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【1-4(1)】 人体の方向と区分 解説
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【1-4 人体の区分と方向】
■ 第1章 人体の構成 資料配付ページ
■【1-4(1)】人体の区分と方向 解説(このページ)
■【1-4(2)】人体の区分と方向 一問一答・国試過去問演習
→ 【2-1 血管系概論】
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− 学習のポイント −
1. 人体の区分
頭部、頸部、胸部、腹部、骨盤部、上肢、下肢
2. 人体の切断面と方向
切断面(矢状面、前頭面、水平面)
方向(内側と外側、浅と深、前と後、上と下、近位と遠位)
■ 1. 人体の区分
身体は体幹と体肢からなります。体幹は頭部、頸部、胸部、腹部、骨盤部に分けられます。頸部の後面を項部(こうぶ)といい、胸部・腹部の後面全体を背部といいます。背部のうち、特に腹部の後面を腰部といいます。
試験ではよく境界線が出題されます。
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頭と頸:下顎骨の下縁 – 乳様突起 – 外後頭隆起
頸と胸:胸骨上縁 (頸切痕) – 鎖骨 – 肩峰 – 第7頸椎 棘突起
胸と腹:胸骨下端 (剣状突起) – 肋骨弓 – 第12胸椎 棘突起
上肢と体幹:三角筋前縁 – 腋窩の頂点 – 三角筋後縁
下肢と体幹:鼠径溝 – 上前腸骨棘 – 腸骨稜 – 尾骨 – 殿裂 – 陰部大腿溝
▶ 参考)人体の部位名(詳細)
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頭部はさらに頭蓋と顔に分かれ、前者は頭頂部、前頭部、後頭部、側頭部、耳介部、乳突部の各部に分かれます。
顔は、眼窩部、眼窩下部、鼻部、口部、頬部、頬骨部、耳下腺咬筋部、オトガイ部などに分かれます。
頸は、大きく前頸部、側頸部、後頸部に分かれ、前頸部はさらにオトガイ下部、顎下三角、舌骨部、喉頭部、頸動脈三角、甲状腺部に分かれます。側頸部は胸鎖乳突筋部、大鎖骨上窩、小鎖骨上窩、側頸三角に分かれます。後頸部の正中部は項部といわれます。
体幹は、胸部と腹部と背部に分かれ、胸部は前胸部と側胸部に分かれます。前胸部はさらに胸骨部、鎖骨部、鎖骨下部、乳房部、乳房下部に分かれます。側胸部は腋窩部、狭義の側胸部に分けられます。
腹部は、上腹部、中腹部、下腹部よりなります。上腹部は肋骨下部、上胃部からなり、中腹部は側腹部と臍部からなり、下腹部は鼠径部と恥骨部よりなります。
背部は脊柱部、肩甲部、肩甲間部、肩甲上部、肩甲下部、腰部、仙骨部よりなります。
上肢は近位より肩峰部、三角筋部、上腕部、肘部、前腕部、手部に分けられます。
下肢は,近位より寛骨部,殿部,大腿部,膝部,下腿部,足部に分けられます。 会陰部は肛門部,会陰部(狭義) ,尿生殖部,外陰部に分けられます。
※ この分類はいきなり全部覚えようとしなくても大丈夫です。解剖学学習を続けているうちに、自然と頭に入ってきます。
■2. 人体の切断面と方向(位置関係)
▶ 切断面
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矢状面、前頭面、水平面は互いに直交します。
・矢状面:身体を正面から射ぬくように前後軸を含む面。左右軸に対して垂直。無数にある。
- 正中面:矢状面のうち、身体の左右中央を通る面。
・前頭面(前額面):額に対して平行な面。前後軸に対して垂直。無数にある。
・水平面:立位にて地表に対して水平な面。上下軸に対して垂直。無数にある。
▶ 人体の方向
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人体の方向を示す用語についてです。
内側(正中面に近いもの) / 外側(正中面から遠いもの)
深(体表より体部の中心に近いもの / 浅(体表に近いもの)
前(直立した状態で身体の前面に近いもの・体幹部では腹側)/ 後(直立した状態で身体の後面に近いもの・体幹部では背側)
上(直立位のとき頭部に近いもの・頭側)/下(直立位のとき足に近いもの・尾側)
近位(体肢にて体幹に近い方) / 遠位(体肢にて体幹から遠ざかる方)
■ 体各部の形態に関する一般用語
体:器官の主部をいう。胃体、大腿骨体など
頭:器官の円く肥厚した部分。大腿骨頭、膵頭など
頸:頭の直下でくびれたところ。大腿骨頸、子宮頸など
尖:器官の尖端部、肺尖、膝蓋骨尖など
底:形態的になめらかな弯曲面をもつところ。子宮底、頭蓋底など
面:器官の表面。肩甲骨の肋骨面、肺の横隔面など
縁:2面が交わってできる線。眼窩上縁、脛骨前縁など
壁:空洞の内面。眼窩の外側壁、下壁など
葉:割合はっきりした切れ目によって大きく区分された器官の部分。肺の上・中・下葉、肝臓の左葉、右葉など
門:実質器官において神経、血管、導管などがまとまって出入するところ。肺門、肝門、腎門など
突起:骨などの表面から突出しているもの。肩甲骨の烏口突起、側頭骨の茎状突起など
顆:骨で突起の尖端が肥厚しているもの。大腿骨の内側顆、外側顆、後頭骨の後頭顆など
結節:骨などのはっきりとした高まり。上腕骨の大結節、小結節など
粗面:骨における筋の付着の場所で、ざらざらした面。線状をなす場合は粗線という。大腿骨の殿筋粗面、下顎骨の咬筋粗面など
棘:比較的とがった尖端をもつ小さな突起。寛骨の坐骨棘、上前腸骨棘など
稜:隆起が長くつづいたもの。寛骨の腸骨稜、仙骨の正中仙骨稜など
ヒダ:膜が表面から隆起してヒダ状になっているもの。小腸内面の輪状ヒダ、結腸の半月ヒダなど
乳頭:乳頭状に突出している部。舌乳頭、大十二指腸乳頭など
窩:表面から陥凹しているところ。腋窩。眼窩など
切痕:骨や器官の縁にある切れこみ。寛骨の大坐骨切痕、胃の角切痕など
裂孔:細く深い裂け目になっているところ。横隔膜の大動脈裂孔、食道裂孔など
溝:裂よりも太く浅いみぞ。大脳溝、心臓の冠状溝など
孔:小さいあな。椎骨の椎孔、網嚢の入口である網嚢孔など
管:孔の長くなったもの。鼠径管、鼻涙管など
洞:比較的広い腔所。上顎洞、硬膜静脈洞など
腔:体内の比較的広い腔所。胸腔、頭蓋腔など
前庭:何らかの器官の手前にある平坦な部分。口腔前庭、膣前庭など
線:周囲よりはっきりと細い線状に区別されるところ。白線、寛骨の前殿筋線など
弓:弓状に走る骨または器官。歯列弓、大動脈弓など
枝:脈管、神経の枝、骨体より分かれ出た部分。肋間神経前皮枝、冠状動脈の前室間枝、寛骨の恥骨枝など
叢:血管、神経などが複雑に錯綜して立体的な網をつくったもの。直腸静脈叢、腹腔神経叢など
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