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手作り観光列車に、溢れる「地元愛」を見る
【サイコロきっぷ✕北陸✕私②の続き
ホンネは大野にもっと滞在したかったけれど、今日中に金沢へ到達するという、どこかのTV番組のようなミッションをクリアすべく、大野をあとに。
福井駅から再び各停に揺られ、加賀温泉のさらに先の金沢駅まで歩みを進めます。すべては能登半島を走る観光列車に乗るために・・・
❚ 大野から金沢まで一気にワープ
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15時台の大野発・福井方面の列車は08分しかなく、その次は2時間待ちになるので、やむなく路線バスで移動。雪が残ってるけど運行状況は大丈夫か?と少し不安。そんな気持ちをよそに、バスはほぼ時間どおり停留所にやってきます。
@ 路線バスで福井駅へ
車窓からは色んな風景が目に飛び込んできます。人の動きが活発であろう場所は除雪が整い、車の運転も何ら問題なさそうです。
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が、一瞬気を抜くと思わず二度見しそうな、とんでもない光景に遭遇します。
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『いったいどこに連れていかれるんやろ?』
みたいな光景です。でも大丈夫ですよ、ちゃんと福井駅方面に向かってますから。👍
道中では、あるバス停でドカッと乗っては、いくつか先でドカッと降りる光景を何度か見かけました。小学生から中・高生、シニアまで、地域の日常の足として路線バスは欠かせないんだろうなぁ・・・。
1時間ほどで福井駅に到着。積雪なのにほぼ定刻で運行とは、恐るべし!雪国の運転手さんはさすがです。👨✈️
列車に乗る前の30分足らずの間に、エキナカスーパーでサクッと買物を済ませ、17時すぎ発の金沢行き各駅停車で90分ほど揺られます。
@ ウチとソトの調整が難しい
しとしと降る雨が体を冷やす屋外とは違って、雪国の車内や室内は断熱性がめちゃ高いので、着ぶくれですっかり汗ばみました。その上、金沢駅西口からホテルまで歩いたので、もう蒸し饅頭状態!
たまらず、途中のコンビニで「金沢百万石ビール」を買ってチェックイン。ペールエールはホップの香りの主張がはっきりしてて、美味かったー。🍺
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❚ デジタル&アナログのあわせ技
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前日、ロビーに宿泊客がたくさんいたので、翌朝は6時すぎに起きて早めの朝食を済ませ、7時すぎにチェックアウト。金沢入りの時点で、サイコロきっぷの効力が一度切れるので、加賀温泉より東は「北陸おでかけ tabiwa パス」で移動です!
@ 北陸おでかけ tabiwa パス
土日祝限定のデジタルチケット。大人は1日2,450円で、福井・石川・富山・新潟のJR線(一部長野も)と私鉄の一部区間まで乗れます!基本は普通列車ですが、指定席特急券を追加すれば、「花嫁のれん」や「べるもんた」にも乗れる、使い勝手のいい味方です!
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@ ○○年ぶりの
さて、今日の行き先は「能登半島」です。大学の時、サークル合宿で輪島に行ったきりなので、もう○○年ぶり。たしか、朝市を見た気もしますが、ほとんど記憶にありません💦。今回は、のと鉄道の「のと里山里海号」に乗るのが目的です。
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まず、金沢からJR七尾線に乗って七尾まで移動し、のと鉄道に乗り換えます。帰りの特急の都合上、「行き」は普通列車で終点の「穴水」まで行き、「帰り」は里山里海号で戻ります。下図によれば、2005年まで半島の先に蛸島っていう駅があったんや~(駅数がハンパないやん!😲)。
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@ アナログでもお得
七尾駅の降りたホーム脇で、駅員さんが1日フリーきっぷ「つこうてくだしフリーきっぷ」(大人1,000円)を売っています。“つこうて”には、「使って」と「買って」の言葉がかかっていて、“使って/買ってください”という意味だとか。
穴水〜和倉温泉が690円なので、往復するだけで元が取れます👍。裏面は沿線の土産屋、ミュージアム、和菓子屋、飲食店といった施設で、割引や特典が受けられる優待券に。それに気づいたのは、帰りの里山里海号の車中⤵。ホントおっちょこちょいですが、販売時に一言オススメ頂けたら・・・と悔やまれます。😢
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❚ じわじわテンションアップ!
