バカ野郎!ひとりにしないでよ。アメリカで夫に先立たれた妻のバイブル(10)
現実逃避と生きる意味
ブーンとしつこい銀蠅が目の前を飛んでいく。黄金色に光る体と不気味な目玉。
狙いは私のフルーツか?
耐えられなくなった私の右手には蝿たたき。さて、いっちょやりますか。
『バシーン!!』
この蠅の人生が、今終わった。
叩いておきながら……ふと考える。同じ生命なはず。
息をしているのだから、植物じゃない。いゃ、植物は多くの人が愛でている。蠅よりも愛されているよね。
この銀蝿は、ドアの隙間から、たまたまうちに迷い込んで、フルーツの匂いに誘われて目の前に現れただけ。何も罪はないのに、一瞬であの世行き!
私はこの銀蝿にとっては神なのか?
人間の生命とこの銀蝿の命は何が違うのか?
今日もハエを追いかけながら、神の意味を考える。