「ボレロ」裁判の控訴:France Musiqueの記事
ラヴェルの相続人ら vs SACEM:司法闘争は続く
モーリス・ラヴェルと舞台美術家アレクサンドル・ブノワの相続人たちは、昨年6月に下された判決に不服を申し立て、控訴しました。彼らは「ボレロ」を共同制作の作品として認めるよう求めており、これが認められれば著作権保護期間を延長することが可能になります。
争いはまだ終わらない
ラヴェルとブノワの相続人たちは、昨年6月にナンテール司法裁判所が下した判決を不服として控訴すると、フィガロ紙が報じました。この判決では、ラヴェルが名高い「ボレロ」の唯一の作者であると認定され、同作品は2016年にパブリックドメインとなっています。控訴がこれほど遅れた理由について、フィガロ紙は、昨夏の時点で裁判所が執行命令を関係各所に送る時間がなく、さらに関係する企業の多くが国外に拠点を置いていたため、控訴手続きの翻訳が必要だったと説明しています。
相続人たちが求めているのは一貫して同じです。「ボレロ」を「共同制作の作品」として認め、著作権保護期間を2039年まで延長すること、さらには最初の振付家であるブロニスラヴァ・ニジンスカの死亡日を考慮すれば、2051年まで延長される可能性もあるとしています。SACEM(フランス音楽著作権管理団体)の弁護士ジョゼ=アンヌ・ベナゼラフ氏によれば、かつて年間数百万ユーロを生み出したこの作品の著作権収益は、2011年から2016年の間では平均して年間13万5507ユーロに達していました。
激しい法廷闘争
2024年2月に行われた裁判は激しい対立の場となりました。ラヴェルの相続人側の弁護士たちは、SACEMを「不透明で偏った組織」と非難し、「恐るべき権威を振るい、都合の良い時だけ作者を決めている」と主張しました。特に「ボレロ」に関しては、SACEMが発表した動画や声明などで、同作品がパブリックドメインとなったことを喜ぶ内容が問題視されました。相続人たちは、「ボレロ」はラヴェルだけでなく、振付家のニジンスカや舞台美術家のブノワも不可分の役割を果たした「共同制作作品」であると主張しました。さらにSACEMが「ニジンスカを消し去ろうとした」と非難し、Wikipediaの「ボレロ」のページを改ざんしたとまで述べました。
これに対して、SACEM側は「法廷に虚偽を持ち込むべきではない」と反論。「ラヴェル自身が『ボレロは自分の作品』であると一貫して主張していた」と述べ、彼が繰り返し「私のボレロ」と記していた事実を挙げました。また、ラヴェルの相続人たちが「極端な貪欲さ」に基づき、租税回避やペーパーカンパニーの設立、「新たな仲間たちとの裏取引」を行っていたとも非難しました。SACEMによれば、ニジンスカの振付は「作品から切り離せる」ものであり、ブノワの舞台装置や衣装も同様に付随的な要素に過ぎないと主張しました。
最終的に、ラヴェル唯一の法定相続人であるエヴリーヌ・ペン・ド・カステル氏は、著作者人格権の濫用について象徴的な1ユーロの賠償金をSACEMに支払うよう命じられました。しかし、この控訴により、「ボレロ」をめぐる法廷闘争はさらに続いていく見込みです。
【参考note】