り困難症・聴覚情報処理障害（Lid/ APD）について

　娘が発達検査を受けるきっかけになった、聞き取り困難症・聴覚情報処理障害（LiD/ APD）についてのお話です。

　私は専門家ではありませんので、娘の診断、出来事を通しての情報としてお伝えします。
詳しい情報、正確な検査や診断については、医師や専門家にご相談くださいね。

👂聞き取り困難症・聴覚情報処理障害（LiD/  APD）とは

　専門的な情報については、こちらのHPをご覧ください。
娘の主治医が代表をされています。

はじめに│私たちについて│聞き取り困難症・聴覚情報処理障害（LiD/APD） 当事者ニーズに基づいた聴覚情報処理障害の診断と支援の手引きの開発　聴覚情報処理障害の症状を示す小児の学習支援のための検査法および補聴技術の開発 公式ホームページ

　脳の音声の処理過程での障害が理由と考えられているため、その診断過程で娘は発達検査を受けました。
こちらのHP内の
「脳・心・体の特性」ー１.診断の中の「大人のLiD/APD　発達障害」
というところに娘はあてはまるようです。

👂娘の症状

　私たちは、日常生活において何気なく「聞く」「聞き分ける」という作業をしています。

今、我が家のリビングでは、柱時計が鳴り、テレビがついて、キッチンでは揚げ物をして、インコが鳴き、次男はドライヤーを使用、娘はスマホを見ています。
その、がやがやと『音』だらけの中でも、私は見ているテレビの音を聞きとれます。

これは「カクテルパーティー効果」というそうです。

カクテルパーティー効果とは多くの音の中から、自分が必要としている情報や重要な情報を無意識に選択することができる脳の働きのことをいいます。これは1953年にイギリスの認知心理学者のコリン・チェリーによって提唱され、音声の選択的聴取、選択的注意とも呼ばれています。

医療法人社団　平成医会HPより

聴覚情報処理障害（LiD/APD）の娘は、これがとても難しい。
娘の聴こえる感覚では、全てが同じ音量で聴こえるらしく、そのため聞き分けができない。

だから、教室内でのグループ学習では、本当に困ったそうです。
自分のグループと、隣のグループの話し声が聞き分けられず、よほど集中を保たないと一体何を話しているのかわからなくなる。
そして、集中のあまり、ふいに背後から話しかけられると気づけない。

小・中学生の頃は、まだLiD/APDの自覚がなく、「無視をした」「真面目にしてほしい」など、友だちから言われることが不思議で、その言葉がとても辛かったそうです。

　また、言葉の速さにも苦手があるようで、例えば早口でまくし立てる漫才のネタは、まったく何を言っているのかわからないこともあるそうです。

👂工夫

　原因が分かれば、治療方法があるだろう！と期待しがちですが、脳の機能的な問題であるため、現在のところ治療法はありません。

「工夫」ができることの精一杯です。

たとえば、教室では空調機から離れた席を取るとか、話す人の口元を見るとか、話す人の正面に立つとか。

　他には、利用している機器もあり、耳栓やLiD/APD向けの補聴器も購入しました。

耳栓を使う場面は、電車の中が多いそう。
私たちも、電車に乗って外をぼーっと眺めることがありますね。
そんなとき、特に車両のゴトゴトいう音や話し声は気になりません。
それも、脳の働きらしいですが、娘はそんなぼーっとしたいときにも音量が大きく耳に入ってくる。
とても疲れるそうです。
だから、耳栓を付けたりしています。

APD向けの補聴器というのは、
フォナックのデジタルワイヤレス補聴援助システム 「ロジャーⅡ」という機器で、一般的な耳にかける補聴器が受信機で、ワイヤレスマイクの送信機が音声を拾い、受信器に送信します。
万能ではありませんが、授業や映画館など特に音声を聞き分けたいときに使用しています。
初めて映画館で使用した時は、「こんなに聞き取れていなかったのか」と自分で驚いたと話していました。

その他では、ボイスレコーダー、テレビの字幕機能は我が家では常にONになっています。

👂難しさ

　APDと診断はされたものの、治療はない。
普段の会話はまぁできるし、聞こえないわけではない。
人の目にはわからない。
そして、娘は２３歳。

　発達障害と同じく、日常生活へのやりにくさや「なんで？」の原因はわかったけど、このAPDの方の聞こえにくさが障がい者というほどの、困難であるというわけではない。
人により程度もありますが、娘の場合は不自由で困る場面がある、人より多いという程度です。
実際、Lid/APDでの障がい者手帳の取得や、高額であるロジャーⅡの購入に聴覚障害での補助は認められていません。

でも、困っていて不自由で、嫌な思いもする。

じゃあ、「私聞こえにくいので、もう一度言ってもらえますか？」「聞き取れないので、紙に書いてもらえますか？」と、表現すればいいのだけど、それには娘はまだ若く、それをすることが大きな困難です。

難しいですよね。

周囲の理解が必要ということも、私自身よく理解しているつもりですが、日常を普通に送っているように見える娘との会話では、つい忘れがちです。

主治医は、APDの社会的認知の低さが、当事者の困り感を強めると考えられており、情報の普及に努めておられます。

私も、このnoteで娘の経験談をお伝えすることで、少ないながらでも、お役に立てたらと考えています。

　ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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