北九州にて Footballがライフワーク Vol.47
11月も折り返した今日、やっとのことで私的恒例行事「J旅」に繰り出した。春のエディオンピースウィング広島に続き、秋には長崎スタジアムシティ(ピーススタジアム)がこけら落としを迎えた今年。どちらかに行きたかったのが本音だが、異動により増えた休日出勤との兼ね合いもあり、どちらも叶わなかった。岡山と岐阜、そして2度目の国立を巡ってきた最近3年間は、すべて総合競技場。4年ぶりに専用スタジアム、なおかつ未踏の地へ行ってみたいという希望を満たしてくれたのは、北九州のミクニワールドスタジアムだった。
先月あたりから、再びコンディションが芳しくない。腸脳相関という言葉もあるが、眠れなくなってくると腹の調子も悪くなり、下痢と便秘を繰り返している。先々週に続き、今週も月曜日は急きょ欠勤してしまった。出勤するつもりで自宅を出たものの、駅のトイレへ駆け込むと涙が溢れ、心が折れた。こんな状態で、満喫できるだろうか。行きの新幹線の窓から見上げた空は、どんより曇っていた。
席種は、メインスタンドの上階にある自由席。幾重か階段を上っても、急勾配のため高さの割にピッチとの距離を感じない。対岸のバックスタンドは小さく、隣接する海と、その向こうに広がる山や街並みまで一望できる。目の前のピッチだけでなく、背景にも見どころがあって、新幹線の駅からも近い。これだけの魅力を備えたスタジアムであれば、クラブの成績次第では常に満員になりそうだが、空席を選べるというのも決して悪くない。それこそは、完全指定席となったわが神戸のノエスタから失われた開放感だと思う。
どこかで聴いたことのある曲だと思ったら、加山雄三の「海 その愛」のサビだった。毎年のルールを遵守するため、1日限定サポーターを買って出たギラヴァンツだが、顔と名前が一致するのはセレッソ育ちの永井龍と、松本山雅時代に「Foot!」に出演したことのある喜山康平くらい。予備知識に乏しいクラブであっても、サポーターのチャントには胸が高鳴る。行く先々で実感してきたことたが、その歌声に鼓舞されるのは、選手たちだけではないだろう。
この旅のもう一つの愉しみはご当地グルメだが、今年は「田舎庵」の鰻重にありつけた。店主が「情熱大陸」に出演し、林修も絶賛の名店となれば大行列も覚悟していたが、すんなり入店できて財布の紐が緩んだ。続けてスタンドでの間食用にサンドイッチの「ОCM」に寄ってからスタジアムへ向かえば、ローカル番組のロケ中と思しき博多華丸大吉と銀シャリの二組を目撃できた。睡眠と、食欲と、興味関心。人間は気を病むと、これらに変調を来すらしい。月曜日には3つとも当てはまっていたのが、5日後の今日は人が変わったように回復している。こんな状態でもしっかり満喫できた今年の旅は、例年にも増して思い出に残りそうだ。
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