見出し画像

「MLMで30万溶かした話」を掘り下げてみた



結論から言うと、30万はいい勉強代だったと思っている。そうしないとなけなしの30万円をドブに捨てた私が浮かばれない。人生の教訓として、何か「美味しい話」がきたら、とりあえず疑うクセをつけるのは大事だと痛感した。
怪しい話には慎重に対応するに限る。

一応、保険をかけておくと、中にはちゃんとビジネスとしてやっている人もいるし、そのようなビジネスを全て否定する訳ではない。という前置きをしておく。

さて、これは2018年頃の話。当時、私は仕事を辞めたばかりで、しばしの無職期間を楽しんでいた。何も考えずダラダラ過ごしていたある日、行きつけの美容室で担当のお姉さんから「すっごくいいビジネスがあるの!投資とか不労所得って興味ない?」と軽い感じで誘われた。お姉さんとは信頼関係もあったし、「怪しい商売に引っかかる人には見えないしな」と油断したのが全ての始まりだった。

MLMとマルチ商法の違いをザックリ説明


MLM(マルチ・レベル・マーケティング)は「連鎖販売取引」とも言われ、商品やサービスを販売しつつ新たな販売者を勧誘して組織を作り、組織の売上に応じて報酬を得る仕組み。一方、マルチ商法はこのMLMの中でも違法な形態を指す。要は、「違法か合法か」の差。ちなみに今回の件は合法っぽいけど、限りなく黒に近いグレーだった。

ホイホイ誘われてしまった日


美容室のお姉さんに誘われて、某ファミレスへ行くと、知らない中年の男女二人が待っていた。「夫婦でも恋人でもなくビジネスパートナー」との説明だったけど、どう見ても色んな意味で怪しい雰囲気を醸し出している。早速iPadを取り出し、「投資をしないと人生損している!」みたいなビデオを見せられた。その勢いに押されて話を聞き続けた結果、妙に説得力があるように感じたのが不思議だ。いや、怪しいの気付けよ!!と今ならツッコむけどね。
もちろん割り勘。そんなに稼いでんなら奢ってくれてもいいじゃん…と若干思ったが、確か奢りはルール的にNGだったような。詳しくないからなんともなんだけど。

そのビジネスモデルを簡単に説明すると、Amazonや楽天みたいなプラットフォームを通して商品を購入し、購入金額に応じて「PV(ポイントみたいなもの)」が貯まる仕組み。毎月一定のPVを達成しないと報酬がもらえない。さらに、自分の下に「ダウン」と呼ばれる人をつければつけるほど稼げる構造だとか。

具体的には、1人で3名義を作り、1つは自分がアップとして残り2つをそのダウンにする「小さな三角」を作る。さらに他の人をダウンにつけるなら、三角の両端。小さい三角がいくつも続いていく感じ。
1名義あたり1~2万円の出費が必要で、最低でも毎月3万円かかる上、売っている商品がこれまた微妙。ゲルマニウムブレスレット、昭和ネーミングの美容液「美女の泉(仮)」、薬事法とかに引っかかりそうな怪しい奇跡の水など、ぶっちゃけ欲しいものはゼロだった。

でも「ノルマ達成」のために買わざるを得ず、結局「美女の泉(仮)」を3か月分×3名義分ストックする羽目に。結局、祖母に押し付けたけど使っているかどうかは不明だ。

MLMer(?)たちの世界


その後、MLMの洗礼を受けるイベントが次々と待っていた。まずは貸会議室でのセミナー。伝説の「アップ」と呼ばれる謎のおじさんが登場し、1時間近く成功談を語る。「アップってこんなもんか?」と疑問を抱きつつも、場の空気的に拍手を送らざるを得なかった。
思い出してみても、すんごい異様な雰囲気だった。謎のおじさんのドヤ顔をヨイショしなきゃいけないなんて普通ないだろう。みんな、普通じゃなかった。
やはり毎月の出費くらいは元をとりたいもんね。そりゃ必死ですわ。

