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ysh
2020年8月20日 11:53
次男が眠っている離れると途端に目を覚まして泣いてしまうので諦めて私もぼうっとしている身体をぴったりとくっつけて鼻息を少し大袈裟に顔に吹きかけるようにすると安心するのかまた微睡みに溶けていく私はもう、一切を諦めて五本の指だけで何が出来るか考えていたら詩が一遍出来上がった
2020年8月12日 14:33
*English version is below.むっとするほど湿気を含んだ熱い空気雷が切り裂く昼間の眠りそれを合図に美しい雨が世界を濡らす灰色の荒野の真中旅人がひとり立ち尽くしている雨は旅人の身体を濡らし火照りを鎮めてくれるじきに夜がくるだろう旅人は火を焚き今朝仕留めた兎の肉を焼く溜まった雨水で喉を潤し土埃にうねる黒髪を洗う幾夜もこうしてひとり繰り
2020年5月28日 21:12
空が泣いた日娘は踊る大地を蹴りどこまでも高くスカートの裾が果てしなく拡がる雨粒の拍手が娘を包む娘は歌い、踊り続ける足が潰れ声が枯れても いつしか頭上には光り輝く七色それにすら気づかずに娘は踊り続ける黒髪を靡かせて魂の赴くままにやがて、朝が娘を迎えに来る肉体はとうに明け渡したその魂ひとつで娘は踊り続ける内側から渾渾と沸き続ける熱い泉叫
2020年5月27日 23:36
喉の渇きに目が覚める闇に包まれて横たわる身体 夜が雨音を強くするあるいはそれは内側の寂しさに呼びかけてくる ふいに、耳に微かな泣き声抱き上げた腕の中で乳を探す幼児は全身で希望を象っている睫毛のひとつひとつに命を宿らせて 死んでいく星と誕生する星の命の巡りを眼裏に描く いくら言葉をさがしても端から零れ落ちていく 振り返っても届かない昨日は
2020年4月24日 01:27
詩は呼吸する春の風が波紋を広げる池のほとりで散っていく花びらを髪飾りに詩は踊っている一心不乱に朝日がその横顔を金色に染めて詩は深く、深く呼吸する
2020年4月14日 11:34
滔滔と流れていく日常 朝方吐き出しかけた言葉を夜にはひとり弔っている 窓を開ければ呑気な日差しが差し込んできて一瞬、混乱してしまう 先の見えないトンネルに行き場を無くした怒りが満ちていく 退屈は感覚を麻痺させる皆同じ顔をしてその怒りがもう誰に向けられているのかもわからないまま文字を打つ手は滑り出し止められない ゆっくりと閉じていく世界