雨
雨はやまない。
耳障りの悪い雑音が響き渡る。
それに呼応するかのように酷い頭痛が続く。
私は窓の外を見た。
そこには美しい光が差し、部屋をきらきらと照らしていた。
でも、雨はやまない。
いつしか雑音は言葉に変わる。
私の喉をぎゅうぎゅう締め付け、声にならない声を出す。
考えることができない頭は、誰かに抑え付けられ罵声を浴びているようだった。
視界は狭くなる一方なのに、眠ることは許されない。
私は誰に許されたかったのだろう。
私は誰に認められたかったのだろう。
私は誰に褒められたかったのだろう。
私は誰に抱きししめてほしかったのだろう。
ぐるぐるぐるぐる。
いくらでも、耐えることはできるはずなのに、いつの間にか沢山の棘が神経を突いていたようだ。
誰にも知られずに呻き声をあげ、誰にも知られずにゆっくり棘を身体に埋めていった。
痕を残して。
これが私の弱さなのだろうか。
蝕み続ける私が作り出した愛しい弱さ。
この愛しさを手放すにはきっと時間がかかる。
だって、私はあなたを愛している。
愛するものは一つだけでいい。
勇気を出して、私は今まで愛してた愛しさに「さようなら」する。
いつか、この痕は抱きしめてあげよう。
私がもがいて生きてきた証だから。
ふと、窓の外を見た。
綺麗な闇が広がっていた。
私は、その深い色に安心して目を閉じた。
end
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?