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「パパゲーノ」についての話

先日たまたまNHKの「ハートネットTV」を見ていて初めて目にした言葉でした。

パパゲーノとは

改めてウィキペディアで調べてみると、

パパゲーノ効果とは、マスメディアが大衆の自殺を抑制する効果のことを指し、その名前はモーツァルト作曲のオペラ『魔笛』の登場人物で、恋に身を焦がして自殺しようとしたものの、自殺するのをやめて生きることを選んだ愉快な鳥刺し男パパゲーノに因んで名付けられている。特に、厳しい環境で自殺念慮を持った個人が、その危機を乗り越えて行った報道内容は、有意な自殺予防効果があるとされている。対極的な効果として「ウェルテル効果」がしばしば名前に挙げられる

番組では、死にたい気持ちを抱えながら、でも生きる選択をしている人数名にインタビューをして体験談を語っている様子が放送されていました。また番組のHPには、同じように死にたい気持ちを抱えながら生きておられる方々の体験談が載っています。興味のある方はぜひご覧ください。​

ちなみに私もここに体験談を投稿させていただいています。

「死にたい」からもらう生きる勇気

様々な方の体験談を読ませていただきました。皆さんそれぞれのストーリーがあって、あるきっかけから希死念慮が今はなくなったという方もいますし、今も苦しさと闘っているかたもいます。

でもみんな、少なくともいまこの瞬間は生きる選択をしている。そのことに私は安心感を覚えました。

あ、わたし生きていてもいいんだ。一人じゃないんだ。

この感覚になれたのは人生で初めての経験でした。それは、他人にはかけても、自分に対してはかけることができない言葉。これがパパゲーノ効果につながるのかな。

死にたい気持ちがありながらも生きていることがとても矛盾しているようで、生きている自分が後ろめたくて、でも死ぬ勇気は持てなくて。。そんなジレンマを抱えていた私にとって、このパパゲーノたちの存在は、私の存在を無条件で肯定してくれているようでした。

「特に理由はないけど、死にたい気持ちが消えない」と書かれている投稿に特に共感しました。

私の希死念慮は母親の精神疾患の影響があると以前の投稿で書きましたが、私の憶測なんです。なんで死にたい気持ちになったのかは私にもわからない。同じ家庭環境にいる姉はそう思っていないし、私だけ死にたいと思うのは私の心のどこかが異常なのかもしれないと思って自分を責めていました。

しかし、同じように理由もなく死にたいと思っているという方の投稿を読んで、自分だけではないと思うことができ、なんで自分ばっか、、、と無意味に責めるのはもうやめようと思いました。

パパゲーノから考える自殺報道

日本にマスメディアは自殺の話題が出るとしきりに「自殺してはいけない。死にたいと思ってはいけない」というメッセージを込めて報道します。

それを全く否定するわけではありません。でも、自殺について考えてしまうくらいに追い込まれている人もいれば、死にたい自分と折り合いをつけて生きている人も大勢います。そうした人たちの存在も認めて、そこから本質的な話をしていくことで、初めて自殺対策、自殺予防というものは考えていくと、社会がもっと優しくなりそう。

パパゲーノさんたち、ありがとう。

chiko.

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