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DIC川村記念美術館閉館について思うこと

今日はちょっと辛口note。
あくまでも個人的意見と言うことで読んでいただければと思います。


かねてより経営難を公表していたDIC川村記念美術館。昨年末、ついに2025年3月31日での閉館が発表されました。
お気に入りの美術館だったので今回の決定は非常に残念でなりません。そして、こういった質の高い美術館が窮地に立たされた場合、国が買い取るなりして保護すべきとも思いました。
日本全国たくさんの美術館がありますが、ある意味で美術後進国になってしまった今の日本では良質な美術館を探すことは容易でありません。
葛飾北斎が織りなすあの青の美しさ、長谷川等伯が描く壮大な松林図屏風、空間を支配する良寛の書…
これらの名作が次々と生まれ、世界の名だたる芸術家からジャポニズムと呼び認められた日本の美意識は薄れつつあると感じます。
残念ながら今の日本では、アニメ的な作品の方が人気で、政府もそれらを日本の芸術だと世界にアピールする始末。
日本のアニメは立派な文化ですが芸術ではありません。国がまずその辺の違いを理解していない。当然国民が良い作品を見る目なんて養えるはずもなく、結果、美術館の所蔵コレクションの質の低下にも繋がっていると私は思います。
例えば、観光地にある某美術館。
良い作品が一枚もなく驚いたと同時に、あれだけの駄作を集めて披露していることが逆に恥ずかしくないのか疑問でした。万博跡にある奇妙な塔も、正直ダサすぎて話しにならない。
結局のところ、関係者が誰一人としてホンモノの美を知らないのです。
モネだから、ピカソだから、値段が高いから…
だから価値がある。良い作品のはずだ。
と思い込んでいる。
そして腕のあるアーティストは海外へ行き、海外で評価される。審美眼のない日本はいつだって逆輸入です。

その点、DIC川村記念美術館のコレクションは質が高いです。今まで作品を購入してきた歴代社長や関係者が目利きなのでしょう。また、そんな美意識は美術館を運営する現職員にも受け継がれていると感じます。こちらの企画展で初めて知る現代アーティストもいたり、参考にすることも多々。
今回はそんなDIC川村記念美術館が閉館を迎える前にもう一度訪れておきたいと思ったのと、現在開催されている西村勝人さんの展示に興味があって足を運んできました。

美術館への行き方は色々あるのですが、私は東京駅から出ている美術館行きの高速バスを利用しました。以前乗車した際、比較的すいていて快適だった記憶があったので。
しかし、閉館効果なのでしょうか…

想像以上に混んでいる。
発車30分前に到着し、すでにこの人です。
その後も続々と列を成し、最終的にはバス2台で補助席まで使う盛況っぷりでした。この待ち時間と人混みですでに疲れてしまった…
満員電車の中東京駅まで行きましたが、こんなことなら京成佐倉駅まで電車で行けば良かったと後悔。
入館までに疲れたくない方、行きのルートは考えた方が良いですよ!

そしてやっと美術館へ到着。
ホッとして下車したのも束の間、チケット売り場も長蛇の列でさらに疲労が増す…
バス2台分のお客にタクシーや自家用車で来た方々も並ばれるので仕方ないですが、スムーズなチケット購入を重視する方も行きのルートは考えた方が良さそう。ちなみに2月からはオンラインチケットが販売されるようです。

そんなこんなでようやく買えたチケット片手にいよいよ入館。

館内も混んでいたら嫌だなぁ…
なんて思っていましたが、展示室が広いので色んな作品に人がバラけてゆっくり鑑賞することができました。
私の美術鑑賞法は、基本的に遠目でチラ見。
良い作品は展示室に入った瞬間、遠目から見ても分かるので、自分のお眼鏡にかなう作品のみをじっくり見て、それ以外はチラ見流し見でどんどん進んでいきます。ですが、川村記念美術館の作品は良いものが多く、足を止めて丁寧に見る必要があるので時間がかかります。ロスコ、コーネル、ヴォルスは何時間でも見ていられるし、西村勝人さん始め日本人作家の作品も良質で見応えがあった。
特にレンブラントの作品は、よく見つけたなと思うほど珍しく良いものです。

レンブラント・ファン・レイン / 広つば帽を被った男
©️パブリックドメイン

レンブラントでしょ?
良いに決まってるじゃない!
なんて思われた方!!
レンブラントと言うブランド感と雰囲気に騙されています。彼はオランダで成功し「夜警」のような大作を描く機会にも恵まれましたが、同時期に活躍したベラスケスやルーベンスに比べ、技術とセンスに圧倒的な差があると思います。
ですが、レンブラント=駄作と言う訳でもなくて。
画家として成功しているだけあり、良い絵も描いています。ただ数が少ないだけで←嫌味

最後にミュージアムショップで美術館のコレクション集を買いました。

所蔵作品の中にエンツォ・クッキの名を見つけた時は「さすが川村記念美術館!」と、心の中で思わず拍手。今回展示されてないコレクションにも良作がありますね。

平日でしたが、結構な混み具合でした。
レストランも予約制で満席ですし、閉館宣言後に来場者が増えたことは見て明らかです。売り上げも良いそうなのでこのまま存続して欲しいですが、きっと無理なんでしょうね…
せめて株主の皆さんが、この美術館にどれだけ良い作品が所蔵されているかと言うことをご存知の上での、苦渋の決断だったと信じたい。

3月末で一旦閉館後、コレクション数を減らし規模を縮小して別の場所で運営していくとのこと。
一体どの作品が残るのでしょう?
DIC川村記念美術館の美を見る目。
真の美術力が試されるのは、これからなのかもしれません。
皆さんも是非ご自身の目で見て、そしてどの作品が残るのか予想してみて下さい。
もうここまできたら、別れを惜しむより新しいDIC川村記念美術館を迎える気持ちでいたいものです。

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アンナ ブラック
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