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4文小説 Vol.9

日の入りが早くなり、夜は7時を待たず暗くなる近ごろは、明るいうちに帰宅するのが難しい。

この頃になると小田和正のオフコース時代の名曲が染み入るが、憧れのシンガーと同じ誕生日の祖母は、今年で96歳を迎えた。

3年ほど前まで一人で生活していたのが、負傷と病が重なり歩行できなくなって以来は施設の世話になり、認知機能の衰えも進行してきたものの私たち母子の呼びかけには応えてくれていて、感染対策の隔離が解かれて触れ合える日まで頑張ってほしい。

おせちの案内を見かけたかと思えば、更新した定期券の期日は次の3月、もう来年の音が聞こえ始めた。

―秋の気配


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