お母さん、サクサクの唐揚げが食べてみたい
ある日息子が真顔でこう言った。
「お母さん、友達の家の唐揚げはサクサクしておいしいらしい。うちのはベチャアってなってるやん。サクサクしたやつが食べてみたい」
突然自分の実力をドスンと突きつけられ一瞬目が泳ぐ。
唐揚げが、ベチャア。確かに。
「わかった。お母さん、がんばってみる」
と実力を受け入れ、解決策を探ることにした。
いつもクックパッドのレシピなどを見て適当に作ってるからダメなんだろうか。息子のラグビーの練習の間、保護者のママさんに聞いてみた。包み欠かさず全てを話すと予想通り半笑いの反応で、「うちは二度揚げしてるで。めんどくさいけどな」とアドバイスをもらう。2度揚げかあ。
早速唐揚げにとりかかる。いつもは胸肉だが今回は奮発してもも肉で。下味をつけ、片栗粉をまぶし、2度揚げ。この一手間で本当にサクサクになるのだろうか。半信半疑でいつもより丁寧に揚げる。息子が味見したいというのでひとつ食べさせる。
「うわ!サクサクしてる!おいしい!」目を輝かせる。人生で初めておいしい唐揚げを食べたリアクション。キラキラとした目で頬張る姿を見ると、今までとんでもないマズイものを食べさせてたみたいで申し訳ない。
それ以降、唐揚げは2度揚げにしている。あの日息子が言ってこなければ、我が家の唐揚げはベッチャリしたままなのだ。
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