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食欲、睡眠欲、それから会話

朝起きるのが苦手。6:30から5〜6分ごとにアラームとスヌーズが交互に鳴って、それでもどうしても起きられないみたいな毎日を送ってる。

でも、今日はシェアメイトの布教で最近ハマりつつあるBTSのMVを重い頭でぼーっとみた。そしたら、彼らのあまりの美しさと尊さに、ある瞬間でぱっと目が覚めた。イケメンの力は偉大である。

洗面所に行くと、ちょうどシェアメイトが歯を磨いているところだった。泡を口に溜めてハムスターみたい。昨日染めたばかりのくすんだピンクのショートボブが窓から差し込む白い朝の光に反射して綺麗。色白の彼女はいつもお手本みたいな水色のパジャマを着ていて、髪とのコントラストに思わずきゅんとした。ピンク、白、水色。本当はこういう何気ない日常をカメラに収めたい。

朝から「ねえねえあのね、BTSで起きれたよ」って話をして、ちょっとだけきゃっきゃする。電車の時間が迫ってきたので「いってきます」を云って、バタバタと階段を駆け降りる。駅に向かって走りながら「いってきます」や「おかえり」がある暮らしはよいものだとつくづく思う。

昨日友人が人間の三大欲求は食欲と睡眠欲と「ねえ今日あのね」だと呟いていていて、激しく同感した。


大学生で一人暮らししていた頃、友人宅に泊まりに行ったり来てもらったり、ひとりにならないためのシフトを埋める作業で大変だった。長期休みになると、いつでもどこでもすぐに泊まりにいけるように最低限の荷物を詰めたキャリーケースを常にころころ転がしていたことを思い出す。

今思えばキチガイだけど、そのときは切実だった。他愛もない話をする相手を求めて日夜問わずに彷徨っていた。ただ人と会話したいという、ささやかな欲求を満たすための行程(連絡する→日程合わせる→電車乗る→会う)が果てしなく、その不条理さに怒りと哀しみさえ抱いていた。

あの頃を思えば今の門司港での生活はだいぶ満ち足りていると思う。街を歩けば友人に出会い、家に帰れば「ねえ今日あのね」を報告できるシェアメイト達がいる。約束をせずとも会える人達がいるという安心感。思わず写真に残したくなるような瞬間や、うたかたのように消えていく会話。

愛しい日常が瞬きする間に過ぎ去ってしまうのが惜しくて、全て記憶と記録に残せればいいのにと思う。けれども、それは叶わないので、時々こうやって文章に残してみるわけです。

▽ホームレスのおいちゃんから学んだ日常的会話の大切さ


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