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暮らしの学校 第1回 季節しごと

夏みかんマーマレード作りと砂糖のはなし

暮らしの学校説明会いらい記録を怠っておりましたが
実はすでに先日3回めも終了…(汗

本来ならばここで4月2日の海老の回のお話となるところなのですが
まずは順を追って
2月に行われた第1回・マーマレード作りと砂糖のはなしの記録を。
(実は下書きに保存したまま投稿忘れていただけです。ごめんなさい)

お砂糖についてお話をしてくださったのは
仕入れ販売する側である逗子の自然食品店・陰陽洞のタエさん
陰陽論の観点から鍼灸治療科である葉山・天空洞のミキさんとトニーさん

この御三方から深いお話を伺いました。

【なぜ夏みかん?】

そもそもなぜ夏みかんマーマレード?
それがなぜこの時期の季節しごと?
というところから。
逗子葉山の過程に庭には
あちらこちらに
たわわに実った夏みかんの樹が見受けられます。
その理由は
60年以上前に現在の上皇上皇后両陛下ご成婚の記念樹として
町内に配られた夏みかんの苗木。

家の所有者も高齢化しており
果実を放置している庭もたくさん。

で、CINEMA AMIGO裏手の川沿いにある館長の実家の庭にも
大きな夏みかんの樹が数本。
館長のお母様である長島キャサリンさんはウェールズ出身
日本に嫁いだころ
今のようにオレンジは輸入されてはいなかったでしょうし
あっても非常に高価だったはず。
そこで、庭の夏みかんを使って
故郷の味を再現されたんだと思います。

しかも食べ物が貴重だった時代。
(ものには限りがあると知っていた時代)
せっかく実をつけているものを放置するという選択肢は
もったいなくて有り得なかったのではないかと。

【季節しごとと暮らしの知恵】

では夏みかんがなぜこの2月の季節しごとなのか?
答えは糖度なのだそう。
そのまま食べるなら糖度があがる5月ごろから
でも、煮込んで保存食とするなら熟して糖度が上がる前とのこと。
その根拠となる詳しい内容は
実はずっと調べているのですが、まだ提示できるほどの情報がありません。

ただ、想像するに

・果実の糖度が上がっていると発酵しやすい?

保存料として加える砂糖の割合が減ることで長期保存に向かなくなる
(甘くなりすぎないように調整すると砂糖の分量が減るから)

・完熟したものはそのままが美味しいから煮込むのはもったいない
(完熟状態=果実の糖度が上がるということ)

マーマレード含む*ジャム類*はもともと保存食品。
旬の季節にたくさん収穫できる果物の
フレッシュな美味しさを楽しむことができるのはわずかな期間。
食べきれず放置するのはもったいないから
なんとか冬の間も楽しめるようにと工夫したのが
保存食としてのジャムです。

今は輸入も生産も増え、流通も発達し
一見食べ物は豊富でなくならないように思えるけれど
本来果物や農作物は
季節や自然環境に左右される植物(生き物)であり
だからこそ貴重なもの。
そう考えると
美味しいものは美味しいうちに
食べきれないものは保存して長く食べられるように
と知恵を絞るのもうなずけますよね。

ちなみに余談ですが
JASによる商品規格分類では
ジャム類のうち柑橘系果物の果皮も含んでいるものをマーマレード
それ以外をジャムと呼んでいるそうです。

【保存食に砂糖や塩を大量に使う理由】

さて、それでは上記でも少しふれた
保存料としての砂糖について。
甘味を加えて美味しくする以外の理由から
砂糖を深掘りたいと思います。

砂糖の性質として
・ペクチンがゼリー化するのをたすける
・微生物の繁殖を抑える
があげられます。

それぞれ詳しく解説すると

・ペクチンがゼリー化するのをたすける
酸とともに砂糖がペクチンを編み目のようにつなぎ、その編み目の中に水を抱え込んでしまうことにより、ゼリー化を促進する

・微生物の繁殖を抑える
砂糖には抱え込んだ水分をなかなか放さないという性質があるために、微生物が細胞の水分を奪われて活動できなくなる

という理由で、保存目的であるジャム類の糖度の理想は60%以上。
私が中学生のころはじめて作ったジャムのレシピでは
果実と砂糖の割合が1:1でした。
(ネットとかなかったから時代だからね😅見たのはたしかメリーポピンズの料理本。)
日本では、保存食というより販売目的で製造がスタートしそうで
現在は一般的に45%〜となっているみたいですね。

