【詩的実験】生の呪文
わたし自身の死に想いを馳せる
足が竦んでゆらゆらする
この感情は
わたしの意識の中に
混沌としている部分がある所以である
その混沌としている部分は
ときにわたしに
死の径へと進もうとする感情を
起こさせる
これは正常な狂気である
死を選び闇へと飛び込んだ
名も知らぬ人に想いを馳せる
その人の狂気は正常ではなかったのか
わからない
その人は生の道を選ぶべきだった
なんて言えない
その人は自分という人間を殺した悪徳な者だ
なんて思わない
しかし
自分の命をどうするかは自分の自由である
とは思わない
死へと跳躍させる力は
謎に包まれた魔力である
〈生きたい〉という気持ちも
〈死にたい〉という気持ちも
強力な呪文に束縛されている
その呪文を解く魔法を
見つけようとすることが
〈生きる〉ということかもしれない
アンビバレントな感情をそのままに
わたしは明日も命の灯を絶やさず進み
そして
〈生きる〉ことはできるのだろうか
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