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つれづれつづれ

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#小説

短編 3

 ユウに初めて出会ったのはたしか、ヴァインマイスター通りのカフェだった。小遣い稼ぎに引き受けていた翻訳に行き詰まり、一人がけのテーブル2つを占領し、資料を広げ、頭を抱えていた私の斜め前に彼女は腰を下ろした。

 こんなに席が空いているのに相席なんて……

 顔を上げ、彼女を見つめた。ショートボブの一部分だけを真っ赤に染め、レザーのライダース、チュールのミニスカートにボーダーのタイツ、マーチンの8ホ

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