4文小説 Vol.39
彼岸を過ぎても寒かった今月、屋外の仕事のため上司が持たせてくれたカイロには助けられたが、この温もりのもとで過ごすのもあと数日間となった。
いかに閑職とはいえ、15年ものあいだ関わってきたことを引き継ぐとなると一苦労で、週末も仕事を持ち帰って4時起きを決行した日もあるが、「帰りが9時、10時になるのはザラですね」とあっさり伝えられる転出先での新生活が来週に迫っては、これも準備運動と言い聞かせるしかない。
年末に受けた昇格試験はあえなく不合格、泣きっ面に蜂の感傷にも浸る間を与えず、かき消していくのだから、仕事とはどこまで過酷なのか。
急に春めいた今日の午後、暑がりの私は半袖になったが、心模様は昨日まで続いた土砂降りの雨だ。
―異動目前
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