難敵〔あこはるかさんに捧げます〕

そうなのだ。
あれは難敵。
超難敵。
だってお母様超能力者。
これまでも気にくわない嫁候補、ぴしぱしちぎって投げてきたのだ。

でも今回は折れないから。
きみも本気で立ち向かって。

今回は？？？

ちょっと気になったけど、今回は折れないんだそうだから・・・

手強い。

挨拶に行ったら4回留守で、2回病気で、3回入院。
やっと会えたと思ったら、

私の目が黒いうちは絶対！

とか言うし、

翔真は私のいのちなの。
奪わないで！

と泣き落とす。
記憶もいじられ、4か月、4か月もよ！、私たち知らないどうしになった。
それでも再び恋しあって、はじめましてって挨拶して、お母様お下品にも舌打ちなさった。

ついに着た。
ウエディングドレス。
手には可憐なブーケ。
ここまで来た。
福音教会のゴージャスな聖堂が私たちを待

壁。

完璧な煉瓦壁。

ドア向こう、一面。

大丈夫。
窓からいく。

って後ろも塞がれた。
右左も。

高い壁。
高い高い壁。
見はるかす、高い高い高い高い高い・・・・

私はブーケを投げ捨てた。
ドレスの裾もかなりちぎった。
身長差を埋めるためのヒールも折り、正面の壁をきっと見据える。

乗り越えられるか？この壁、いや。
必ず必ず乗り越える。
待ってて翔真。
お母様。
この嫁は決して折れないんです。

最初の一手一足。

私は地面を蹴るように、上がった・・・

テーマはそのまま、

『乗り越えられるか？この壁』

です。