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発達障害を抱えた受験生に送る、試験本番でブレないための行動

【この記事は、約7分で読めます】

※ 本記事は、発達障害を抱えた中学・高校・大学受験を迎える受験生ならびに、資格試験を控えた社会人を対象としています。


もうすぐ、試験を迎える。

ベストな状態で臨めるよう、勉強してきたつもりだ。
でも、なぜかこれまで模試や過去問でケアレスミスが目立ち、得点を損ねてきた。
もし、本番でもしでかしてしまったら自分の人生はどうなるのだろう?
不安だ…

この記事にたどり着いた方は、受験を控えた中でミスに不安を抱えているかもしれません。
実際、僕自身も試験を受ける時はミスを恐れて緊張するものです。

しかし、ミスを可能な限りゼロに近づけるなら、ぜひとも実践したくないですか?


この記事では、恐れ多くも大学は東進ハイスクール偏差値65の学校を卒業。
社会人以降は資格試験に90%以上の勝率で一発合格した僕が、受験生に向け本番で心がブレずに最高のパフォーマンスを発揮できる方法をお伝えします。

本記事を通じ、発達障害を抱えても人生の大事な局面に打ち勝つヒントになれば嬉しいです。



1.【試験開始前】本番でブレない行動

①試験前日に、本番と全く同じ「所作」を行う


まず、本番で感情がブレないためには、前日に本番と全く同じ所作を行います。

なぜなら、練習と変わらない行動を取ることで、本番でも「練習通りにすれば大丈夫」という自信が生まれるからです。

具体的な方法は、次の6点です。
長くなりますが、順番通り読んで最後までついてきてくださいね。


1.当日に必要な持ち物を用意する
【チェックポイント】
受験票・身分証明書・筆記用具・腕時計・バッグ等全て当日に必要な同じものを揃える。


2.試験開始時間に合わせ、試験会場に近い図書館の学習室に行く
【チェックポイント】
学習室が満員になる可能性があるため、事前に図書館に電話して混雑している時間帯を聞く。
利用カードが必要かの確認もし、発行していない場合は前日までに登録手続きを済ます。
もし試験開始時間で既に満員と言われた場合は、図書館の開館時間まで並んで待つ。


3.学習室の椅子に座り、持ち物を当日と同じ配置で並べる
【チェックポイント】
見開きが多い、試験冊子。
ページをめくりやすいように受験票は机の左上・筆記用具は机の右上で横向きに置く。

鉛筆は削った先が尖ったもの2本・少し丸みを帯びたものを2本、消しゴムは2個。尖ったものは記述問題用、少し丸みを帯びたものはマークシート用(表面積がある分すぐ塗りつぶせるメリットがある)。

消しゴム2個は、万が一試験中に落としてしまった時のリスクヘッジとして。


4.待機時間・休憩時間含め全て同じ時間で進める
【チェックポイント】
学習室に利用時間制限がある場合、利用時間に合わせて調整する。また、本番と時間が違っても、可能な限り本番に合わせる。
これは、試験当日交通事情で会場に遅れても、想定したペースに取り戻すため。

例)2時間制限の場合
初めの10分待機→科目90分→20分余っても一旦退出
20分の間に次の予約を取り、再入室後上と同じサイクルを取る


5.試験問題は、最新傾向に慣れるため前年の過去問を解く
【チェックポイント】
前日の練習のために、前年の過去問を解く際は3ヶ月寝かす。
これは、時間を置くことで問題そのものを忘れるとともに、解く過程で出題パターンを思い出すため。


6.試験終了後の帰り道で、振り返りを行う
【チェックポイント】
何につまづき、どこに時間を取られたのか?
その理由は?と、自分自身に嘘をつかず問いかける。
これは、別学校の受験を受ける際の弱点発見のみならず、万が一落ちた後で次回再試験を受ける際の敗因分析になるため。

以上を、順番通りにこなしていってください。

これらを遵守することで、当日コンディションが安定した状態で試験に臨めるでしょう。


②当日の持ち物は、前日夕方までに終了させる


当日の持ち物は、前日夕方までに終わらせましょう。

なぜなら、当日になって「あれがない」「これがない」と慌てると、焦った状態で試験に臨んでしまうからです。

その結果、パフォーマンス発揮に悪影響を及ぼします。


具体的には、チェックリストを自分で作りカバンに入れたらレ点を入れることです。
僕は、次の項目を全てメモ用紙に記入し、カバンに入れた時点でチェックを入れます。
これで「確かに入れた」と可視化できます。

【チェック項目】
・ 受験票
・ 身分証明書(学生証・免許証・健康保険証etc…)
・ 筆箱
・ 尖った鉛筆2本
・ 丸く尖った鉛筆2本
・ 鉛筆削り
・ シャーペン2本
・ シャーペンの芯(中身の量もチェック)
・ 消しゴム2個

