利益追求型マーケティングは詐欺の影~詐欺師はマーケティングの天才
儲けだけを考えたマーケティングは詐欺と変わらない
詐欺とマーケティングの境界は曖昧であり、違法と適法の判断は難しい。しかし、信頼性を見極め、慎重に行動することで、被害を最小限に抑えることが可能。詐欺の陰に潜むマーケティング技術に警戒しよう。[中村文昭]
中村文昭さんのnoteを読んでいろいろ考えさせられた。
「お得な情報」と称して送られてくるメールや、街角で配られるチラシには、いつも少しだけ不信感を抱く。もちろん、自分はお得なものに目がないけど、どうも裏がありそうで、簡単には飛びつけない。詐欺とマーケティング、その境界線はまるで蜃気楼のように揺らいでいる。違法と適法の違いは法律で定められているものの、実際にはその境界はとても曖昧で、時には同じ行為がどちらにも該当しうる。
例えば、かつて大流行した「クレジットカードのキャッシュバックキャンペーン」を思い出してほしい。利用額の一部が後日還元されるという触れ込みだったが、実際には還元率が低く、さらに利用条件が厳しかったため、多くの消費者は期待したほどの恩恵を受けられなかった。これは詐欺ではないが、ある種の「誤解を招くマーケティング」だと言えるだろう。
その一方で、詐欺の陰にはしばしば巧妙なマーケティング技術が潜んでいる。例えば、SNSでよく見かける「無料で商品を試せる!」という広告。リンクをクリックすると、個人情報を入力させられ、その後高額な定期購入契約に知らずに同意させられることが多い。これも一見、合法的なマーケティング手法に見えるが、その実態は消費者を欺く罠である。
では、どうやって信頼性を見極め、被害を最小限に抑えることができるのか?まず第一に、過度においしい話には警戒心を持つこと。もし何かが「無料」や「大幅割引」を謳っているなら、その裏に何かがあると疑うのが賢明だ。そして、企業の信頼性を確認するために、口コミや評判を調べることが大切だ。インターネット上には多くのレビューサイトやフォーラムが存在し、そこで実際の利用者の意見を参考にすることができる。
また、自分自身の直感も大事にしよう。何かおかしいと感じたら、一旦立ち止まって再考する勇気を持つこと。マーケティングの巧妙さに惑わされず、冷静な判断を下すことが求められる。
詐欺とマーケティング、その境界は曖昧であるが、賢い消費者でいることが被害を最小限に抑える鍵となる。常に警戒心を持ち、情報を精査し、冷静な判断を下すことが、現代社会を生き抜くための重要なスキルだ。
note記事のポイント
『天才詐欺師のマーケティング心理技術』(ダン・S・ケネディ著)は、詐欺師の視点からマーケティングの秘訣を探る一冊。
この本には「他人が求めるものを得る手助けをすれば、手に入らないものなどない」という言葉があり、顧客のニーズやウォンツを満たすために全力を尽くすことが成功の鍵であると述べられている。
ニーズ(生理的欲求、安全欲求、社会的欲求)とウォンツ(承認欲求、自己実現欲求)を徹底的に理解し、それを叶えるためにあらゆる手を尽くすことが、ビジネスでの成功に直結するという著者の主張は、マーケティングの本質を突いていると言えよう。
詐欺とマーケティングの違いは「良心」にあるとされるが、現実にはその境界は曖昧。宣伝文句と結果が一致しない場合、法的に詐欺とみなされることがあるが、実際には故意を証明するのは難しく、詐欺罪の起訴率や検挙率が低いことからも分かるように、グレーゾーンのマーケティングは今も存在している。
消費者としては、詐欺に巻き込まれないために相手の言動や評判を注意深く見ることが大切。この本を通じて、マーケティングの裏側にある心理技術を学ぶことで、より賢い消費者になることができるだろう。