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@ 普通列車でもおもてなし
普通列車にも趣向が凝らされています。下の写真は、2011年に放送された金沢市・湯涌温泉が舞台のアニメ『花咲くいろは』のラッピング列車。七尾線の西岸駅が、いわゆる聖地の1つです。作中の設定が、地域活性化につながった有名なアニメですが、これを語ると膨大な字数になっちゃうので、またの機会に。
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車内では、乗客がヨソモノだった?のを察してか、車掌さんが車窓の景色を解説してくれます。これが通常モード?と思いつつ、チョット得した気分!
そうこうする間に穴水駅に到着。帰りの列車まで約40分あるので、駅前をちょっと散策、駅直結の物産館で買い物をして、さあ出発!
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@ あえて説明はいらないか・・・
のと里山里海号については、多くの方がレポートされているんで、もはや何も足す必要はないんですけどねぇ・・・。「旅色LIKES」のライターなおさん(noteライター名:ミヤコカエデさん)の記事が分かりやすくてオススメです(「花嫁のれん」のレポートまである!!)。
予約席は里山号、オレンジのシートです。ちなみに、里海号のシートはブルー。このシートを見て、非日常感が一気にアップしてきました!
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能登の伝統工芸品、田鶴浜建具の組子細工に、輪島塗のパネルが合わさった間仕切りがここかしこに。
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❚ コスパはかなり高い
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@ バスガイドさんのような
列車が動き出すと、アテンダントさんの解説が始まります。よどみなく語る様子は昔のバスガイドさんのようで、ある種の懐かしささえ感じます。
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里山里海号は停車しませんが、1つ目の能登鹿島駅にはソメイヨシノの桜並木があって、春には列車が桜のトンネルを通る幻想的な雰囲気を味わえるそう。満開時にもう一度行ってみたい!
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穏やかな海、低い雲、黒い屋根瓦。瓦は「能登瓦」と呼ばれ、素焼きと釉薬かけ(ドブづけ)の2度焼きだそう。釉薬で表面をなめらかにし、屋根から雪を落としやすくするという暮らしの知恵です。
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@ 最もレア度が高いポイント
唯一、途中停車のある能登中島駅に来ました。この旅最大のレア度といっていい「鉄道郵便車 オユ10」の見学です!ただし、停車時間は10分。サッサと見てくるしかない・・・🙁
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現在、オユ10の車両は全国にここと郵政大学校(東京都国立市)の2両を残すだけ!いかにレアであるかご理解いただけたでしょうか?2013年に塗装をしたそうですが、10年経つとさすがに傷みも目立ってますね。
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@ そこに○○はあるんか?
こんなローカル線の旅が、通常の運賃に500円追加するだけで味わえるなんて、まさに「アンビリーバボー」です。「ななつ星」のような、今話題の豪華な新造車両にハイクラスなサービスを提供する旅は、ビジネスとして見事です。ただ、採算性以上に地域のファンを一人でも増やしたい、という熱い思いがひしひしと伝わる「手作りの旅」は、地域の暮らしや人情に触れられ、来訪者が地域に共感を持つきっかけを提供してくれます。
コロナ禍をきっかけに、全国各地でローカル線存廃の議論が、再び注目されています。かつてのにぎわいを取り戻すのが困難な路線も、少なくありません。ただ「昔からあった」という、ノスタルジックな理由で存続できるほど、鉄道会社に余裕がないことも事実です。
だとすれば、これからは新たなアプローチを模索し、現状を打開しようとする地域側の覚悟も必要になってくるんじゃないか、と感じます。きっと、ヒントはどこかに隠れているはずです。
のと里山里海号の旅をざっと振り返りましたが、アテンダントのガイドをはじめ、地域の方々や鉄道を愛する方々の応援など、さまざまな愛があちこちに満ち溢れていました。乗客をもてなすみなさんのひたむきな姿を見ながら、「そこに(地域への)愛はあるんか?」と問いかけられている気がしました・・・(了)