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ケース24. 一貫性の原理〜理想を見失わないセルフコントロール〜

▶︎初志貫徹。理想を見失わずに前進するには?

企業組織は羅針盤としてビジョン/ミッションを掲げ、個人は羅針盤としてWILLを掲げる。
市場や組織が変化していく荒波の中で、理想を見失ったり、かけ離れてしまっていると悩んだことはないでしょうか?

経営の視点:
・市場の変化に適応しなければ自社の利益を守れない
・自社の変化をステークホルダーに納得させる必要がある

現場の視点:
・組織の変化に適応していかなければズレてしまう
・自分の理想の人生と組織の環境を照らし合わせる

ダーウィンは進化論の中で、「何が起こるかわからない世の中で、生き残るのは賢く強い生物ではなく、世の中の変化に適応できる生物だ」と説いてます。
さまざまな変化が起きていく中で、意志なく変化するのか、意志を持って変化するのか、変化に適応しないのか、その都度後悔のない行動選択を取れるかは自分次第。
今回は、変化の中でも理想を見失わない手段として、一貫性の原理という概念を用いたセルフコントロールを考察します。

▶︎一貫性の原理

人は自身の行動、発言、態度、信念などを一貫させたくなるとの心理。
アメリカの心理学者ロバート・b・チャルディーニ氏が提唱。


下記の2つの要因から一貫性の原理が生じるとされています。
①周囲の人から信頼されるため
①選択肢を絞り効率的に思考するため

「〇〇しなければならない」との思考が働くことから、セールスマーケティングの領域において応用されている概念ですが、WILLやMUSTと紐付けることで、「自分は〇〇を目指しているのだから」と目標管理や習慣づくりといった組織開発にも応用することができます。

それでは、理想に前進するセルフコントロールのために一貫性の原理を応用するには、どのような工夫ができるのでしょうか?

▶︎自分ならではのリーダーシップを描く

マッキンゼーでは、役割に関わらずに誰でも習得可能なメンタルセットとして、自ら理想を掲げ、旗を立てられるリーダーシップを重視しています。

そのリーダーシップの発達過程に関する研究において、リーダーシップを発揮していく段階では幅広い利害関係者と渉外を繰り返す必要があり、誰もが例外なく自分らしさから脱さなければならないシチュエーションに遭遇するとされています。

一貫性の原理から人は自分らしさに反した行動を取ると人はモヤモヤを感じて、身動きが取れなくなってしまうため、変化に意志を持って適応するには、自分の理想そのものをアップデートしていくことが重要です。
この際、答えを自分の中で探し続けると、過去の価値観で自己認識が強化されることに注意して、外部の視点を取り入れるための行動力と観察力を発揮しなければなりません。
その繰り返しで、自分らしいリーダーシップを発揮していくことで、グローバル企業で注目されているオーセンティック・リーダーシップが磨かれます。

自分ならではのリーダーシップをアップデートし、役割を演じて発信していくことで、理想像に対して一貫性の原理が作用されて羅針盤となり、変化の中でも意志を持って前進することができます。

目の前の偶然を主体的に吸収していくことで道が開けていくことが計画的偶発性理論によって示されています。
計画的偶発性理論に関する記事

田坂広志さんの著書『人は、誰もが「多重人格」』では、自分の中に様々な人格をつくり、置かれた状況や場面にどの人格で対応するのかを意識的に判断し、切り替えができることが仕事の成果にも、才能開花にも資すると説かれています。
一貫性の原理は過去の自分に囚われると足枷になり、未来の理想をアップデートすると道標となります。

▶︎誓いを立てる宣言

具体的かつ意欲を持てる目標を掲げることで曖昧な思考を防ぐことができるように、一貫性の原理を応用して周囲に公言、宣言することで原点を作ることができます。

自分の表現として文字に起こすことで脳に定着しやすくなり、発信することで周囲からリアクションを得られ、より目標に突き進みやすくなります。

人は所属する集団の中で成長が変わるとするピア効果を踏まえ、切磋琢磨できるきっかけをつくることも一貫性の原理と相乗効果を発揮すると考えられます。
ピア効果に関する記事

例えば、リブコンサルティングでは、全社員が日報アプリを活用し、日報を作成、閲覧可能とすることで、自己開示と相互理解、フィードバックの場を作っているとされています。

また、リンクアンドモチベーションでは、未来の自分への手紙を書く新入社員研修が行われています。

これらの事例のように、自らの理想を自ら誓って宣言した経験が、その後の荒波の中でも羅針盤となるため、宣言を意図的に発信していくことがセルフコントロールに有効です。

この際に、不可能なゴールは人を憂鬱にするが、難しいゴールは人を鼓舞することを意識することもポイントなります。

尾原和啓さんの著書『どこでも誰とでも働ける』では、「自分の中に神を作って、その神に対して宣言し続けることで自分を律するしかない」とするヒポクラテスの誓いを前提に下記のようにセルフコントロールの重要性が述べられています。

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人間は放っておくとラクなほうに流れてしまう生き物です。自分で自分にルールを課して自ら厳しく律しておかないと、すぐに手を抜いてしまい、アウトプットの質を一保てなくなる。だからこそ、自分で自分を縛るルールをつくる。それが結果として自分を救うことになるし、それによって仲間からも認められるのです。
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▶︎自ら羅針盤をつくる

企業組織を取り巻く市場環境が変化していく中で、組織は変化が必要になり、属する人も当然変化が必要になります。
その変化に対して、受動的では何のためにどこに向かっているのかを見失ってしまうため、主体的に羅針盤をつくることが重要なのではないでしょうか。

アリストテレスは下記の言葉を残しています。

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人間は、目標を追い求める生き物だ。
目標に向かい努力することによってのみ、人生が意味あるものとなる。
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※本noteでは、人の可能性を拓く組織づくりのための新しい気付きを届けることを目的に、組織論とケースを考察していきます。
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