第2回:スルメジャーキー
こんにちは。
1992年、平成4年生まれの矢野です。
平成一桁に幼少期を過ごした私が
小さいころ好きだったお菓子とそれにまつわる思い出をただただ語りつくすだけの連載です。
良かったら読んでいってください。
(人物の名前には一部フェイクが入ります)
第2回目はするめジャーキーです。
「きのう、『ひまわり』でするめジャーキーをかいました。おいしかったです。」
小学校1年1組の朝の会。
日直がクラスメイトに向かって自分のことを話す「1分間スピーチ」の時間に竹田さんがそう言うから、私は初めて聞く「するめジャーキー」のことで頭がいっぱいになってしまった。
するめジャーキーって、なんだ?
竹田さんは、影響力のある女子だ。
小学校1年生の教室にも、そうした人間関係の繊細さは存在する。
竹田さんは明るく活発で、声も身体も大きい。
竹田さんが「この遊び楽しいんだよ!」と言えば、その遊びはとてつもなく楽しそうに見えるし、
竹田さんが「おいしかったです」と言えば、そのお菓子は猛烈においしそうに聞こえる。
するめジャーキーが、食べたい。
まして、するめは私の大好物だ。
ジャーキーはなんのことだか分からないが、犬のおやつで聞いたことがある。
とにかく竹田さんがおいしいと言うのだからおいしいのだろう。
『ひまわり』は竹田さんの家の近所のある駄菓子屋さんのことらしい。
竹田さんと私の家は学校から反対方向だから、歩いて行けそうにもない。
私の家の近所には、歩いて行ける駄菓子屋さんがない。
あるのはコンビニとスーパーだけだ。
祖父母の家の近くには駄菓子屋さんがあるが、するめジャーキーは探しても見当たらなかった。
竹田さん曰く、するめジャーキーは赤い袋に入っていて、ヒーローみたいな絵が描いてあるらしい。
細長くて、するめが入っているらしい。
竹田さんは日直が回ってくる度に
「きのう、『ひまわり』でするめジャーキーをかいました。おいしかったです。」
と話し、クラスメイトから
「またー?」と笑い声が上がるのが定番化していた。
あぁ、どんなにおいしいんだろう。するめジャーキー。
スーパーに連れて行ってもらう度に探したが、一向に見つからない。
するめジャーキーへの慕情は高まるばかりだ。
そんなある日、学校のそばの駄菓子屋さんで運命の出会いを果たした。
学校のそばの駄菓子屋さんは、運動会のあととか授業参観のあととか、特別な時にしか連れて行ってもらえない場所だ。
ここにいたのか!するめジャーキー!
竹田さんの言う通り、赤い袋に入っていて、ヒーローみたいな絵が描いてあった。
細長くて、するめも入っていた。
憧れのするめジャーキーは、今までに食べたどのお菓子よりも美味しかった。
私も食べたよって、明日竹田さんに言おう。
読んでいただき、ありがとうございました。
1年1組のインフルエンサー的存在、竹田さん。
竹田さん御用達の駄菓子屋「ひまわり」は、調べてみたら我が家から1㎞のところにありました。
同じ学区でも自分の通学路意外だと、果てしなく遠く感じますよね。
未だにするめジャーキーを見ると、レアものを見つけたときのような気持ちになって、心がワクっとします。
すっぱいするめ、美味しいのかしら。
一口サイズが箱に入ったバージョンも。