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2020年2月 サラワク帰省まとめ中編 日本食への反応

先月のサラワク渡航のまとめ話、中編です。

前編はこちら↓からリンクへ飛んでご覧ください。

前編でも触れましたが、今回サラワクを訪ねたメインの目的は収穫作業の手伝いでした。

しかし、前回(2017年)の滞在経験から必ずしも収穫に関わるだけでなく、食事作りなど家事をするだけでもいくらかは手伝いになると知りました。

(収穫作業に慣れている人が家へ戻って家事をする手間が省けるため。)

そこで基本的に食事の用意は積極的に行いました。

とは言え、滞在地にスーパーのような生鮮食品を販売しているお店は一切ありません。完全に山の中です。

村で生活をする人は、自分で畑や道端や森から食べられるものをとってきて、調理しておかずにします。

だから私のようなペーペーは、そもそも辺りにあるもののうち一体どれが食べられるものなのか、そしてどう調理するかがわからないものだらけです。

そこで今回は「なるべく自分の力で調理できるもので皆の食事を用意する」「いつも同じものを食べている皆に、日本食を出してみる」という点にフォーカスを当ててメニューを考えました。

このnoteでは作ってみた料理とその反応についてまとめます。

さて、メニューの紹介前にもう少し滞在先の情報を加えましょう。

滞在先の住環境

環境:農作業用の家@山の中

電気:固定電源なし。小型ソーラーパネル(豆電球の使用や携帯、ランプの充電が可能)または自家発電機を稼働させればその間は電気あり。小型の冷蔵庫あり(獲物がとれた時など必要な時だけ使用。夕方~夜間の数時間だけ使用して、日中は使用しないのがデフォルト)

燃料:薪またはガスコンロ(プロパンガスの持ち込みにより使用可能。ご飯や大量に作る揚げ物(魚・猪肉・キャッサバ芋のスナックなど)は薪を使用、通常のおかずや汁物はガスを使用)

上水:小川から引いた山の水

下水:パイプで家屋から離れた場所へ垂れ流し

食材:野菜の栽培、森から採集、または街から持参

調理器具:中華鍋、釜、スープ用丸鍋、フライ返しやお玉、木べらなどの調理器具や食器あり

調味料:塩、砂糖、味の素、植物油、イノシシの脂肪からとった油Soya Sos(大豆ベースのソース)、胡椒など

イメージ画像↓

食事をしていた出づくり小屋の内部です。ここが共用のリビングスペース。右手に暖炉があり、背面にキッチンなどの水回りがあります。正面奥にガスコンロの台があります。

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さて、こんな自然の中の生活に放り出された場合、まず私に何が起こるかといいますと。ご飯ひとつ炊くだけでも、

・ガスで炊くのか薪で炊くのか

・米の種類が沢山あるけど一体どれを炊くのか(犬用の米とかもち米とか香り米とか、新米とか古米とか…保管容器がずらっと並んでます)

・日々変わる人数(若者が狩りでいなくなったりよその人が突然やってきておよばれしたりする)という条件に対して一体何合の米を炊くか。(余ったら次の食事で食べられます。ダメになったら犬のご飯になります。)

・炊く時の水の分量はどのくらいか

・何分、薪何本分炊いたらよいのか。

・火力はどのくらいをキープしたらいいのか

・吹いたらかき混ぜるのか、混ぜないのか(家庭によって違う)

がわかりません。

ではおかずの調理ならばどうなのかというと、

・家の周りにある植物のうち、一体どれが食べられるものなのか?

・その植物のどこが一体可食部なのか(葉?茎?花弁?雄しべ?根?種子?新芽?果実?)

・それは食べごろなのかそうでないのか

・どうやって調理するのか(下処理がいるのか?どう切るのか?茹でか炒めか潰すか…)

・どの程度調理時間がかかるのか(長時間火にかけるもの?)

・味付けはどうするのか

と、日本では見たこともない植物(野菜)に囲まれており、これまた教えてもらいながらでないと本当に何もできません。

2017年の滞在では、畑で栽培されている野菜を中心に超基本的な野菜の調理法を習得しました。

しかし!

