日本モーリス・ラヴェル友の会

フランスの協会、モーリス・ラヴェル友の会 Les Amis de Maurice Ravelの日本の通信員。協会の活動やラヴェルに関する様々な情報を各種SNSで発信しています。(中の人)は近代フランス音楽愛好家。2010年東京→2022年金沢へ移住

日本モーリス・ラヴェル友の会

フランスの協会、モーリス・ラヴェル友の会 Les Amis de Maurice Ravelの日本の通信員。協会の活動やラヴェルに関する様々な情報を各種SNSで発信しています。(中の人)は近代フランス音楽愛好家。2010年東京→2022年金沢へ移住

マガジン

  • ドキュメンタリー《誰がラヴェルのボレロを盗んだのか》

    日本モーリス・ラヴェル友の会では2016年5月よりフランス国内で報じられてきましたラヴェルの著作権や遺産問題について折に触れてきましたが、その時期、フランスのテレビ局やインターネット上で公開されましたドキュメンタリー映像《Qui a volé le Boléro de Ravel ?》(誰がラヴェルのボレロを盗んだのか)の監督であるファビアン・コー=ラール氏とコンタクトを取り、この映像作品の日本語訳の翻訳権を得て、2017年から2018年にかけて連載企画として当友の会Facebookページにて台本を掲載しました。 今年2月にフランスで「ボレロ」裁判が始まったことを受けて、改めてラヴェルの著作権・遺産問題を振り返るために、こちらnoteにて再掲いたしました。1928年から2016年まで約10年間おきに9章のエピソードでまとめています。

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フランスの裁判所判決:モーリス・ラヴェルは『ボレロ』の唯一の著作者

フランス・ナンテールの司法裁判所は2024年6月28日金曜日、モーリス・ラヴェルが世界で最も有名なクラシック音楽作品の一つ『ボレロ』の唯一の著作者であるとの判決を下しました。 (関連記事:「ボレロ」裁判始まる—— ミステリのような"麗しき"事件  日本モーリス・ラヴェル友の会 note、2024年2月14日付) この訴訟は『ボレロ』1928年初演時にバレエの舞台美術・衣装を担当したアレクサンドル・ブノワ(1870-1960)の遺産相続人側がフランスの音楽著作権管理団体 S

    • モーリス・ラヴェルのマスタークラス #1

      作曲家モーリス・ラヴェルが自身の作品について解説した、唯一知られているマスタークラスの記録を掲載した音楽誌が残されています。フランスの協会モーリス・ラヴェル友の会による注釈を交えて、その内容をシリーズで紹介いたします。楽譜には記載されていないラヴェルの貴重な音楽解釈を学ぶことができるでしょう。 エコール・ノルマル音楽院 モーリス・ラヴェル氏による演奏解釈の講義(マスタークラス) 1925年6月12日・15日・19日 出典:ル・モンド・ミュジカル 第13-14号、1925年

      • ヴァイオリニスト郷古廉/ピアニスト三浦謙司 金沢でのリサイタルレビュー

        きょうは金沢でも途轍もなく素晴らしいヴァイオリン・リサイタルを聴くことができました。 石川県立音楽堂 リサイタル・シリーズVol.4  異国の地からの響き 2024年10月5日(土)14時開演 石川県立音楽堂コンサートホール [プログラム] ファリャ:7つのスペイン民謡 パウル・コハンスキ編曲 プーランク:ヴァイオリン・ソナタ 1949年改訂版 武満徹:妖精の距離 ストラヴィンスキー:ディヴェルティメント「妖精の口づけ」より ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ ト長調 [アン

        • ラヴェル『ボレロ』のテンポは♩=66、そしてトスカニーニ事件…

          ラヴェルの人気曲『ボレロ』は、三拍子で小太鼓が一定のリズムを刻み、テンポも変わらず進む音楽です。初演後に出版されてきましたデュラン社のスコアは、現在テンポはメトロノーム記号♩=72 として表記されています。 しかしこのテンポには紆余曲折があります。 ラヴェルがダンサーのイダ・ルビンシュタインの委嘱のもと作曲し彼女のバレエ団の演奏用に書いた自筆譜(1928年、アメリカ・ニューヨーク、モーガン図書館・博物館所蔵 ロバート・オウェン・レーマン・コレクション)には、具体的なテンポ

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        フランスの裁判所判決:モーリス・ラヴェルは『ボレロ』の唯一の著作者

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        • ドキュメンタリー《誰がラヴェルのボレロを盗んだのか》
          9本

