2021年に読んで印象に残った本。
そんなにたくさん読めたわけではないのだけれど、数冊じんわりと余韻を残してくれたものがあったので書き残しておく。
だいすきな有栖川有栖さんの江神シリーズが掲載されているので購入したら、大山誠一郎さんの作品にひっくり返った。せんじつ刊行された『思い出の中の誘拐 赤い博物館』を購入してきてあるので、読むのが楽しみ。
ここ数年ほど窪美澄さんの小説を読んでいなかったけれど、積ん読していたのをようやく読んだ。こころが温かくなるようなものを読みたいというタイミングで読めたことが、とてもうれしい一冊だった。
ものすごく怯えながら読んだ。おもしろくて、怖くて、でも読まずにはいられない魔の書であった。1997年から2020年発表の短篇が勢ぞろい。メルカトルの新刊なんて、それだけで飛び上がるしかなかった……。
翻訳者の力量がものを言うのかはわからないけれど、語りのうまさに夢を見ているような心地になる小説だった。三部作の完結編なので、ぜひその前の『天国でまた会おう』と『炎の色』も読んでみてほしい。どれもものすごい見どころがあって飽きない。
直木賞候補にまでなった作品をわたしが語るまでもない気がするけれど、一気読みだった。とことんまで女の視点から描かれているのに覚悟を感じた。こういう作品が日本語で出版されることがうれしく、これからの読書に期待さえ持てた。
ことしも何冊も読めない気がしているが、出会った一冊を大切に読んでいこう。文章を読める喜びを感じる1年にしたい。
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