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本の虫になる。

やってはいけないことをやるとき、締め切りがせまっているのに、誘惑に負けて今じゃないことをやるとき。
ダメなのは分かってるのにやってしまう…至福ですなー。

誘惑に弱い

先日、本屋さんで本を買おうとうろついておりまして。
買う本は決めていませんでした。
買おうと思っていたのは実用書的なものだったり、まぁなんでしょう、自己啓発本(あくまでも易しいもの)だったりの、ちょっと自分を高められるものを考えていました。

本を片手にお昼ご飯を食べようと思っていたので、そこまで前のめりにならずに読める本。そして片手で持てる文庫本サイズのものを考えていました。

書棚を縫うように、私に合う本を品定めておりました(言い方が高飛車)。

棚に縦置きに整列している本の背表紙をするっと眺めながら、なんとなく店内一周。なんとなくそわそわする時間。気になるタイトルあるかな…。
その次に、平置きで積み上げている新刊や本屋さん推しのコーナーに向かいます。

どうでもいいマイルール

この順番、間違えてはならぬのです。
まず平積みされているものを先に見ちゃうと、きっとそこで試合は終了。
なぜならそこは手書きポップやそそる仕掛けがあって、ミーハーな私は必ず欲しくなっちゃうから。
だから掘り出し物?をひととおり眺めてから、あらやっぱりこちらが良いワ、という感じで平積みコーナーで本を手に取る。というのが、私の中では納得のいく選び方です。うん。どーでもいいか。

そして平積みコーナーに足を向けると…

見つけちゃった。やっぱりあった、手を伸ばしてしまうその本が。

仕方ない。欲しい。しかも2冊もある。
どうしよう、、

苦渋の決断

ひとつは「狐花 葉不見冥府路行(きつねばな はもみずにあのよのみちゆき)」
もうひとつは「病葉草子(わくらばぞうし)」

どちらも京極夏彦先生の比較的新しい作品。
どど、どうしよ!

並みの本なら迷わず2冊買いますが、京極さんの書籍はどれもこれも分厚いのです。ご存じの方も多いでしょうね。
気軽に持ち歩けませぬ、ぬぬぬ。

でも読みたい。大好きな京極さんの本。読みながらランチ食べたい。
よし…買う。どっちかを。

「狐花」は歌舞伎舞台用に書き下ろされたようでして、内容的に気軽さがちょっとね。腰を据えて読みたい。のめり込みたい。
「病葉草子」は江戸時代末期の貧乏長屋が舞台の短編集。いいですね、短編集。巷説百物語に連なるって書かれてるし。でもこっちのが分厚い。ふーむ。分厚いけど設定が好みっぽい。時代劇が好きなもんで。

ということで、「病葉草子」をお買い上げしました。やったね♡

小さな幸せに弱いうっかり者

美味しそうなフィットチーネとともに。ホワイトソースで助かった。

さっそく待望の「食べながら読み」をやっちゃいました。お行儀悪ー。
でもいいんだ。だって京極さんの本だし。寸暇を惜しんで読みたいじゃん!

そして案の定、本の上にすぐこぼす。やや、やってしまった。慌てて拭き取るが油染みがとれませぬ。
気にしていても始まらない、気が急くので先に進もう。

うん、やっぱりおもしろい。陰惨な事件や困った出来事を、登場人物の学者が「虫」のせいにして謎解き無害化する。起きている事象は変わらないけど、学者先生の解釈により、哀れな人たちが救われていく…という感じ。登場人物の軽妙な語り口、登場人物のキャラの濃ゆさ、状況が目に浮かぶような表現…。まるでとなり町でたった今起きているかのよう。すべて京極ワールドです。

京極さんの長編も好きです。時間が山ほどあるなら読みたい。あの焦らすようなくどい伏線がたまらんです。きっとその先に全部回収してくれるんですよね、そうですよねと、じりじり思いながら読み進めて大団円。気持ちよす。私Mっ気あるんかと思うくらい焦らされたい。

ひとまずパスタを食べ終え、やっと両手で本を持ちながら読むことができるようになりました。
食事中は片手であの分厚い本を支えるのは苦しかったー。

ふと気付けば14時前。え!時計2度見しました。14:30から子の参観日。そのために午後から休暇を取ったのに!やばい、間に合わん。はよ帰らんと!倍速で帰路につきました。

そうして学校に到着したのは14:45。もう授業はほぼ終わり。し、しまった。子供よ、ごめんなさい。

激走の読書を終えて

500ページの書籍。翌日夕方には読み終えておりました。
日々雑事に追われ、かなわなかったはずの読書に没頭する時間。
ずっとしたかった贅沢な時間です。満足、満足。

翌日はモーニングで。
メープルシロップをこぼさないように…
切り刻まれたフレンチトースト。
これで片手で食べられる!

本を読むくらいならきっといつでもできるんでしょうが、敢えてしなかったのは、京極さんの本には他のことが手につかないほどのめり込ませる魅力(魔力?)があるから。登場人物に入り込み過ぎてしまいます。
姑獲鳥の夏を読んだ後はやばかった…。

結果的にそうなっちゃったんですが、今回はそれでまぁいいかと。笑いも多くて軽い感じだったので。

そして、参観日という有給休暇のきっかけを与えてくれた子供にも感謝を。
本人は何も知らないし知ってもなんのこっちゃですけど。笑

読み終わってしまった。
満足感と寂しさが混ざり合う。

それではもう一度アタマから読み直すとしましょう。
先を急ぎ過ぎて雑に読んでしまいました。
今度はじっくりと味わうように丁寧に、京極ワールドを歩きつくすように。

     *    *    *

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は読書で感じたちいさな幸せをお届けしました。

みなさまに幸せが訪れますように!


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