        記事

          ドキュメンタリー《誰がラヴェルのボレロを盗んだのか》日本語訳台本 エピソード9「《ボレロ》を愉しむ」

          日本モーリス・ラヴェル友の会では2016年5月よりフランス国内で報じられてきましたラヴェルの著作権や遺産問題について折に触れてきましたが、その時期、フランスのテレビ局やインターネット上で公開されましたドキュメンタリー映像《Qui a volé le Boléro de Ravel ?》(誰がラヴェルのボレロを盗んだのか)の監督であるファビアン・コー=ラール氏とコンタクトを取り、この映像作品の9章のエピソードの日本語訳の翻訳権を得て、2017年から2018年にかけて連載企画とし

          ドキュメンタリー《誰がラヴェルのボレロを盗んだのか》日本語訳台本 エピソード9「《ボレロ》を愉しむ」

          ラヴェルの弦楽四重奏曲の成立過程

          モーリス・ラヴェルの弦楽四重奏曲は、初版が1905年2月以降のアストリュク版で、ここまでにもラヴェル自身が何度も校正に携わり、さらに1910年のデュラン版によって改訂されたものが定本となっています。1910年版楽譜表紙には “Nouvelle Édition revue par l’Auteur” (作曲家よる新訂版)と書かれています。 この弦楽四重奏曲に関する興味深い情報源として、ロチェスター大学に保存されているアストリュク版のラヴェルが手を入れた2つの校正刷りがあります

          ラヴェルの弦楽四重奏曲の成立過程

          ラヴェル『ボレロ』裁判の判決を受けて、SACEMフランス音楽著作権管理団体のプレスリリース

          『ボレロ』の著作権延長を求めた裁判において、6月28日にフランス・ナンテールの司法裁判所の判決を受けて、フランスの音楽著作権管理団体のSACEM (Société des auteurs, compositeurs et éditeurs de musique) はプレスリリースを翌日発表しました。下記、ラヴェル友の会の拙訳にてご紹介します。 [裁判のおさらい] SACEMは『ボレロ』の著作権に関するナンテール司法裁判所の判決を歓迎 2024年6月29日土曜日 SAC

          ラヴェル『ボレロ』裁判の判決を受けて、SACEMフランス音楽著作権管理団体のプレスリリース

          ドキュメンタリー《誰がラヴェルのボレロを盗んだのか》日本語訳台本 エピソード8「過去の秘密」

          日本モーリス・ラヴェル友の会では2016年5月よりフランス国内で報じられてきましたラヴェルの著作権や遺産問題について折に触れてきましたが、その時期、フランスのテレビ局やインターネット上で公開されましたドキュメンタリー映像《Qui a volé le Boléro de Ravel ?》(誰がラヴェルのボレロを盗んだのか)の監督であるファビアン・コー=ラール氏とコンタクトを取り、この映像作品の9章のエピソードの日本語訳の翻訳権を得て、2017年から2018年にかけて連載企画とし

          ドキュメンタリー《誰がラヴェルのボレロを盗んだのか》日本語訳台本 エピソード8「過去の秘密」

          ラヴェルの弦楽四重奏曲、音楽評論家ピエール・ラロによる痛烈批判

          今年8月より日本で全国上映されます、モーリス・ラヴェルの映画『ボレロ 永遠の旋律』(監督アンヌ・フォンテーヌ、主演ラファエル・ペルソナ、配給GAGA)では、ラヴェルの作品に対して批判的だった音楽評論家ピエール・ラロ(1866-1943, 作曲家エドゥアール・ラロの息子)が登場する(ピアニストのアレクサンドル・タローが演じます!)そうですが、彼がどのように批判をしていたか一つの記事を紹介します。 ⁂⁂⁂ 国民音楽協会はここ数か月、多くの新作を演奏してきた。それがこの協会の慣

          ラヴェルの弦楽四重奏曲、音楽評論家ピエール・ラロによる痛烈批判

          モーリス・ラヴェルの映画『ボレロ 永遠の旋律』日本版 8月9日より全国順次ロードショー

          『ボレロ』日本版トレイラー 『ボレロ 永遠の旋律』(原題:Bolero) 1928年<狂乱の時代>のパリ。深刻なスランプに苦しむモーリス・ラヴェルは、ダンサーのイダ・ルビンシュタインからバレエの音楽を依頼されたが、一音もかけずにいた。失った閃きを追い求めるかのように、過ぎ去った人生のページをめくる。戦争の痛み、叶わない美しい愛、最愛の母との別れ。引き裂かれた魂に深く潜り、すべてを注ぎ込んで傑作「ボレロ」を作り上げるが──。 監督:アンヌ・フォンテーヌ 出演:ラファエル・