一番簡単に採取できる野菜ばかり頻繁に作っていたので、1週間で畑を禿げ山のようにしてしまいました(野菜の成長スピードや長期スパンでのローテーションを考えなかったため…)

その時、「自分が村に滞在している間に今生えている野菜を使えるだけ使ったら、自分が村を出る時に残った人が作るおかずがなくなるじゃん」と思ったのが今回の調理モチベーション「自分で用意して自力で作る」にも繋がっています。

普段の食事(おかず)紹介

・スタンダードは「ご飯プラス汁物1品、おかず2~3品」

・野菜は基本炒め料理。味付けに使用するのは「塩・味の素」、どの炒め物でもベースになる食材は「食用油、ニンニク、エシャロット、イカンビリス」

・肉の炒め物の場合は上記に加えて「sos masin」「soya sos」など、大豆ベースのソースを加える。(日本の照り焼きのようなイメージ)

・スープは肉・魚・野菜問わず塩味ベース

猪肉や魚は保存目的でまるっと揚げ物(ディープフライ)になる

・イノシシの頭部など大きな塊肉がある時は燻製または発酵食品にして食べる。

・まれに大きな魚がとれた時は蒸し料理が出てくる。(調理が面倒だからと実は滅多に作られない)

インスタント麺はどの家庭でも常備していることが多く、小腹がすいた時や子供のおやつに食べられる。

以下、数枚ご飯の写真を載せます。

だいたいどの家でもこんな感じでご飯を食べています。

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今まで使用してきたものを使って同じように調理する。

味付けは塩と味の素。時々ソイソース。食材の味が変わる以外に、目立った味の変化がないように思います。

2017年滞在時に作った料理への反応

ちなみに2017年の滞在時にも、ポテトサラダトマト入り卵の中華炒めを作って様子を見たことがあります。

滞在している家庭が割と保守的・なご夫婦であったこともあり、なんとどちらもほとんど食べてもらえませんでした!

「これは芋、これは卵だよ」と言ったら、二人ともスプーンに少しだけとって食べてくれましたが、特に感想はなし…ザ・無言

その時村にいた彼らの20代の息子とその友達、よその家の陽気なおじいさんがたまたまおよばれに来ていたんですが、その人たちは食べてくれました。

ヤングボーイズは無言でむしゃむしゃ、おじいさんはポテサラを「ん?こりゃなんだ、いやおいしいじゃないかハハハ」といって食べてくれました。なので味にそこまで問題はなかったと思いますが。。。

サラワクのというとキャッサバ(俗にタピオカと言われるやつ)かヤム芋(里芋)がメインなので、ジャガイモを食べ慣れていなかったのかなと思います。

またはキャッサバ芋はすりつぶす場合は砂糖と混ぜて揚げてスナックになるし、マッシュされたじゃがいもはおかずには見えなかったとか…?それともベースに使ったマヨネーズは村ではほぼ使わないので、単に訝しんだとか?

(勝手な自己分析です)

そしてポテサラは常温保管が厳しいですよね。その時にがっつり残った分は、もれなく犬の餌に回されました。

こうして第1回Amoi Japan日本食チャレンジは終了…。

今回第2回に挑戦するにあたり、以前の反省を踏まえメニューを考えた際に気を付けたことがあります。

・奇抜すぎないもの(見てメイン材料が何かわかるものを作る)

・香辛料控えめのもの(滞在先のお母さんが辛い物ダメなので。トマトの中華炒めは赤いソースを見て「これ何か辛いものじゃないの?」と警戒されて食べなかったらしい。)

・わかりやすい味のもの(味噌汁やだし巻き卵よりも照り焼き!生姜焼き!のようなガツンと系のおかず)

さてそれではいよいよ!メニューの紹介です。

今回作ったもの

1、鶏のからあげ(醤油、ショウガ、ニンニクベース)

2、日本式カレー(人参、じゃがいも、玉ねぎ、しめじ)

3、こんにゃくのおかか炒め(2回)

4、ブロッコリーにんにく炒め

5、味噌汁(A:人参、玉ねぎ、卵。B:煮干し、昆布、玉ねぎ)

6、リンゴのコンポート

7、コンビーフと玉ねぎ炒め

8、ササゲ豆醤油炒め

9、照り焼きソース使用野菜炒め(人参、しめじ、キャベツ、玉ねぎ)

