2021年を振り返る
明けましておめでとうございます(遅い) 。関係者の皆様、昨年度は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願い致します。
気づけば一瞬で1年たったので、昨年度を振り返る。気づけばもう32歳になる、若手という年齢は超えて中堅に差し掛かる。2021年は会社が組織的に機能し始めたのを感じた1年だった。事業成長という面では、自分の決断・行動の遅さにより事業機会をかなり見逃したと感じる1年だった。
正社員1人目の採用
今年の初めに、初めての日本人正社員の採用を行なった。これまでは、海外在住フルコミット業務委託のエンジニア・デザイナー・プロジェクトマネージャー・プロダクトマネージャーでうまくやっていたが、限界を迎えていた。入社するや否や、かなり優秀な奴なので、すぐにほぼ全てキャッチアップして貰い、自分が表に出る必要性がほぼ無くなった。そこで、採用・事業開発・営業・マーケにうまく時間を割き、さらに組織を強化しつつ事業仮説検証をたくさん行なった。採用に関しては、正直、うまくいった場合とそうでない場合も発生した。非常に小さな組織なので、自分とウマが合うかどうかが重要で、成長意識が高い人間とは総じて仲良くなりやすい。バリュー価値観の部分は簡単に変わらないので、解像度を上げようと意識した。 自分のCode of Conductsも書いた。https://medium.com/@atyenoria/my-code-of-conduct-and-professional-attitude-a947e2c882ca
受託開発は素晴らしい
労働集約型の顧客課題解決という観点でシステム受託開発は非常に面白い。ニーズのある分野で確実にプレゼンスをあげて、短納期・高品質・低コスト・独自性・信頼性(実績)向上という打法でひたすら腕を磨いていくゲーム。紆余曲折あったが、稼ぎとしても最低限飯は食っていける状態までは持っていくことができた。以前のように、光熱費ネット代込みで家賃1万円5千円で、窮屈な思いをする必要も無くなった。朝誰よりも早く起きて、共用の100円7分シャワーに駆け込む必要もない。南京虫も発生しない。トイレも壊れない。
しかしながら、事業の伸び悩みを感じていた。このゲームで事業をスケールさせて上場というストーリーには自分の志・能力が足りていない。自社サービス・プロダクトという軸で新規事業を立ち上げる必要がある。今までお手伝いしていた会社の大部分がSaaS事業者だったので、自分もやりたかった。VoicePing 1.0というサービスをテスト的にリリースしていたが、全く方向性が見えないまま右往左往していた。既存案件がなかなか継続的に手が離せない状態だったので、ほぼ自分はノータッチで外部海外パートナー任せでやっていたが、結果としては、VoicePing 1.0は完全に失敗に終わった。
メタバースブーム来たる
資本業務提携以来、弊社ではずっとVRと格闘し続けている。その中で生まれたサービス( https://www.traveldx.jp/ )がこれだ。PCもしくはOculus Quest2を使用して、VR旅行できるサービスである。パトスとロゴスの固まりである、創業者の五石社長を主体とする優秀なメンバーと果てしなく議論を重ねながらサービスとして仕上げた。序盤は徹底的にNPSをKPIとして、プロダクト機能として何が不足しているかに対して、システム開発を高速でやるという進め方だ。VR開発はなかなかに手強い、なぜならVR開発プレイヤーの数が少ないのでシステムバグやできること、できないことを知るには試すしかないからだ。Oculus Quest 2が1,000万販売した、凄い。OCulus Quest 2の中身はただのAndroidスマホだ、高スペックを期待してMacbook Proのフルスペで動くようなアプリを作っても期待通りに動くはずがない。音声配信は色々悩んだが、Opentokで動いている。グローバル(中国もありえる)でスケールするプロダクトだと、OpentokかAgoraを現状選ばざるを得ない(他にもある?)。各国で地理的状況に応じて最適な音声配信する場合に、ミドルウェア自前運用は、かなりの資本力がないとハードルが高い。ClubhouseがAgoraを選んだのは流石と言える。8K映像リアル・VOD配信に関してはAWS CloudFront、Wowza(CMAF + Akamai)使用で実現している。8K映像はかなりのリアリティがあるので、まだOculus Quest 2体験していない方はすぐに体験をお勧めしたい。AV1の進化も楽しみである。
VRにハマったのでゲームを作ることにした。Resolution Games(https://www.resolutiongames.com/ )というヒットゲーム連発のVRゲーム会社に倣って、弊社もエンターテイメントという軸で、メタバースに参入することを決意した、例によって、最強のゲーム開発チームを作るために、Angel.co、Linkedin、Upwork等で、募集をかけ、Unityエンジニア、Game Designer、3Dモデラー(Maya, Blender, 3ds MAX )を揃え3ヶ月ほど開発期間を経て、ボードゲーム+ストラテジーのチェスゲームを完成させた。
