「脳の右側で描け」絵が上手くなるワークショップの驚き体験
あーなんだです。
20年以上前の話ですが、絵が上手くなりたいと思って、「脳の右側で描け」という本の内容を数日間かけて行うワークショップに参加したことがあります。
(調べてみたら5日間でした。日数は覚えていなかったのですが意外に長かった。今もワークショップは行われているようです。)
この「脳の右側で描け」でやろうとしていることを一言で言うと…
記憶や分析で絵を描くのではなく、今見えているままを描けるようにモードを切り替える
になると思います(あくまで個人的な考えです)。
人間は、自分で思う以上に、目の前のモノを見ることができていません。
例えば、リンゴのデッサンをしようとした時、目の前のリンゴは確かに目では見ている。
しかし、実際に起こっているのは、
昔食べたリンゴやお店で見たリンゴの記憶から描こうとする
「りんごと言えば、丸くて赤くて…」みたいな記号化された概念から描こうとする
そんなケースがとても多いのです。
結果、残念な絵が描きあがってしまうわけです。
「脳の右側で描け」のワークショップで体験できるワークを体験すると、そんな残念な絵を描いてしまうモードが切り替わり、
↓のような変化が描く絵に起こります。
(左がBeforeで、右がAfter)
著者のベティ・エドワーズさんは、右脳・左脳の機能の違いで、描く絵の変化のメカニズムを説明しています。
右脳・左脳という設定を用いた説明はともかく、ワークを通じて描く絵の質が変わるのは自分でも体験済みの事実です。
「脳の右側で描け」のワークショップで印象に残ったワーク
ワークショップでは何個もワークをやりますが、すごく印象に残ったのが、
「1ミリ1秒」で描くワークと、絵を逆さまにして模写するワーク。
■「1ミリ1秒」ワークのやり方
絵を描く対象だけを見て、1ミリを1秒のペースでものすごくゆっくり描いていくワークです。
描いている手元は見ないで、描く対象をひたすら見て描いていきます。
目的は、記憶や概念、分析で描くのではなく、見えているままを描くモードに移行させることなので、出来上がった絵がブレブレ、ガタガタであったとしても問題はなし。
やっているうちに意識が変わって来るのを実感でき、超集中モード?のようになった記憶があります。
見えていなかった目の前のモノの細部が見えて来て、
絵を描きながらする瞑想のようなワークでした。
■絵を逆さまにして模写するワークのやり方
これも目的は、見えているままを描くモードへの切り替えの体験。
大方の人は、例えば顔の絵を描こうとすると、
「目はこういう形で、まつ毛があって、瞳はこんな感じで…」
と考えたり、記憶を引っ張り出して絵を描こうとしたりしてしまいます。
目の前の対象を見ているはずなのに。
そのやり方を回避して、見えているままを描くためにあえて逆さまにした
絵を模写するのです。
逆さまになると、いつもと違った見え方になり、記憶の再生や分析思考が働きにくくなるため、見たままを描きやすくなる。
やってみると、最初は頭で考えながら描こうとするモードにいるのが自覚できます。
逆さまになっている絵の向きを、本来の向きに変えようとする意識が働くのが分かると思います。
「描きにくい」という感想を持つ人もいるかもしれません。
描くだけなら、写す絵の向きなどどうでもいいはずなのですが、いわゆる「左脳」モード優勢の時はそうもいかないようなのです。おもしろい。
ワークショップ参加者の変化
ワークショップ参加者は、いろいろなワークを通じて、見えたままを捉えて受け入れる観察力が上がります。
その結果、絵が格段に上手くなることになります。
ワークショップ最終日には、自画像を描きましたが、
参加者のほぼ全員が驚くほど上手に描いていました。
ワーク初日の参加者が描く絵は、けっこうひどいものも多く(自分も)、
小学校低学年の子が描いたと言われたら信じられるレベルでした。
しかし、ワークを経て観察力が上がった後の絵は、みな生き生きとした感じのものに変わっていました。
単に写実的ということではなく、何かがそこに宿っているようなリアルさがある絵になっている。
わたしがワークショップ後に描いた自画像も、以前とは全然違うものになっていました。
書籍でワーク体験後の実例は見ていましたが、自分も含めた参加者の絵が変わるのを見て本当に驚き、潜在している可能性を感じました。
最後に
記憶や概念で物事を捉えず、あるがまま見えたままを感じることが大事。
これは普段の生き方や人間関係にそのまま当てはまることのように思います。
過去の記憶や思い込みで自分や人、出来事を見るのではなく、いかに今のあるがままを見ることができるのか?
これが徹底してできたら、コミュニケーション、人生がものすごく変わりそうです。
「どうせ自分はこんな性格だから…」とか、相手のことをよく見もしないで「はい、この人はこんな人」とかいういつもの決めつけを一旦脇に置いてみる。
そして、安易な決めつけや結論付けをスルーして、「1ミリ1秒」で自分のことも相手のこともひたすら見てみたら、一体そこに何が現れてくるのか?
とても楽しみになってきました。
※追補
絵が上手くなりたいと思った理由は、油絵教室に数か月通った際に、
自分だけ異次元の下手さの絵を描いてしまったことだったかもしれません。
基礎も何もないまま教室に行ったので、当然の結果なんですが…。
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