#3-2 どうやって「氷艶〜月光かりの如く〜」という異種格闘技を演出したのか? 〜キャスト・配役編〜
「前回は、高橋さんのことを色々聞きましたが、他のスケーターはどうだったんですか? 荒川さんたちもセリフを言ってましたよね」
[おさらい] 主なスケーターは、光源氏/髙橋大輔、朱雀君(後の朱雀帝)/ステファン・ランビエル、弘徽殿女御/荒川静香、紫の上/ユリア・リプニツカヤ、朧月夜/鈴木明子、陰陽師/織田信成、咲風/村上佳菜子 ほか
母性そのもの、荒川静香
長道を使っているようで、利用されている弘徽殿。長道は、弘徽殿を利用してでも権力を持ちたいのだ。我が子、朱雀の君を愛すがゆえ、客観性を無くしている弘徽殿は、桐壺が子どもを産んだことによって自分の立場に不安を抱いていてた。原作にはないが、長道の画策で、桐壺を殺すために陰陽師を取り入れたりする。長道が調子に乗りすぎると、断固拒否をするのは、もともと悪巧みをするつもりがなく、子どもを愛すがゆえ、息子をなんとかしたかったという正直な母親なのだ。
「ホテルの朝食の時、背中越しにお母さんの声が聞こえたんだ。『これ食べたほうがいいよ、美味しいよー』と子供を優しく導いている声が。素敵なお母さんだなと思って振り返ったら、なんと荒川さんだった。
自己鍛錬する稽古での荒川さんとは、違った一面だった。
で、ふと思い出したんだ、稽古始めた頃に荒川さんが言ってきた言葉を」
「子どもの悩みですか?」
「いや、荒川さんはすでに本を読み込んでいて『私の役は子供を真剣に愛しすぎたからの行動ですよね』その通りで弘徽殿という役は単なる悪役じゃない、御所で帝に愛されず孤独に生きている彼女だから、唯一の帝との間でできた息子への想いが支えだから、もっと息子を幸せにしたいと必死になってしまうんだ。実は息子である朱雀が母殺しをしてしまうと台本をいじったのは僕でね、今までない設定を入れ込んだんだ」
「あのシーンには驚いたな。民謡コーラスが高鳴って、荒川さんが神業のイナバウアーしてましたね」
「切ないだろ。荒川さんはあのシーンを気に入ってくれた。でも、問題はセリフだった」
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