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【詩的実験】秋の午後

ベランダに出て確認する秋は
祈りと泡の金木犀
 
秋気をさまよい歩く
ずっとこうしていたみたいに
陽が翳り
だれかの口笛が聞こえる
四辻にさしかかり
どちらへ帰るのかわからなくなる
 
自宅の灯りが
冷たい手をあたためる
ふっと さっきまで外にあった寂寥が
どっと 今わたしに襲う
 
毛布にくるまり ぬくもりでまどろむ
夏の魔物に見守られて
ここは秋

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