職場に毎日必ず現れる知らないおじいさんをどうにかして追い出したい話
わたしは病院の厨房で働いている。シフト制なので出勤時間がその日によって違うのだが、世の中で日勤帯と呼ばれている時間帯に出勤すると毎回必ず院内で遭遇する知らないおじいさんがいる。
おじいさんは病院に用事があるわけではなさそうだ。何歳なんだか知らないが、老人のわりに背筋は伸びているし、杖を使わず自分で歩くことができる。認知機能に問題があるわけでもなさそうで、なぜか必ず毎日現れる。土日祝日だろうが天候が荒れていようが必ず、いる。そして特に何をするわけでもなく通路の近くに立って、わたしのような病院職員が出勤するのをじっと見つめてくるのだ。ならそこを避ければいいのではとも思うが、おじいさんが立っている付近の通路はどうしても通らなければならず、別ルートで出勤して出会わないようにすることができない。受診しに来た人で混んでいる時間帯なら素通りできるが、わたしが出勤する時間帯はまだ誰もいないためどうしても一対一で遭遇してしまう。いい大人がまさか無視するわけにもいかないので、一応挨拶して早歩きで過ぎ去るようにしているが、正直ちょっとストレスである。目立つような言動や迷惑行為でもしていたら守衛さんにつまみ出してもらえるだろうが、おじいさんはただ立っているだけである。追い出すための理由がない。
職場のパートさんいわく、日によっては開店して間もないスーパーにも出没して店員さんに話しかけたりしているらしい。だったらはじめからスーパーに行けばいいのに。理解できない。ああストレス。ただ立っているだけのおじいさんに何でこんなにもやもやするんだろう。病院に暇潰しに来ているところとか、若くてかわいい人にはしっかり話しかけているところとかだろうか。
おじいさんの病院通いはしばらく続きそうである。