10、ツナとキャベツの炒め物


そして結果詳細は下記の表をご覧ください。

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大きく分けて2家族の人達と生活していました。その時々で人によって一緒に食事をしたりしなかったりという感じです。

-:その料理が出た食事に同席していない
X:食べなかった
O:食べた
不明:食べるタイミングがずれていたので不明

総評としては

・45歳女性が何も言わずなんでも食べてくれる(とても嬉しい)
・27歳男性、割と食べてくれる印象だが家にいないことが多く不明が多い
・20歳女性、警戒してるのか全然食べてくれない(笑)
・6歳男の子、味噌汁飲んでくれて嬉しい
・家族Bが比較的食べてくれるが、家族Aは警戒気味

1品ずつレポートします。

1、 鶏のからあげ
これは今回試したメニューで一番食べてもらえました。食事中、食後にリアクションは全く無かったんですが、皆黙々と食べてくれました。揚げている最中に「うーん、いいにおい」と言ってくれた人(30歳女性)がいたので、これはクニャの人にも伝わる味のようです。よかった!

2、 日本式カレー
これはにおいとは別に、やはり見た目からちょっと警戒されましたね…。「これは何?」「日本スタイルのカレー」「中は野菜だよ」と言ったものの、手を付けない人は全くつけてくれなかった…。最終的には作った分は全部食べてもらえたのでよかった。
今回はいいタイミングで肉が手に入らなかったのだが、肉アリにしたらもっと食べてもらえるかもしれない。皆たんぱく質はおかずとして好んで食べるので。

3、 こんにゃくのおかか炒め
こんにゃくは常温でけっこう日持ちしたのが意外。2日目も大丈夫そうでした。濃口醤油でしっかり煮たからだろうか。今回作った中では怪しい食材No.1だったかもしれない。「日本のイモだよ」と言ったのだけど、あまり食べてもらえず。「今はお腹いっぱいだから、夕食で食べるね」とか言われたので温めなおして夕食に出したりもしたが、スルーされてしまったり。「時間が経っていて食べるのが不安なのかな?」と思い、日をあけて2回ほど作ったが、あまり食べてもらえず!45歳女性だけパクパク食べてくれた(優しい、そして嬉しい)。

4、ブロッコリーにんにく炒め
これは見た目でわかる食べ物、さらにはにんにく炒めにしたので食欲を誘う香りになり、割と皆にぱくぱく食べてもらえた。

5、味噌汁(A:人参、玉ねぎ、卵。B:煮干し、昆布、玉ねぎ)
Aは45歳女性と2人だけの食事の時に出した。最初に怪訝な顔をしていた。少し飲んだ後に「どう?」と聞いたら、「トンポヤ*みたいな味がする」と言っていました。味噌も発酵食品なので、ドリアンの発酵臭にも繋がる発酵臭があり、そしてそれがわかるんだな!と少しだけ感動。

*ドリアンを発酵させた調味料Tempoyakのこと。

またこの45歳女性、味噌汁がダメになりかけていてこれはもう処分かな、と思った時に「火にかけて(食卓に)出そう、私が食べるから」と言ってくれた。好きだったのか単にもったいなくてなのかはわからないが、大切に食べてくれるその心が嬉しかった。
6歳の子供(←好き嫌い多い)も食べてくれたのには驚いた。その時の食卓には実は汁物がこの味噌汁しかなく、彼が「スープ欲しい!」と言って大人がよそっていた。「変な味がする~!」など言って騒がれたどうしようかとドキドキしたが、特に何も言わずに食べてくれてほっと胸をなでおろした。

6、リンゴのコンポート
農作業から帰ってきた時に、お茶請けになるかと思って今回作ることを決定。私はワインを少し入れたりするのだが、サラワクでは手に入らなかったので、ただのみりん煮になった。
マレーシア人甘い物好きだし、これは好きだろ~!と思ったが、結果「甘すぎ」と大不評。なんてこった!普段の飲み物が「砂糖と練乳入りコーヒー」の人達に言われたくないぞ~!などと思いつつ、あまりウケなかったので次のデザートを考えたい。
以前に日本の空港で売られている「いちごのクッキー」を持参した時も、「甘すぎ」と言われ人気がなかったのを覚えている。慣れなのか、彼らとしてはスナックは甘さ控えめ、飲みのは甘いのがスタンダードなんだろうか。

