今でも心に残っている、はなむけの言葉
テレビをみていた夫が「そうか、世間は卒業シーズンやねんな」とつぶやいた。
どうやらニュースで各地の卒業式の様子が流れたらしい。
そういえば先日、お昼ごろ出かけたとき、制服姿の男女と多数すれ違ったな。
あれは卒業式に参加した在校生だったのかな?
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実家に置いてあるわたしの私物は本人の許可なくガンガン処分されているのだが、(本もぜんぶ捨てられたのはショックだった)、さすがに卒業アルバムや文集の類は段ボールにまとめられ、部屋の隅でホコリをかぶっている。
わたしの学生時代は全体的に黒歴史であるため、卒業文集も積極的に開こうという気にならない。
でも、今までおそらく数回しか開いたことのない卒業文集のなかに確実に書かれているたったひと言が、大人になってもずーっと心に残っている。
小学校の卒業文集に設けられた「先生から卒業生へはなむけの言葉」コーナー。
担任の先生だけでなく、校長先生から保健室の先生、自分たちの学年を受け持ったことのない先生まで、すべての先生からひと言ずつ寄せられている。
そしてその言葉は、わたしのクラスを一度も受け持ったことのない先生からのメッセージである。
「しなやかに、したたかに」
たった10文字のシンプルなひと言。
12歳だった当時のわたしは「したたか」の意味も知らない。
担任してもらったことのない先生からの、意味も知らないその10文字に不思議と惹かれ、心をつかまれつづけたまま、わたしは大人になった。
…なのに、意味を調べたことはなかったのだが。
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大人になって「したたかな女だねえ」とよく耳にするようになり、しばらく「したたか」をネガティブな意味だと思い込んでいた。
そんなネガティブな言葉を、卒業のはなむけの言葉として贈るわけないだろう。
そうしてようやく「したたか」の意味を調べるに至るわけである。
本来は「強く屈しない」だとか「粘り強い」という意味だそうだ。
なるほどね。
じゃあ「しなやかに、したたかに」は「柔と剛」のイメージが近いのだろうか。
最近わたしはこんなふうに解釈している。
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ふと気になって「しなやかに、したたかに」をネットで検索してみた。
誰かの名言なのかなあ…と。
するとどうやら、経団連初の女性役員となった吉田晴乃氏の言葉であるらしい。
…とはいえいつの発言かわからないし、なんなら宇崎竜童さんもタイトル「しなやかにしたたかに」とのアルバムをリリースしているし、本当のところは謎である。
でもまあ、誰が言ったかなんて、どうでもいいや。
これからもわたしが大切にしていく言葉であることに変わりはないのだから。
U先生、すてきな言葉をありがとうございます。
今も忘れず、もはやモットーといっても過言ではないぐらい、在りたい姿として心に刻み込まれている言葉です。
今日も読んでくれてありがとうございます。
あなたが誰かから贈ってもらった「心に残ることば」はなんですか?