脆弱さ対策としてのルール逸脱
「ステライルコクピット」を知っているだろうか。
《sterileは無菌の、の意》航空機が高度約3000メートル以下を飛行する間、客室乗務員からコックピット(操縦室)への連絡を原則として禁止すること。事故の多発する低空域での操縦に集中できるようにするため。
このコトバンクの定義は正しいが、私の日々の実感ではコクピットにいる2名のパイロットが運航に無関係なことをしゃべらないことが、現代のステライルコクピットの理解のされ方だと感じる。つまり、ある高度までは、飛行機を運航するために必要なスタンダードコールのみ発話し、余計なことはしゃべらない。
血の教訓
実際にどうかという話はあとでするとして、このアイディアは(他のどの航空ルールと同じく)過去の血の教訓により発明された。車の運転中に携帯電話で話をしてはいけないように、大事な時にどうでもいいことをしたり、見たり、話したりしていると、とんでもない事故につながることがあるよということだ。
至極当たり前に聞こえるが、あえてルールとして設定しなければならないほど、人間はすぐにその注意の対象を移してしまうものだ。今回は、一見この非の打ち所がない考えを、あえて批判的に論じてみよう。このルールを100%守ることは、本当に正しいことだろうか。
ステライルの意味
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