短編小説「ごきげんな二人」【後編】
第3章ごきげんなグルメと友情7.ペンギン、天の川を渡る
「あのぅ、すみません。水族館はどちらですか」
東京の路地裏、彼は困った顔して佇んでいた。ペンギンだ。話し始めた子どもくらいの大きさだろうか、手には笹の葉と短冊を握りしめていた。相手にするにはあまりに奇妙な手合いに見える。
「悪いけど、水族館は…」
その時、隣の居酒屋から魚の焼けるいい香りがしてきた。あまりのいい香りに、僕の腹の虫がぐぅと鳴いた。ペンギンはというと、なんとなく塩らしげだ。
「お腹空いてる?」
恥ずか