プリンセスのドレス
ハロウィンってのが嫌いだ。
小さい頃、なにか仮装をしたり、パーティーに参加したりすることはしなかった。外国風の気取った子達だけで楽しむ行事だと思ってたから、ほとんど興味がなかった。クリスマスの方が好きだから、早く終われってずっと思ってた。
けど内心、お化けや魔法使いになりきったり、キラキラした衣装を着せてもらえてる子達が羨ましかったんだと思う。
大人になった今、ハロウィンの日のSNSは大人たちの仮装姿で溢れかえっている。
いい年してみんななにやってるんだ
そんな濃い化粧をして大丈夫か
醜い姿を世に晒さないでくれ
そういうドロドロした感情が私の中を流れる。
けどそれと同時に、思いっきり非日常的に、自由に好きなように自分を表現して色々なものになりきることができる大人たちが、ちょっと羨ましいんだと思う。
小さい頃、ずっとプリンセスになりたくて、キラキラしたドレスに憧れて、シンデレラのドレスをサンタさんに頼んで贈ってもらったことがある。
それを着るのがずっと夢だったし、憧れだったし、すごく嬉しかったんだけど、けどいざ着てみるとすごく恥ずかしくて、照れ笑いしかできない自分が惨めに思えて、早く脱ぎたくてしかたなかった。結局祖父母にお披露目した2~3回しか着てない。
ずっと憧れてるし、羨ましいのに、いざ自分の番になると思いきり楽しむことができない。無駄な自尊心や羞恥心が邪魔をしてしまう。そして変な自分が出てきてしまう。
そういう場面が今までの人生で沢山あった。文化祭のダンスとか、カラオケの1曲目とか、飲み会の乾杯の音頭とか、罰ゲームの一発芸とか、別に堂々とその場の勢いで楽しめばいいのに、「恥をかきたくない」という変な感情が渦巻いて、ヘラヘラした変な私が現れて、その場を変な空気にしてしまう。
だから、私は小さい頃から、今になっても、プリンセスのドレスが着れない。お化けにも魔女にもなれない。
私はハロウィンってのが本当に嫌いだ。
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