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思い出| 不審者、実家に襲来

小学生の頃、実家に不審者が襲撃にくるというわりとホラー体験をした。

事件はある日の夜に起こった。平日か休日かはもう忘れてしまった。薄着だった気がするから春か夏のことだったと思う。
父、母、私の家族3人で夜ご飯を食べ終え、リビングでのんびりテレビを観ていたところ、突然玄関の方からドンドンという音がした。

最初は気のせいかと思ったら、ドアを叩く音が再度聞こえてきて、誰かが外から何かをしていることが判明した。
突然すぎる事態に家族全員に緊張感が高まる中、父が玄関の方を見やると何者かが外からドアを蹴ったり、ドアノブをガチャガチャ押し引きしたりしていたらしい。大きな音に母は怯え、父は木刀を持ってきて構えていた。あまりにも衝撃的だったので、この場面の映像と音は10年以上経った今も私の脳内に刻まれている。

それで、母が慌てて警察に通報の電話をかけると、今度はガシャーンという音が聞こえてきた。その後何が起こったのか、何を聞いたのか、私は部屋の隅っこで丸まって泣いていたから覚えていない。覚えているのは、私も殺されるんじゃないかという恐怖心だ。
「私も」というのは、世田谷一家殺害事件のことを覚えていて、自分も同じ境遇になる気がしたからだ。父は弁護士ではないが、法廷に出る仕事だったので、世田谷事件は他人事とは思えなかった。


だいぶ経ってから警察が来た。恐る恐る外を見たら、煉瓦造りの塀の一部が砕け、パンジーか何かを植えたプランターが投げ捨てられたかのように地面に散らばっていた。近所の人たちは、何が起こったのかと少し距離を取って見物しに来ていた。
警察は犯人と遭わなかったとのことで、破壊工作をした後直ぐに逃げていったらしい。

警察が来たあと、今度は祖母が車で駆けつけてくれて、私は祖父母宅に送り届けられた。そして父と母とは別れて、祖父母とせんべい布団で寝た。事件の翌日からは、通学中に誘拐される危険があったので、しばらく祖母の運転する車で登下校した。

数日経って、母からそろそろ家に帰っておいでと言われたから、祖母に送ってもらって帰宅した。翌日からは特に何も起きず、日常が戻ってきた。

その後犯人がどうなったのかよく知らないが、父は「警察に注意してもらった」と言っていた気がする。多分逮捕はされていない。


私はしょっちゅう夢を見る体質で、不審者が家を襲撃しに来るという内容の悪夢をよく見る。なんでだろうと思っていたけど、ひょっとしたら昔の思い出のフラッシュバックなのかなぁ…


おしまい。






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