『ヒヤマケンタロウの妊娠』の本音と建前と性と。
男性が妊娠する日本社会を描いた漫画をnetflixオリジナルドラマで見た感想。
「女性が社会進出する事で男性の権利がおざなりになった」という声も最近は多い。彼らは自称・弱者男性と名乗っている。
そんな彼らだが、本当にそうなんだろうか?
何故人間は男性と女性を分けてきたのだろう。
それは【子供を産み、育む】という行いが、【女性のみ】に与えられた行為だからだ。
【性別】は必要か。
ここ数年で大きく社会が変化したと感じる事の一つは「性別」という枠組みではなかろうか。
性別は生まれながらにして決められた。
それは遺伝子に組み込まれていて、それ以上に正しい事は無いと思われている。
隣に医学部があり、そこに出入りしていたのだが、そこで解剖の実験があった。
その解剖の実験で、「男性と女性の耳が同じである」チームと、
「異なる」チームでそれぞれ発表する事になった。
勿論、正解は異なる。
どの部位一つとっても【男性】と【女性】では全く異なるのだ。
しかし今、後天的性別というものがあるのではないかという議論がある。
身体は男性、しかし心情的には女性であると言う。
心と体が乖離しているのだ。
「彼女ら」は心と体を同じものにしたくて、様々な試みを行う事もある。
そして現代では女性として生きている人も少なくない。
また、遺伝的な性別は男性だが、性染色体がXYYのトリソミー症候群、XXYのクラインフェルター症候群は有名だ。
生殖器が不完全発達により、今でも悩みを持つ人も多いと聞く。
詰まる所、【性別】とは遺伝子情報だけでもなく、生殖の問題だけでもない。
それはグラデーションの様に、幅を持ったものであると言うのが、ここ最近の私の解釈だ。
日本社会的な【女性】
先に但書として、広島→岡山→東京にそれぞれ数年ずつ住んでいての感想である。
「女性は子供を産む機械である。」
これは当時の厚労省大臣の言葉だが、その時、やっと女性の言葉がジワリと大きくなった印象がある。
しかし、これは地方では当たり前というか、そうである事が「本人の幸せ」と考えられている。
それはあまりに浸透しているから、未婚者に対して「結婚はまだか。」とせがむ。
まるでそれは合法的に赦された侮蔑だ。
相も変わらず、私の母も彼氏がいない事を茶化す。
私もつい悪乗りする事があるが、実際は別にどうだっていいと思っている。
彼ら、彼女らが幸せである事の方が何よりもの優先事項だ。
しかし、社会はそう思っていない。
未婚者は後ろ指を刺される。
実際には未婚であると人間関係も煮詰まってしまって、仲の良かった友人も所帯を持ってしまい、疎遠になっていく。
話が出来る人は年々減っていき、それでも会話が出来るのは唯一病院の先生くらいだ。
私はそんな事を29歳そこらで経験してしまったから、今までも孤独だったから、今後も孤独であるのだと、時間を消費して忙殺してしまおうという事だった。
話を戻そうね。
社会進出し始めた女性は苦悩した。
自分の女性としての【出産、子育て】を犠牲にして会社に貢献せねばならないのかと。
キャリア組と言われる女性たちの全ての人が仕事と出産を天秤にかけただろう。
出世するためには、自分が家庭を持つ事は出来ないという事実に。
実際には産後バリバリに働く女性も多いが、全てではない。
産後は交通事故を受けた後のような体の負担と、ホルモンバランスの乱れが酷いため、そもそも母子ともに無事だった事だけで御の字なのに、その母親が女性ホルモンにより、筋力の成長が少ない細い腕で、全ての育児も仕事もこなそうというのか?
出産は現代ではかなり安全に出来る様になったとはいえ、母体への負担が大きすぎるため、亡くなってしまう母親は未だにいる。
そんな彼女らに対して、育児と仕事を両立せよという。
あの人は出来たかもしれませんが、私には出来ませんという言葉を会社は聞いてはくれない。
さようなら、キャリア。
泣き寝入りするのが今の状態だ。
そして輪をかけて日本は不況に落ち続けている。
私の世代でも景気の良かった時代を知らないのだから、私より若い世代はずっと不況続きのこの日本では、生きるためには二人馬力ではないといけないと、子供など以ての外だと、そう考えるのだ。
結局、女性も男性も平等だと説きながら、何も変わってない。
未だに妊娠は仕事の足枷で、無計画性を非難するという構図だ。
何も変わってない。
建前は平等だ。
でもこの男性社会で女性の役割を解って行動してるか?
変わってない。
そう思った若者たちは、子供はいらない、そもそも結婚も、彼彼女も、
そうやって未来が塞がっていくのを今、肌で感じている。
男性が妊娠出来る世界なら。
男性が妊娠出来る様になれば、子供の欲しい男性諸君が喜び勇んで子供を作るのだろう。
今までは女性に頼まなければならなかった。
彼女らに全ての負担をかけなければならなかった。
それを自分で行えるのだから。
それと同時にシングルファーザーが大量に出来るだろう。
今の収入ならシングルでも大丈夫だろうと。
そして社会は変わる。
それがマイノリティからメジャーになっていくにつれて、育休が無ければ人員確保が出来なくなった会社はたくさんの人の雇用を考える。
女性で産後長くリタイアしていた人も再雇用されやすくなった。
世界で男性の出産が当たり前になる。
人口は一旦爆発的に増える。
しかし問題が発生する。
今までの社会構造では安定した職に就けず、一過性の職場を回遊し続けた。
未婚シングルファーザーの問題は特に深刻で、貧困問題の核となった。
何故なら、彼らは下手に良い仕事をしていたので、潰しの効くものなど一つも持ち合わせいないのに、プライドだけは高かった。
外では誇らしげに我が子を持ち上げるのだが、家では虐待が常習化していた。
彼らは言う「懐妊前は理性的で合理的だったんです。こんな事絶対にしなかったのに…。」
上記の言葉はホルモンバランスが崩れた人間だけが経験出来る。
女性は幼少期からホルモンの波に身体を乗っ取られる感覚を知っている。
ただ、それがどれくらい辛いかと言うのは体験しなければ分からないものなので、
簡単に言えば、普段閉じているはずの内蔵から一ヶ月に一回、内蔵の内壁が無理矢理剥がれ落ちてくるのだ。
にきびが増え始め、気持ちが昂りやすくなり、腰や腹に深い鈍痛があるのは勿論、頭痛も身体のだるさも、あまりの痛みに失神する人もいる。(ついでに冬生まれの女性は特に重い)
私はそれを落ち着かせる為に低用量ピルと鎮痛剤を服用している。
お陰様で生理痛はかなり落ち着いたし、性欲もかなり落ち着いた。
もし自分が男性を妊婦に出来るなら。
あのドラマの彼女の様に、
無責任(結婚しない固い意志)孕ませセックスしたい。
妊娠させまくりたい。
代わりに産んで欲しい。
これが本音。