7、コンビーフと玉ねぎ炒め
「コンビーフだよ」と言ったら比較的食べてもらえた。しかしKLでよく食べるブランドのコンビーフが見当たらず、今回サラワクで購入したブランドのコンビーフはあまり美味しくなかったのでちょっと残念。添加物か何かが入っている?牛肉感が薄く、ハムのような白身寄りのテイストだった。そのせいであまり美味しそうに見えなかったかも。

8、ササゲ豆醤油炒め
これは村の生活でも身近な野菜なので、問題なし。醤油の味付けにしたが、普通に食べてもらえた。ササゲ豆は太さによって長さを変えて切ることが美味しさと食感に直結する。卵と炒めるのが美味しい。

9、照り焼きソース使用野菜炒め(人参、しめじ、キャベツ、玉ねぎ)
予想外に野菜炒めが家族Aに人気。村では採れない野菜を使ったからだろうか。それとも、6歳の子が人参好きでバクバク食べたので、大人もそれを見て安心して箸をつけたのかもしれない。
さらにはこの6歳、しめじをみて「何これー、オレ食べたくない」とか言って隣の人の皿に移したのには驚き笑った。たしかにマレーシアで買うしめじって中国か日本からの輸入もの。村で食べるキノコ類はヒラタケの笠の部分だけのような、ビロビロしたものが主なので、日本人が想像するようなキノコの概念がなかったのかもしれない…。興味深い。

10、ツナとキャベツの炒め物
これまた、サラワクで買ったツナ缶が予想外にツナっぽくなかった残念系!フレーク状のツナをイメージし、キャベツと炒めてご飯の進むおかずにする計画だった。しかしツナが油に溶けていて、フレークではなくなんだかペースト状になっていた。結果キャベツの合間にちらばるツナ、ではなくキャベツにまとわりつく白っぽいペースト?のようなべちゃべちゃとした見た目になってしまった。見た目から魅力半減になってしまった。キャベツは見た目でわかるので、ぽつ、ぽつと食べられていた。

次回の計画とまとめ

以上、いかがでしたでしょうか?

前回に比べ、今回は幾分戦略的にメニューを考えたこともあり、手ごたえなり反省なり得るものが多かったように思います。

口には出さずとも、村で食べる日本食(日本の味)を少しでも楽しんでもらえていたらいいな、と私は思うばかりです。

また、タイミングが合わず食べてもらえなかった人や料理もいくつかあります。ウケのよかったメニューは今後も作って、こっそり彼らのお気に入りの味を見つけていきたいです。

以下は第3回の挑戦に向けたメモです。

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・鶏の唐揚げはウケたので、今後も作る。イノシシとか鹿とか、タイミングで手に入る肉が異なるのでどの肉と合うのかも地道に作って比べてみたい。

・鶏の締め方習って自分で鶏肉を切り分けて唐揚げにしてみたい(願望)

・お好み焼きやパンケーキなどの粉ものを作ってみたい気持ちがある。しかし彼らにとっての食事はイコール「米を食べること」の部分が大きいので、作るタイミングがまだ図れない気持ち。あと平らなフライパンがないので、作るなら買って持参しないといけない。

・デザートは再考。白玉とかきな粉餅とか、日本のものかつ昔っぽいお菓子を作ってみたい気持ちはある。

・味噌汁、今回は全体的にだしがあまり効いていなかった。彼らのおかずはガツンと塩辛いので、それに負けていたようにも感じる。イノシシが取れた時にでも、たっぷり野菜と合わせて豚汁みたいに「兼おかず」の汁にしたらウケるかも?

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以上で中編は終わりです。「これなんかどうよ?」というおすすめメニューがありましたら、noteのコメントかTwitterにてぜひお声掛けください。

検討リストに追加します。

そして次回、帰省のお話最終回!

後編「サラワクの自然とその中でのクニャの生活」についてです。

お楽しみに~!


トップ画像:トーチジンジャーの花。可食部は雄しべ。花弁をめくり、雄しべを一つ一つとりわけた後炒めて食べる。ショウガ系だけあって、香りが高くて美味しい。日本でいうミョウガのような気持ち。自然の青空トイレでたまたま目にして驚いたのだが、雄しべの外観はほとんど消化されずにそのまま排出されていた(個人的発見)。


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Amoi Japan
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