【知ってから選ぶ】

マヨネーズなんかを作る時も思いますが
実際に自分で作ってみると、その量を目視しておどろくものです。

じゃぁ、そんなに大量に入れるお砂糖。
種類が選べる現在ならば
少しでも安心なものにしたいと思いますよね。

グラニュー糖、上白糖、甜菜糖、三温糖…etc
いったいなにがどう違う?

オーガニックとそうでないもの
一般に販売されている砂糖のほとんどは
オーガニックなんてないも同然。
見つけても価格も驚くほどの違いがあって
大量に使うと、その価格差は歴然。

まず砂糖の種類ですが
精製糖と含蜜糖のどちらかに分類されます。
精製糖は、その名のとおり精製されてショ糖の含有率が高く
ミネラル分は省かれています。
上白糖(白砂糖ともいう)やグラニュー糖、三温糖が代表的。
よくお菓子作りなどでグラニュー糖とあるのは
精製した砂糖の形状のことであり
溶けやすい、水分量が含まれない、などの理由だったようです。
違いは色だけではなかったんですね。
含蜜糖は原材料が持つミネラル分を含む本来の風味が強く残っているもので代表的なのは黒糖やメープルシロップなど。

陰陽洞さんの話によると
こんなに砂糖の種類が細分化されているのは日本だけとか。
そして上白糖というものは日本独自のもうのだそうです。

オーガニックか否か
製造過程での薬品使用について
など
種類を選ぶ上で知りたい情報の前に
こんなに複雑化した製品の種類があるものだから
混乱してしまいがちな砂糖の情報。

白砂糖は体に良くない
こどもに白砂糖を食べさてはいけない
そんな情報を耳にしているひともいるでしょう。
色の違いで健康への影響を判断していた人も少なくないのでは?
かくいう私も、砂糖を色で選びがちでした。
味の特徴からの使い分けと体への影響とは
別の問題として取り扱うものなんだと思ったのは割と最近です。

そこで天空洞さんから
本当に”白砂糖は悪”なのだろうか?をお聞きしたところ
漢方薬膳での陰陽五行からみると色もバランス
”白い”から悪なのではなく
使い方が重要ということがわかりました。
食べ物の色と相関する臓器もあるのだそうです。

白い砂糖そのものが悪なのではなく
使い方によって毒にも薬にもなるというはなし。

もともと砂糖は13世紀ごろまで貴重な薬としての役割をもっていました。
当時、料理や食べ物の保存に使えたのは王侯貴族などごく一部。
薬としての側面がある以上
大量摂取が体に負荷をかけるのは当たり前ですよね。
加えて製造過程での薬品使用や
原材料の農薬・薬品添加も気になるところ。
なにをどう選ぶのか
選ぶためには、情報だけでなく
その状況ごとに判断する必要があるということもわかりました。

正解はひとつ、という単純な話しではない。
これは食品に限ったことではありません。
現在わかっていることと
これから解明されること
体質や状況により変わること
など
誰かが出した一つの答えだけを正解だと盲信すると
苦しくなることってありますよね。
たくさん知るとどうしていいかわからなくなることも。
ただ、自分で判断することを放棄する癖がついていると
対応できずに不安も多くなるものです。

幅広く知って正しく判断する。
とても難しいことだけれど
意識すれば情報を取ることができる現代だからこそ
積極的に思考したほうがいいんだろうとも思うのです。

暮らしの学校では
自分で考えて判断する
そんな予行練習を提供できたらいいなと考えています。


【さいごに】

普段気にせず使う基本調味料のひとつ ”砂糖”
なにが正しいのかって実は時代の変化と情報の更新によっても変わるんだと思います。


残念ながら、どんなに調べても
なぜ夏みかんの苗木を選んだのかは不明なまま。
夏みかんの花言葉は”清純”
お二人の出会いになにか関係がある植物なのかしら。
もしご存知の方がいたら教えてほしいです。

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