プロモーション動画:
https://www.youtube.com/watch?v=qh_tQzKoTtM
STEAM 配信URL:
https://store.steampowered.com/app/1714760/Raygun_Chess/
だが、撤退することを決意した。理由としては、自分の今の知見・実力では、エンターテイメントカンパニーを作るのは無理だと判断したためだ。ゲームを作って、さらにDLベースでの課金・アイテムベースでの従量課金を設計・実行・評価・改善していくには膨大なコストと事業を継続する強い意思が必要で、それらを欠如していたので。他のゲームとして、フェンシングゲーム等も作っていたが、マルチプレイヤーで当たり判定にセンシティブなケースだとPhoton Unity Networking (PUN)だと全くゲーム性をキープできなかったり、オブジェクト数を増やしていくとFPSが低下してOculus Storeの審査にも通らなくなるという問題が発生した。チームメンバーには非常に申し訳ない、だが解散を宣言せざるを得なかった。出血も止血せねばならぬ。また、この余波で、多数のメンバーが弊社を去ることになった。やらねばならぬ、成功せねばならぬ。成功した暁にはまたゲーム開発も再開できるだろう。
VoicePing2.0という新プロダクトをリリース
VRゲーム事業の撤退からVoicePingをまたゼロからやり直そうと決断する。自分が生涯取り組めるテーマはやはり生産性を向上させるという観点だ。常に無駄を取り除いて、効率をあげていくゲームに興味がある。時代が変われば、雇用形態、文化も変わり、働き方も変わる。新しい時代に出てきた働き方に追従して、プロダクトをアップデートしていく。VoicePing2.0の開発には3ヶ月ほど要し、昨年2021年の11月中旬にリリースすることができた。会社名もそのタイミングで、P2P株式会社からVoicePing株式会社へ変更した。ポジションニングとして、コミュニケーションプラットフォームとして、生産性を最大限化させるというゴールに向かっている。事ベースのやりとりは、Slack、Teams、Chatwork等で、人ベースのやりとりはVoicePingで完結させるというスタンスである。なので、競合は巨人ZOOMとなる。バーチャルオフィスツールを作りたいのではなく、生産性向上意識が高い企業に対しての課題発見・ソリューション提供カンパニーになって、業務コスト削減と売り上げ向上に寄与したい。常に機能てんこ盛り自己満足のビルドトラップにハマらず、解いた課題の重要度・数で勝負する。如何に雄弁なプロダクトマネジメントツールも結局は判断補助ツールにすぎないので、行動量がすべて。ユーザに聞く。kanoモデルと睨めっこしすぎても何も生み出さない。
プロダクト説明PDF資料:
https://bit.ly/3qDscwp
君に友達はいらない
年末年始は籠って読書ばっかりしていた。ビザスクというインタビュープラットフォームでひょんなことから瀧本哲史氏という方を聞き、なんとあのZero to Oneの翻訳をした方であることを発見する。Zero to One信者の私は早速、全ての著作をKindle購入して読破してしまった。恐ろしく頭が切れる方である。久しぶりに感銘して、大量にNoteメモを取ってしまった。資本主義というゲームの中で如何にコモディティにならずに戦っていく手法をありとあらゆる観点で、説明してくれている。グローバル資本主義において、原理的にコモディティ化は不可避で、トマピケティいわく資本収益率r>経済成長率gの波に乗るにはそもそも金を持っていないといけないが、大部分の人はそうではない。そもそも、自分はメリット、デメリットというのが、前提として何を備えていなければならないとというディベート初歩的な話も理解してなかった。瀧本哲史氏、亡き時代でも、このノウハウが手に入るのは本当に助かる。読書はやはり重要であると再認識した。君に友達はいらないというなかなか特徴的なタイトルは読者との格闘を望んでいる氏の態度が窺える。
瀧本哲史氏著作リスト。かなりオススメ。
https://www.amazon.co.jp/%25E7%2580%25A7%25E6%259C%25AC%25E5%2593%25B2%25E5%258F%25B2/e/B008VOI2HK
2022年をどう生きる
最高のプロダクトカンパニーの競争優位性はチームから生まれる。チームを強くするために、できることを泥臭くやっていく。顧客もチームに巻き込んでいく。格闘を始めよう。
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