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【3-4 (1)】呼吸器系 - 肺 解説

↑ 解剖学マガジン記事一覧(目次)

【3-4 呼吸器系 - 肺】
第3章 呼吸器系 資料配付ページ(プリント・スライド)
【3-4(1)】肺 解説(このページ)
【3-4(2)】肺 一問一答
【3-4(3)】肺 国試過去問

【4-1 消化器系 - 口腔・咽頭・食道】

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▶ 体表から見た肺の位置

呼吸器系-32-体表から見た肺の位置-図C

肺は円錐を縦に割ったような半円錐形
肺尖:肺上部の尖った部分。鎖骨の上方2〜3cmに達する
肺底:下面の広い部分。横隔膜に接する
内側面肺門があり気管支、肺動脈、肺静脈が出入りする。
外側面:肋骨に面する。肋骨面ともいう。

■ 1. 肺葉

呼吸器系-34-肺の解剖学-SQ図c2

💡肺のポイント💡
・肺葉の数は左二右三
・斜裂は両肺、水平裂は右肺のみ
・心圧痕は両肺、 心切痕は左肺のみ

まずは上記のポイントをしっかり抑えてください。

あとは、たまに左右の肺が接するものが出題されることがあります。上大静脈や下大静脈、奇静脈がつくる溝は右肺にあります。大動脈弓から胸大動脈がつくる溝は左肺にあります。

■ 2. 肺区域

呼吸器系-34-肺区域-SQ-図c

・区域気管支が支配する肺領域を肺区域といいます。
・肺区域は左肺が9区域7が無い)、右肺が10区域に分かれます。

■ 3. 肺胞

呼吸器系-34-肺胞の構造-SQ図c

・肺胞の壁は極めて薄く、隣り合ったものどうし共有し肺胞中隔と呼ばれます。
・肺胞壁は単層扁平上皮I型肺胞上皮細胞が主体となっている。
・大型で厚みのあるII型肺胞上皮細胞は表面活性剤(サーファクタント)を分泌します。

▶ 肺におけるガス交換(血液空気関門)

呼吸器系-32-肺胞におけるガス交換-SQ-図c

肺胞でのガス交換は、肺胞上皮細胞基底膜血管内皮細胞の3層を通り抜けて行われます。(血液空気関門
・ガス交換を終えて、酸素をたっぷり含んだ動脈血は肺静脈より左心房へ還って行きます。

■ 4. 胸膜

呼吸器系-34-臓側胸膜と壁側胸膜-SQ-図c

・肺は胸膜臓側胸膜)で覆われ、肺門部で折れ返り壁側胸膜に移行します。
・壁側胸膜と臓側胸膜の間を胸膜腔といい、少量の漿液で満たされます。

💡肺門部で折れ返らないと管が出入り出来ません💡

▶ 胸膜と陰圧の関係

・臓側胸膜と壁側胸膜の間は水(漿液)による表面張力が働いています。肺は弾性線維の作用により、縮もうとする力が働いていますが、この表面張力の作用により縮まずに胸膜に張り付いて膨らんだままでいられます。この時に、肺の縮もうとする力に拮抗するだけの「陰圧」が働いています。

・吸気時に胸腔が広がる事により、胸膜も広がります。それにともない肺も広がり吸気が起こります。面積が広がり肺が引き伸ばされた分、さらに「陰圧」となっています。

※この隣り合うもの同士をくっつける作用がある水の表面張力は、肺胞内部で働いてしまうと、肺胞壁がくっついて広がらなくなってしまいます。これを防止するのがII型肺胞上皮細胞が分泌する「サーファクタント」です。

▶気胸

呼吸器系-34-気胸-SQ-図c

・胸膜(臓側胸膜あるいは壁側胸膜)に穴が空いてしまうと、胸膜腔に空気が入りこんだ状態を気胸といいます。
・陰圧が失われ、肺は小さくしぼんでしまいます。

■ 呼吸運動

呼吸器系-34-呼吸運動-SQ-図c

■ スパイロメーター(肺機能検査)

呼吸器系-34-スパイロメーター-SQ-図c

%肺活量:年齢、性別などから算出された予測肺活量に対する実測肺活量の割合(80%以上が基準値)拘束性肺疾患で低下します。(肺が伸展しにくくなるから)
努力性肺活量:肺活量はゆっくりと最後まで吐ききったところから(最大呼気位)から、吸えるだけ吸い込んだところ(最大吸気位)までを測定するのに対し、努力肺活量は吸えるだけ吸い込んだところから、「出来るだけ速く」息を吐いて測定します。息の吐きにくさを知る事ができます。
1秒量(FEV1):努力性肺活量のうち、最初の1秒間に吐く事のできた空気量。
1秒率(FEV1%):努力性肺活量に対する1秒量の割合。70%以上が正常。COPDや喘息などの閉塞性換気障害で低下します。(うまく息を出せないから)

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