こんな仕事初め 運動神経が悪いということ Vol.49
目が覚めたのは、2時過ぎだった。23時30分の時刻を見たあともしばらく寝つけなかったから、眠っていたのは2時間程度か。何度か姿勢を変え、そのまま出勤できるようインナーも着替えてみたが、もう眠れなかった。「苦しい…」時折、いつものため息をこぼしているうち、はや3時間が経過していた。
起き抜けの母に頭を下げ、勤務先にメールで一報を入れる。窓からバス停を見ると、暗がりのなか数名の人影があった。名前は知らずとも、いつもの方々だろう。乗るはずだった始発のバスが、雨に打たれながら走り去っていく。仕事初めの朝、私は動き出した世の中から取り残された。
休暇中は、よく休めた。いつにも増して遊ぶ気力が無く、旅行や行楽に出かけたわけではない。ただ、休めるだけで救われた。花園に大学選手権にリーグワンと、ハイシーズンに突入したラグビーを楽しんだ。年末年始恒例の漫才特番、繰り返し見てもテンダラーは面白かった。おかげで、一時は50キロ台に下がった体重が64キロまで戻っている。
しっかり休養し、きっちり切り替えたかった。生活リズムを取り戻そうと、連休最終日の昨日は平日並みに早く起きた。最後になって、持ち帰ったPCを起動したのが災いしたのだろうか。不安に苛まれ、心境が一変した。今日の私には、たらふく食べて、ご機嫌だった連休中の自分が同じ人間とは思えない。
明日の朝は単身で暮らす勤務先近くのアパートで迎える予定だったから、母は七草粥を前倒しで振る舞ってくれた。上司は、「お大事に」と返信をくれた。皆、こんな私にも優しい。それがありがたくて、申し訳ない。屋根に降りつける雨は一向に止む気配を見せず、私は起動しただけのPCからいまも目を逸らしている。