これらのチェックが終わったら、カバンを玄関の前に置きましょう。

そして当日、財布・定期券・アナログ腕時計などの貴重品をいつも通りに身に着けます。
これで、焦る必要はないでしょう。


③移動中は、重要内容を音声機能でリピート


移動中は、これまで学んだもので特に重要なものを音声機能を使ってリピートします。

理由は、試験に集中する前準備として基本かつコアとなる部分を聞くことで、脳内に基礎的な内容を叩き込むためです。


僕の場合、重要事項を試験一週間前まで自分の声でスマホに吹き込み、試験前日と当日の移動中イヤホンで聞き流しています。
また英語リスニングの場合、iPodにインストールさせた公式過去問の音源を1回分聞き流します。

これは、試験本番での流れと、マークシートに色塗りするタイミングを再確認するためです。
また、回答に必要な情報の取捨選択方法を思い出すのにも聞き流します。

これにより、会場に着く前までに試験モードの脳に出来上がり、より合格に近づけられます。
人によりけりかもしれませんが、僕はテキストの読み返しでは乗り物に揺られて酔うため、聞き流す方法を取っています。
ぜひとも、お勧めしたい方法です。


ただし、時折イヤホン・ヘッドホンは外しましょう。
万が一車両故障等で電車が遅延した時に備え、最新の運行情報はいつでも手に入る状態に整えて下さい。


④電車が遅延した場合は、速やかに試験会場へ電話する

もしも当日、電車が遅延したと分かった時は、速やかに試験会場へ電話しましょう。
試験会場に電話すれば、必要な指示を仰げるからです。
そのために、受験票に記載されている会場の連絡先は、予め携帯の電話帳に登録します。

また、混線してつながらない可能性もあるため、あきらめずかけ直しましょう。
そして、電話中に公衆電話も探します。

なぜなら、公衆電話は通信規制の対象外になっているからです。
これは、総務省提供の資料にも明記されています。


出典:総務省「公衆電話の特徴と使用方法


いつでも会場に連絡できるよう、電話を準備する。
これにより、焦るリスクは減ります。

最後に、当日出発までに携帯の充電は100%にしておきましょうね。


2.【試験開始中】本番でブレない行動

①問題文を先に読め

試験が開始し、本文を読む前にするのは「問題文を先に読む」重要性です。

なぜなら、先に問題文を読むことで問われている真意や方向性を把握できるからです。
その結果、本文を読む際問題文に書かれている必要な情報のみピックアップできます。

逆に、いきなり本文から取り掛かっては、いざ問題を解く際に情報の取捨選択に迷ってしまいます。
結果、これがタイムロスとなり、時間配分に悪影響を及ぼします。
最後まで問題が解けずに、マークシートの色塗りではもったいないでしょう。


だから、問題文から先に読むのです。


そして、選択肢があれば全て眺めて、単語を拾っていきます。
この際注意したいのは、選択肢全てをくまなく読まないことです。

かける時間は、長く見積もって5秒です。
それ以上だと、細かい情報に捉われ、最悪木を見て森を見ずの状態になります。

例えば去年の大学入学共通1次英語から、引用しましょうか。
この問題、僕なら3秒で次の単語を拾って本文に取り掛かります。


出典:「令和6年度 大学入学共通テスト 本試験英語 第6問B(P.40)

1:high tolerance, pay attention, spices
2:high tolerance, scared, negative effects
3:low tolerance, can get used, heat
4:low tolerance, cannot endure, SHU


「tolerance」(忍耐)がキーワードなのは、明らかです。
問題は、高い/低い忍耐が、どうなるのか?どうなるのか?を問いています。
その正解に導くために、短い主語/動詞/目的語しか拾いません。
あとは、本文を読みながら正解を探すのみ。

こうした「必要な情報のみ拾う」のは、何も受験に限らず会社においても同じです。
社会人の方なら、自分の業務のかたわら人が行った仕事のチェックも行うのは誰しも経験しているでしょう。

チェックしている中で、必要なチェック内容以外のものも確認してたら、とても1日24時間あっても足りません。
もし後から上司が「AとBだけじゃなく、CもDも確認してくれ」と言われたら、あなたは怒り出すかもしれません。

だから、先に必要な情報だけ抜き取り、本質をとらえるのです。
そして、必要な情報だけを抜き取るために問題文を最初に読めば、本文で不必要な部分は省いて読めます。


僕の感覚だと、共通テストの英語も年々本文が長くなり、問題文の読み間違いで点差が開くシステムになっているような気がします。
いわゆる僕の受験生時代は「センター試験」と呼ばれ、文章並べ替えやイディオムの穴埋めもあったのですが、今はそんな問題は皆無です。


