今日あった嬉しいこと
今日は2ヶ月間展示していた、窓の絵の消し作業がありました。先日信濃毎日新聞に掲載して頂いたことで、通りがかる方に声を掛けて頂いたり、久しぶりにお会いする方にも「頑張ってね!」と言ってもらえたり。ヘアサロンのスタッフさん達もお礼を言いに来て下さったり。こちらこそです☺️
そんな中で起きた嬉しかった出来事。地図を持った女性が作業を見ていてくれて、こんにちはと声を掛けてみました。彼女は学生さんで今は新しいお部屋探しの最中でした。
「消しちゃうんですか…?実はインスタ見てて!何から話そう…!」と、そこから色んな話をしてくれました。
実は私を知ってくれたのは今年の4月の事で、長野市役所横にあるカフェ「North South East West」の窓に絵を描いた時でした。元々先輩におすすめされていたカフェで、いつか行ってみたいと思っていた中、私の絵が描かれているのを見てそれをきっかけに、初めてお店に入ったそうです。
絵の意味が気になって、noteのデザインに込めた想いなどの記事も読んでくれていて、
「ネモフィラというお花も初めて知って、お店にも絵がきっかけで入れて、絵が仲介になるんだなっていうのも気づきでした!今日会えて嬉しかったです!」
そんな温かい言葉を頂きました。
「ひとやすみ出来る場所は増えましたか?」と聞いたら一瞬驚いた顔をして、すぐに素敵な笑顔で「はい!!」と答えてくれました。
窓の絵は正直めちゃくちゃ手間もかかるし、絵の具も使います。描いて終わりではなく消し作業もあって、窓の大きさや絵にもよるけれど、描くのに3時間〜5時間、消すのに同じ位か少し短いくらい。(前はもっとかかりました)絵のデザインも基本おまかせして貰えてますが、やっぱり大切なお店に描くから、事前に店舗の周りを調べて、デザインのヒアリングや提案もします。
稼働時間や交通費と材料費などが掛かって、でも2.3ヶ月で消してしまう絵だから、店舗さんにとっては決して安くないお値段だと思います。そのお店を知っているからこそ私も頭の中で「これはコーヒー何杯分か…。」とか「何人分のヘアメニューだろうか…。」と考えてたりします。私の絵が数ヶ月描いてあることで、どれくらいの集客が見込めるか考えてみたりもします。心苦しいけれど、「永松杏夕実の絵があるから行こう」というのは現状、多くはないはずです。
だから私が出来る事としたら、そのお店が好きな人たちにもっと喜んでもらう事だったり、小さなきっかけになって後押しする事、今まで意識していなかった人達の目に留まってもらうこと、道行く街の人たちの日常にパッと色を添えること、
そしてお店で働く人たちが、新鮮な気持ちでもっとその場所を好きになって、絵を消した時には、絵の無い日常もやっぱり良いなと思ってもらうこと。
私は絵本作家を目指していますが、窓の絵を描くのも大好きです。
それは内と外を隔てる一枚の窓ガラスに描いた絵が、街や人の繋がりを生んでくれるのが好きだからです。そして消えてしまう絵だからこそ今にフォーカスしようと思わせてくれたり。
今日改めて気づいたこともあります。
人は目の前の日常が当たり前になってしまって、どこまでも続くと思ってしまうことが多い。それがどれだけ素敵なことなのか、最初の幸福感を忘れてしまう。でも旅行やご馳走と一緒で、日常の中に適度に非日常を混ぜることで新鮮さを改めて感じ、そこから日常に戻った時に前まで当たり前だったことが、どれだけ幸せだったかを再確認する。
窓の絵もきっと同じような感じかなと思ってみたりしました。
非日常の光景だからこそ、誰かのきっかけになったり。部屋の換気をするように、誰かの心へ新しい風を吹き込んだり。元に戻った時に少しの寂しさと一緒に、懐かしさや安心感を思い出させてくれる。
そしてもっと、いつもの道や店、いつもの街や人を好きになる。
頑張りすぎちゃう人や、休むのが下手くそな人たちが、少しでもひとやすみするきっかけになってくれたら嬉しいな。
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