さらに舞浜の大きな会場で行われたコンベンションにも参加。バブルの頃流行ったらしい歌手のミニコンサートもあってなかなか儲かってるねって感じだった。よくMLMにはあるだろう「ダイヤモンド」とか「エメラルド」とかのランクで表彰される場面に遭遇し、あまりにも胡散臭い感じがビシビシ来て私の中の警戒心がMAXに。隣にいた美容室のお姉さんと、「もし結婚するならこんなことしてる人じゃなくて真っ当な人がいいよね」と密かに意見を一致させた瞬間だった。

合計30万円溶かした結果


商品購入やセミナー参加費、交通費などを含めると、約30万円を溶かした計算になる。今思えば、MLMにハマってしまうのは「この人を信用できる」と思わせる演出が絶妙だったからだと思う。

とはいえ、私は幸いにも友人や家族に勧める勇気がなく、誰にも声をかけずにフェードアウトできた。
夫(当時は彼氏)に話したら間違いなく怒られただろう。実際、夫はMLMを蛇蝎のごとく嫌っている。大学時代の親友が某MLMで仲間の関係を引っ掻き回した挙句バラバラに壊し、最終的に行方不明になったトラウマがあるらしい。
最近、その親友であろう情報商材屋のXアカウントを見つけて監視しているのが怖いけど。
まあでも面白いから私も夫から報告を聞くのを密かに楽しみにしている。
私にもそういう友人がいるので似た者夫婦かもしれない。

まとめ


MLMに引っかかった話を振り返ると、良い経験だったと笑えるようになったのは時間のおかげ。
私の所属していたチームは総勢60人くらいいたかな。私は末端。チームトップリーダーの人のタイトル獲得ために毎月ダウンを作ろう!って躍起になったり、ちょくちょく某ファミレスで集まったりして「権利収入」「不労所得」とか言ってるけど、ダウンを獲得するまでの労力半端なくね?って思ったりなど。
当時はZoomとかのオンライン会議とかもそこまでメジャーじゃなかったからな。
それから販売者の方もセンスねーのばっかりだったけどさ、海外のすっごいセンスいい雑貨やコスメとかを買い付けて販売できるような凄腕バイヤーがいたら、若い会員をつけられたかもしれないな、とか。
まあビジネスモデルが明確じゃなかったのも敗因なんじゃね?問い合わせはチームリーダーを通さないといけなかったしマジ謎。
2024現在、まだ会社自体はあるようだ。
60人ほどいた私の所属チームは辛うじてLINEグループが残っているが、稼働せず知らぬうちに「〇〇が退出しました」とほとんどのメンバーがいなくなっている。トップメンバー達はさっさと見切りをつけてどっかに行ったようだ。
あの偉そうなアップのおっさんもグループLINE上に現れなくなって久しい。

結局、世の中にそんなに美味しい話は転がっていない。もし過去の自分に言えるなら、「とりあえず怪しい話は断っとけ!」とアドバイスするだろう。とはいえ、今ではこの経験が「怪しい話回避スキル」になっていると思えば、まあプラスだったかな、と思っている。
とか言ってみたが、その30万をS&P500に一括投資できていたら……と考えると今でも床を転げ回るほど悔しい。

あとね、そういうのにハマる人って、それだけにハマるんじゃなくていくつもかけ持ちしたり渡り歩いたりしているんだな、私の経験上。

今回のMLMで知り合った人は、手を引いたあと医療系のもっとディープなやつ(MLMではなく未公開株がどうのってやつ)にかなり投資したようだし。
医療系のやつは被害者の会もあるようだ。たまに更新されてる体験談を読むとゾッとするしトップは逮捕されたみたいだけど、被害者の方は本当にお気の毒。
その人は今どうなっているかわからない。

件の美容室のお姉さんは美容師をやりながらまた違うMLMをやっている。私はその後引っ越してに地元を離れたので交流は無いが、インスタを見る限りアロマオイルをガブガブ飲んでいるので将来は腎臓や肝臓のダメージが出ないか心配している。

まあそんな感じでうろ覚えだったりそもそもそのようなビジネスをいまいち理解できぬままだったため曖昧なところも多いが私の体験談とする。
読んでくれてありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!