今や欲しい情報は、GeminiさんやchatGPTさんに頼めば、すぐに手に入れられる時代です。
あふれかえる情報の渦から、本質を見極める能力を今の試験は受験生に問いているのではと、僕は考えます。


②本文を読む時は「コイツは自分に何を言いたいのか?」と唱えろ

次は、本文を読みます。
この時重要なのは、いつも頭の片隅に「コイツは自分に何を言いたいのか?」と唱えることです。

なぜなら、コイツ=筆者が「伝えたい」コアを把握すれば問題文の選択肢にひっかかるリスクが減るからです。
その結果、ケアレスミス防止にも役立ちます。


試しに、次のURLに記載されている問題を解いてみましょう。


さあ、問題文から読んで何分で正答にたどり着いたでしょうか?
そして、なぜ正答が正答である理由が説明できるでしょうか?


答えは、第3パラグラフに書かれている「それは、日本に「八百万の神信仰」の文化が根付いているからだと推測される。」に集約されます。


擬人主義は、動物でも植物でも何でも神様と崇めている、古くからの日本固有の価値観と言っているわけですよね。
であれば、自ずと正解が選べると思います。

このように「コイツは自分に何を言いたいのか?」という視点で読めば、30秒で回答は見つかるでしょう。


難しい・解けないという先入観を捨て、まずは伝えたいことを把握する。
これが、正答に近づくカギになります。


③選択肢に迷ったら「なぜこういう回答が並んでるのか?」と、出題者の立場を考えろ

解答中、どうしても最後の2択で迷う場合もあるでしょう。
そうした時は、あなたが出題者の立場に立って「なぜこういう回答が並んでいるのか?」と視点を切り替えます。

なぜなら、選択肢を作ったのは紛れもなく出題者であり、意図があってひっかけの答えを用意したからです。


これは、本番中問題を解くのに必死になって、ついつい見落としがちな視点です。
だからこそ、日ごろから「どうして他の選択肢があるの?」とクセをつけて解くことで、ブレない心が培われます。

例えば、TOEICでこういう問題があります。


出典:「TOEIC Listening & Reading Test サンプル問題 リーディングセクション Part5


僕なら3秒で「D」を選びますが、なぜD以外の正解が並んでいるかお分かりでしょうか?

理由は、「品詞」というカテゴリーで形容詞や名詞・動詞を並べているからです。

もしあなたが出題者ならば、空欄に文字を埋める選択肢を考える時に何を思いつきますか?

全く見当違いなものも思いつくでしょうが、関連したものも並べてひっかけたい気持ちも、どこかでお持ちではないですか?


そう!
この「関連したものも並べてひっかけたい」が重要なのです!


中途半端な知識や理解力では、きっとD以外の選択肢も選ぶに違いない。
じゃあここで、ふるいにかけよう。

出題者は、そうした意向で問題を作成し、事前に有識者とふるいをかけるための認識合わせをしています。
そんな出題者の罠にハマらないために、「なぜこういう回答が並んでいるのか?」を常に意識するのです。


間違った選択肢が並んでいるのは、何かしらの目的があるんだ。
そのような視点で、本番に臨みましょう。


おわりに

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
以上で、試験開始前と開始後で本番にブレないための行動をお伝えしました。

僕は、何事にも「周到な事前準備」が大切だと考えています。
今年2025年の箱根駅伝、青山学院大学が連覇を果たしましたよね。


僕は毎年、往路のスタートから復路のゴールまでずっと駅伝の中継にかじりついてますが、観ている中でこう思いました。

2年連続1位をキープできたのは、実力やスタミナもさることながら、緻密な計画を練っていたからと。

もし先頭の大学が六郷橋までトップのままなら、ピッチを1ランク上げよう。
5区は小田原から飛ばすのではなく、芦ノ湖手前の下り坂まで体力を温存させて、最後にスパートをかけよう。

色々な仕掛けを、青学は準備してシミュレーションしていたと思います。

そうした仕掛けづくりを、選手監督スタッフ一同になって一つでも多くの共通認識を共有した。
その結果が、連覇という成果に結びついたと僕は考えます。


何事も勝負に勝つためには、まず相手の戦略を知ることが重要。


そして、戦略を知るには過去問を研究し、いつも本番の試験環境を想定して動く。

だから試験前日に本番と同じ所作を行い、試験本番は必要な情報のみ抜き取る習慣をつけましょう。


勉強シリーズは、今後も定期的に発信してまいります。
今年中には、正答率を上げる問題文の読み方や、生涯使える地頭を鍛える勉強方法など、受験生にとってより良い情報も提供してまいります。

どうぞ、お楽しみに。


この記事をきっかけに、あなたが人生の大事な場面で打ち勝ち、将来の選択肢を自分で拓ける人財へと羽ばたくことを期待しております。


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坂巻菱生 | 発達障害(ASD)成人当事者
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