          モーリス・ラヴェルの映画『ボレロ 永遠の旋律』日本版 8月9日より全国順次ロードショー

          ドキュメンタリー《誰がラヴェルのボレロを盗んだのか》日本語訳台本 エピソード7「税の楽園(タックス・ヘイヴン)」

          日本モーリス・ラヴェル友の会では2016年5月よりフランス国内で報じられてきましたラヴェルの著作権や遺産問題について折に触れてきましたが、その時期、フランスのテレビ局やインターネット上で公開されましたドキュメンタリー映像《Qui a volé le Boléro de Ravel ?》(誰がラヴェルのボレロを盗んだのか)の監督であるファビアン・コー=ラール氏とコンタクトを取り、この映像作品の9章のエピソードの日本語訳の翻訳権を得て、2017年から2018年にかけて連載企画とし

          ドキュメンタリー《誰がラヴェルのボレロを盗んだのか》日本語訳台本 エピソード7「税の楽園(タックス・ヘイヴン)」

          ドキュメンタリー《誰がラヴェルのボレロを盗んだのか》日本語訳台本 エピソード6「権力者達の輪」

          日本モーリス・ラヴェル友の会では2016年5月よりフランス国内で報じられてきましたラヴェルの著作権や遺産問題について折に触れてきましたが、その時期、フランスのテレビ局やインターネット上で公開されましたドキュメンタリー映像《Qui a volé le Boléro de Ravel ?》(誰がラヴェルのボレロを盗んだのか)の監督であるファビアン・コー=ラール氏とコンタクトを取り、この映像作品の9章のエピソードの日本語訳の翻訳権を得て、2017年から2018年にかけて連載企画とし

          ドキュメンタリー《誰がラヴェルのボレロを盗んだのか》日本語訳台本 エピソード6「権力者達の輪」

          ラヴェルのピアノの素描

          Maurice Ravel avec Luc-Albert Moreau, Hélène Jourdan-Morhange, Madeleine Grey, Germaine Malançon (Mme Boris), Jacques de Zogheb (?) 昨日4月17日にラヴェルに因んだ額装入りの素描(鉛筆デッサン)がフランスから到着しました。落札から受取まで1ヶ月かかりましたが、その間、向こうの運送会社にオークションハウスまでの集荷と梱包、DHLでの国際輸送を依頼

          ドキュメンタリー《誰がラヴェルのボレロを盗んだのか》日本語訳台本 エピソード5 「訴訟」

          日本モーリス・ラヴェル友の会では2016年5月よりフランス国内で報じられてきましたラヴェルの著作権や遺産問題について折に触れてきましたが、その時期、フランスのテレビ局やインターネット上で公開されましたドキュメンタリー映像《Qui a volé le Boléro de Ravel ?》(誰がラヴェルのボレロを盗んだのか)の監督であるファビアン・コー=ラール氏とコンタクトを取り、この映像作品の9章のエピソードの日本語訳の翻訳権を得て、2017年から2018年にかけて連載企画とし

          ドキュメンタリー《誰がラヴェルのボレロを盗んだのか》日本語訳台本 エピソード5 「訴訟」

          ドキュメンタリー《誰がラヴェルのボレロを盗んだのか》日本語訳台本 エピソード4「遺言書」

          日本モーリス・ラヴェル友の会では2016年5月よりフランス国内で報じられてきましたラヴェルの著作権や遺産問題について折に触れてきましたが、その時期、フランスのテレビ局やインターネット上で公開されましたドキュメンタリー映像《Qui a volé le Boléro de Ravel ?》(誰がラヴェルのボレロを盗んだのか)の監督であるファビアン・コー=ラール氏とコンタクトを取り、この映像作品の9章のエピソードの日本語訳の翻訳権を得て、2017年から2018年にかけて連載企画とし

          ドキュメンタリー《誰がラヴェルのボレロを盗んだのか》日本語訳台本 エピソード4「遺言書」

          3月7日モーリス・ラヴェル誕生日

          🌸3月7日モーリス・ラヴェル生誕祭🌸 ㊗️ラヴェル誕生日149歳おめでとう㊗️ きょう3月7日はフランスの作曲家モーリス・ラヴェル(1875-1937)の149年目の誕生日です! 149歳…「イヨク=意欲」と語呂合わせではないですが、今年1年間のラヴェルへの意欲、ラヴェルの曲の演奏に取り組む!ラヴェルの音楽を聴く!ラヴェルにまつわる知見を深める!など進めていきたいですね❣️🎂🥳 来年2025年は生誕150周年のアニバーサリーイヤーですが、きょうからカウントダウンで盛り上

          3月7日モーリス・ラヴェル誕生日