【なんて素敵にジャパネスク/氷室冴子】
コバルト文庫の代表作家の1人でもあり、少女小説という新たな分野を確立した、故氷室冴子さんの代表作。平安時代を舞台にした貴族のお姫様のお話です。
政略結婚されられそうになった瑠璃姫が、縁談を断るために年下の幼馴染、高彬と婚約してるーと苦し紛れに嘯くところから始まるストーリー。
実は高彬は小さな頃から瑠璃姫一筋。
淡くて純粋な恋物語…かと思いきや、ひょんなことから帝の廃位を狙う政治的陰謀に巻き込まれ、 自ら巻き込まれに行く瑠璃姫。
私がジャパネスクシリーズを初めて読んだのは小5の冬。
光栄にも、当時ジャパネスクにドハマりしていた友人の布教の対象に選ばれたのです。
かくいう私は、まだ授業で歴史を習う前であり、平安時代なにそれ状態。それほど興味を持てず2週間近く眠らせてしまい、友人にせっつかれて渋々読み始める有様。
が、一度ページを繰り始めると、
手が止まらない!!
なにこれおもしれー!!と一晩で読み切り、さっそく友人に2巻目を催促(笑)
歴史物だから難しそうという先入観を見事に裏切ってくれる読みやすさ。
まさに、少女マンガを読んでいるような感覚で読んでいたのですが、そういう趣旨で書かれていたんだから当然と言えば当然。
そして、通い婚や文(手紙)文化、その他諸々の平安時代の貴族の常識を苦もなく知ることができました。
中学高校の古文はここから得た知識がかなーり役に立ちました!
さらに役に立ったのが、人を見る目の養い方。
・一見ひ弱で頼りなさそうに見えても、信念があってここぞという時にやるべきことをやる人。
・意地悪なようで筋が通っていて情に熱い人。
・変えられない現実を受け入れ切れずに行動を起こす人、諦めて流れていく人。
・ストーリー的に「悪役」ではないのに、自らの想いを通そうとすると悪役的立ち位置になってしまう人。
・そして、数々の事件を乗り越えて価値観が変わっていく瑠璃姫。
対象年齢が若くシンプルに書かれている分、キャラクター毎の設定が深く、想いがよりダイレクトに綴られている気がします。
小説版は全10巻。
ちなみに、読む順番は、
なんて素敵にジャパネスク1~2
↓
ジャパネスク・アンコール
↓
続ジャパネスク・アンコール
↓
なんて素敵にジャパネスク3~8
※アンコール2冊はただの番外編ではなく、3巻(人妻編)への大事な布石になっているので飛ばさないでくださいね!
ちなみにコミカライズ版もあります。
原作4冊目(続ジャパネスクアンコール)までは文庫版で。
原作5冊目以降はコミック版。
原作4冊目までのコミカライズが終了してから、5冊目以降のコミカライズが始まるまで時間が空いているので少し絵のテイストが変わっていますが、どちらも山内直実先生によるもの。どっちも可愛いので、絵柄が違うから読まないなんて先入観はもったいない。
そして、6月6日は氷室冴子先生の命日。
何度も読み返している、このジャパネスクシリーズを生み出し、人生の道しるべとなる多くの気付きを与えてくださった先生のご冥福をお祈り申し上げます。
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