【小説】アライグマくんのため息 第8話嵐の夜③
留学の準備は、着々と進んでいったが、リカには、この留学計画を進めるにあたって、もう一つ乗り越えなければならない大きな壁があった。
そう、会社を辞めてからのアルバイト先も決め、もう一刻も早く会社に辞表を提出しなければならないはずなのに、リカはなかなかそれをしようとはしなかった。毎日会社から帰ってきては机に向かい、辞表を書こうとしていた。が、どうにもこうにも筆が進まないようで、便箋の一行目に「退職願い」と書いては、その後何も書かず、くしゃくしゃに便箋を丸め、部屋の隅のごみ箱に向